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ルートB エンディング 三日月の元で君と

「はぁ・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・」

気が付けば俺は、見覚えがある街灯が少ない道路にたどり着いた。

ここは、死んだ婆ちゃんの家の近くの道?

なんでこんな所にいるんだ。それに異様に肌寒い。

って、俺なんで汗かいてるんだ。確かさっきまで同窓会に行って、なんか明日ヶ原と言い合いになった後に、店を出てそれから・・・・・・まったく思い出せん。

それにさっきまでガンガン響くほどの頭痛もいつの間にか消えていた。

一体何だったんだ。さっきの頭痛は・・・・・

ちょっと早めの更年期かな。明日は有給でもとって病院でも行こうかな?

いくら仕事場で厄介者扱いされても今までロクに有給はとったことは無いんだ。

一回くらいとっても文句は言えないはずだ。

はぁ・・・・・・・それにしても疲れたな。とりあえず休むかっと言いたいところだが、ばあちゃんの家はとっくに売り払ってるはずだしどうしたものか・・・・・・・





「ん?ここは・・・・・・」

休む場所を探してる時、偶然だか必然だが知らないが見覚えのある公園にたどり着いた。

ははっこの公園、遊具が減ったとこ以外変わりがないな

そういえば昔ここでよく婆ちゃんと遊んでてたな。

なんだろう。久々に来たってのに、最近ここに来たイメージがある。

疲れもあってか吸い込まれるかのように公園に向かい近くのベンチで一休みすることにした。

夜であってか公園には俺以外はいなく、貸切状態だ。

ベンチ近くの灯りはしばらく替えてないせいか、点滅してるが、その程度で怖がる俺ではない。



「ふぅ、」

改めて空を見上げる。空には満点の星々が輝きその頂点に座してるのはそれらの光を凌駕する三日月のきらめき。

最近は星を見る暇がないくらい俯いて生活をしていたな。

見てるだけで癒される。

そうだ。記念に写真を撮るか。ポケットからスマホを取り出し、カメラ機能を開こうとしたらなぜかメモ帳機能がすでに開いており、なにか書かれていた。




えーーーーーと、今日の9時15分三日月の元、この公園に運命の人が現れる。それまでしばらく待て。





なんだこれ誰かのイタズラか?と言っても俺のスマホパスワードしてるから誰かが開いた形跡がないってかそもそも俺みたいなボッチのスマホ見るやついないだろ。




それに9時15分って、後、5分前か。

同窓会ならあり得るけど、もうこの時間帯なら一次会は終わってるはずだから今更行く必要はない。




はあ、運命の人か。会ってみたいものだな。



コツン





「あの?」

「え?なんですか」

うわっ。いつの間にか目の前に、ビジネススーツを着たOLらしい人が俺に話しかけてきた。

その人は、茶髪の長髪で眼鏡をかけ、前髪は目に届くくらい伸ばしており、さらには猫背という、見るからに薄気味悪い女性だった。 




「隣いいですか?」

「ええ、どうぞ」

隣に置いてる鞄をどかせて、隣にその女性が座る。

怪しさ満載だったが、今更断ることが出来ずに、警戒しながらスマホを見る。

あ、もう15分経った。

もしかしてこの人な・・・・わけないよなぁ。





「綺麗なみ 三日月ですね」

「はい、そうですね」

急に話しかけられ、無意識に答えた。

見知らぬ女性であってか警戒心を含め顔を見ずに話す。





「あたし、この月が大好きなんです。この輝きを見てると昔の楽しい記憶を思い浮かべて、今まで辛かったことが嘘のように吹き飛ぶんです。そんなことありませんか?」

「俺の思い出なんてつまらないですよ。あるとすれば夢なのか分からないけど、小さい頃、名前も知らない女の子と遊んだ記憶がありますね。偶然この公園で、ちょうどこの時間帯までですね」

女の人は『そうですか』と聞こえるくらい小言で呟いていて興味津々だった。そのせいか、警戒心はなく、今まで忘れてた記憶がほんの一瞬だが思い出すことができ、さらに会話を続けることにした。




「実はこれ、俺の妄想かもしれませんけど、その女の子と再び会えるように約束をしたんです。けど、俺は来なかった。それが人知れずその女の子を傷つけてしまった。とても後悔してるんです。最近やっと思い出したことですけどね。確かその時の約束の合言葉は、C915

『三日月が見えるこの公園で夜9時15分に待ってる』ですね」

なんでだろう。なんでこんな忘れかけの合言葉を見知らぬ女の人に話そうとしたんだ。

なんか無性に恥ずかしくなってきたぞ。

その女の人絶対ドン引きしてるはずだわ。

まじで顔見たくない。





「あの、その話もう少し聞きたいです。なので面と向かって話しませんか?」

「え?恥ずかしいですよ」

「いいから」

少し強引的だったので、とりあえず顔を見ることにする。

だが、顔を見た途端、さっきのような陰気臭い姿は完全に消えていき、代わりに懐かしい顔が現れていた。

その姿は偶然か。俺が憧れた女性である涼風朱里に昔あった同年代の長髪の女の子を合わせた女の子というより、本人だった。

まさかこんなことがあるのか。

俺の知る最後の彼女の姿は利き腕を怪我し、目に輝きを失ってた見るに耐えない姿だったが、今の顔は、俺が知る以上の微笑みをしていた。

胸が高鳴り泣きそうになった。




「涼風さん」

「久しぶり久東君。しばらく見ないうちにたくましくなったね」

数年ぶりの再会。涼風さんが今どんな環境で生きてるか知らない。もしかしたら愛する者がいて、家族がいるのかも知れない。けれど、どんな姿でも気にしない。最初に言うことはただ一つ。嬉し涙を堪えて手を差し伸べる。








「あの時は約束を破ってごめんなさい。良かったら友達になってください」

プルルルルルルル

突然電話がなったが、お互い微動だにしない。

ただ、涼風さんの返事は聞こえなかったが、俺の手には温かい手が握りしめられていた。






『ううん。これからずっと一緒にいようよ。アタシの王子様』










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