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ルートBアフターストーリー 新しい家族

あれから五年後、桜が舞い散るこの日俺達は涼風さんの母親の墓参りをする。

俺と涼風さんはなんだかんだあって結ばれ結婚している。

これは夢ではなく事実だ。けど勿論結婚するのに障壁があった。

まず涼風さんのお父さんに挨拶する時は圧迫面接ばりに冷たい視線と厳しい言葉を貰い最初はきっちりと断れたよ。

だから少しでも認められようと、今の学歴では物を言わす事が出来ないので代わりに寝るまを惜しんで勉強し資格をとって昔の給与より高い職場に無事転職することができた。その結果昨年ようやく認めてくれたようだ。


これもすべて支えてくれた涼風さんもとい朱里さんのお陰だ。

彼女がいなければこんな理想的な生活は送ることができなかった。

なので資格勉強や転職で彼女と一緒になれなかった分、今いる瞬間がとても楽しい。





「終わった?お義母さんの挨拶は」

「うん。今終わったよ。ママも喜んでくれるはずだよ。新しい生活でこの子ができたことを・・・」

そう言いながら彼女は大きくなったお腹を優しく撫でた。

見ての通り涼風もとい、朱里さんは現在俺の奥さんで今お腹の中に新しい命が宿っている。






この子の為に俺達は墓参りをした後、新居に向かうつもりだ。

なので墓場の帰り道の石段を紳士的に支えてるのだ。




「もう、大げさだな。そんな事してもこけないのに」

「でも一度こけたんでしょ。二度目の事があるかもしれないよ。これから父親になるんだからエスコートさせて」

「もう」

なにか言いたそうな感じだが、嬉しく了承した。

今朱里さんは、妊娠してるだけではなく、本来の仕事を長期休暇してるので、とても嬉しく感じてるのだ。




ちなみに朱里さんの本体の仕事は、作曲家で本場アメリカを拠点にし、一か月に一、二回しか返ってこれないくらい多忙の仕事をしていたのだ。




高卒後の彼女は、海外の大学に留学することになったがそれでも音楽の道を諦めずに、途中で大学を辞め親の言いつけを背き音楽関連の学校に進んだんだ。

勿論朱里さんの利き腕は、高校時代にあの石段に不審者に落とされ、今現在もまともに動かすことができないが、曲を作る側として道に進み見事、向こうのお偉いさんにひっかかり、『akari』という名前で音楽業界を轟かせているようだ。


勿論給料面では俺よりも遥かに稼ぎが良く、新居の7割は彼女に払っているのですごく申し訳なく思えてしまう。




後、彼女は今の仕事は気に入ってるようだが、当分は本拠地のアメリカには戻らないようで、出産後はネットを通じて自宅で仕事を再開するという計画を立てているのだ。



話は戻りあっという間に新居についた

その場所は前の涼風さんの家があった場所で、お義父さんが俺達の為にわざわざ譲り受けたんだ。

ちなみにリフォームの設計はうちの母さんが考えたものだ。


「ここが我が家か・・・・・・・すっごくきれいだね」

「祐輔のお母さん。本当にいい仕事してるね。正直前の家より好きだよ」

「それは良かった。母さんも喜ぶよ。それにしてもよくお義父さんから許可を取ったね」

新築リフォームで外見が変わっても周囲の背景のせいで、結婚前の挨拶を思い出すくらい寒気がした。

初めて会ってもう数年経ったが相変わらず義父は多忙で中々帰れなくロクに話してないが未だにあの人は怖い。

だからあのお義父さんがこの家を明け渡すのは意外で今も信じられない。

後世の為に俺達に譲ったと思えるとそういう優しさもあるんだなと思えてしまう。

今日再び会えるものなら酒を交わして仲良くなりたいものだ。




「で、お義父さんはいつ来るの?」

「今は忙しい時期だけど、今晩中はなんとか帰れるって言ってたよ」

「そっかよかった」

俺の親父も来れない。どうやら張りきりすぎてぎっくり腰になってしばらく家で休んでるようだ。まぁ母さんは来るって言ってたけど、今のところ全然来る気配がないんだけど!!!

なにしてんだよ。一緒に新居を見るんじゃなかったのかよ。




そう思いながらも朱里さんは、『もう先に見ようよ』と袖を引っ張ってたので早速カギを取り出し中に入る。

確かもう引っ越し済みで家の中に荷物は入ってるはず・・・・






「あーーーーーーーーーーー二人共遅かったわね。さぁもう肉出来てるからこっちにきて」

「ウフッ、勝手に入ってきてごめんなさいね。いいお肉仕入れたから涎が出る程すごくおいしいわよ」

すぐさまリビングに向かうと母さんと見知らぬオネエらしい人が、少し遅れたすき焼きをしてるのだけども・・・

うわぁ・・・・・すごくおいしそうじゃなくて!!!






「母さん!!!なんでここの家の主より先に入ってんの?それに隣のオカマの人誰?」

「祐輔別にいいじゃない。私が設計した家なんだから最初に入るのは当然じゃない」

「それはそうだけど・・・・それでも普通家主に許可とるもんだろ」

「あらぁ!!!生意気な口を吐く息子さんね。もう立派な大人なんだからそんな細かいことは気にしないの」

初対面なのになんか前にもこんなやりとりをしたことがあるな。

それはともかく、朱里さんが隣にいるんだしここは新しい主としてカッコよく決めないと。




「あのね・・・・」

「あ、レンさん久しぶりです。まさかこんなところで会えるなんて奇遇ですね」

「ウフッ。朱里ちゃんもしばらく見ないうちに、色っぽくなっていいお母さんになれそうわよ」

「あれーーーーーーーー」

なんか、うちの嫁が見知らぬオカマにキラキラと目を輝かせて強く手を握ってるのだが、こんな表情するの初めてなんですけど・・・




「忘れちゃったの?結婚披露宴でアンタ達に曲を送ってくれたじゃない?」

「歌ってそんないいものを歌ってないわよ」

「またまた。レンさん元スカモンのメンバーなのに謙遜しちゃって。あの時は素晴らしい音色で感動しました。ボーカルも案外いけるんですね。あの知り合いのプロダクションに紹介してもいいですか?」

「馬鹿おっしゃい。あくまで一度限りのサービスよ。そんなことより貴方達にプレゼントがあるわよ」

『????』

その言葉に朱里さんと目を合わして頭に?マークが浮かぶくらい分からなかった。

ふと母さんの方に目を向けるとなにやらニヤニヤろほほ笑んでるのが見えた。

一体なにをくれるんだ?少し警戒しながら、そのレンという人はなにかを抱きかかえていた。

そして、ビクッと大きく揺れ顔を出す。

え・・・・まさか






「これは・・・・・」

「あ、猫ちゃん。すっごく可愛いんだけど。お義母さんこれなに?」

「フフ・・・・・・二人の新築祝いのプレゼントよ。正直同じ種類を探すの手間取ったんだからそこはレンさんに感謝しなさい」

「ウフッ見つけたのはたまたまよ」

このぽっちゃり気味の三毛猫に愛くるしいほどの顔、間違いない。かつて一緒に住んでたあの相棒に似てる。

でも、見た目はそっくりだが全くの別物だが、なんでかその懐かしい姿を見ると自然と涙が込み上げてくる。

そしてその猫は俺を見ると悲しんでる俺を見るとこっちに向かって大きく泣きながら飛び込んでくる。





ニャーーーーーーーーーー!!!

「マグロ丸!!!!!」



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