バイトの面接をすることになりました。
とある金曜日、その日はバイト面接日なので俺は休み時間の間に親友の佐々波の机にバイトの履歴書を見せる。
「どうだ。佐々波これでどうだ!!」
「おっいいじゃね・・・これならお前でも採用できるだろ」
「よしっ」
って・・・・俺なにバイトごときの面接で喜んでんだ。と言いたいけど、俺は学生生活ではバイトをしたことがないから、バイト用の履歴書を書いたことが無いのだ。
そこで念の為に佐々波に参考として俺なりのバイトの履歴書を書いたが、佐々波によると、こんなに真面目に書かなくていいんだよ。っと俺同様にバイトもしたことが無いやつが言うので俺なりに表現を軽くした履歴書を書くことでなんとかOKを貰えた。
まぁ今日の面接でこの履歴書で悪影響を受けたなら、本命用の履歴書で受けるけどな・・・・
ともかく俺は、放課後いつものように補修を受け一度実家に帰り、しばらく休憩した後に、面接場所である喫茶店に向かい。
よし、時間は10分前・・・完璧だな。
制服をキッチリと整えて店に入るとベルがカランと鳴り響き一歩進む。
店に入ると明るい光が広がり昔のジャズが聞こえ、インテリアとしてギターが飾っており、とても落ち着きがある内装だった。
そして店員の若いお姉さんが声をかけてくる。
「いらっしゃいませーーーお一人様ですか?」
「いえ、今日はバイト面接に来たのですけど・・・」
「かしこまりました。店長をお呼びするのでまず奥に座ってください」
「分かりました」
クールのお姉さんに連れられ、奥の席に座るり店長が来るのを待つ。
まぁこの静かで落ち着きがある大人の喫茶店の事だから、きっとジェントルマン的なおじさんを想像してしまうな。
そう思った時店長が厨房から出てきた。見た感じ髪がショートボブのクールそうな店長だった。いや、待て見た目からして男・・・・いや女どちらに該当するか分からない美形だった。
「あ・・・・・・」
「店長の荻原蓮夜です。よろしくお願いいたします」
「あ・・・・・僕は、久東祐輔・・・・・」
「まぁ、緊張しないで・・・ゆっくりと喋った方がいいわよ。坊や」
へ・・・・・・この美形に対し独特のオネエ口調・・・・まさか店長オカマなのか・・・・
「あら、坊や、もしかして店長がオカマだとビックリしてないかしら?」
そりゃそうだよ。こんな喫茶店に口うるさそうなオカマとはわらい
ギャップの差だよ。
「いえ、そんな・・」
「まぁそんなことはどうでもいいわ。もう一度名前を聞かせて頂戴」
ちょっと違和感がありながらも俺は持ってきた履歴書を渡し様々な問いに答え荻原さんはペンをクルクルと回し返って来る答えにうんうんと頷いてくる。
そんな質問が長く続いた。
「うん・・・・・・採用。明日から働いてもらってもいいわよ」
「え・・・・いいんですか」
「なによ。文句あるのかしら」
「いえ・・・なにも・・・・でもいいんですかね。僕ここ一度も来店したことないのに」
「そんなの情熱があればどうでもいいのよ。胸をはりなさい」
「あ、ありがとうございます」
「もう、最後までかしこまらなくていいわよ。せっかく採用したんだから軽くいきましょ」
「そ・・・・・そうですかね」
まぁなにはともあれなんとかバイトを合格することができ、軽く話をし盛り上がったところで、店長に見送られる。
「で、言われた通り、追試が終わった時で働いて貰ってもいいのね」
「すみません。やっぱり追試後に面接来た方がいいですかね」
「まぁ・・・・確かにそうなんだけど、過ぎたことはしょうがないわ」
この後店長に補修の事で話したのだが予想通り、なんでその最中に面接に来たのか呆れていた。母さんが電話したんだから仕方ない。
「じゃ・・・・がんばりなさいよ坊や。アンタはやればできるんだから、なんなら追試の最中にここに立ち寄って勉強してもいいわよ。コーヒー奢るから」
「ありがとうございます」
かっこ
励ましで背中を叩かれがぜん元気がでてきた。オカマだけどいい人だな。
「なんならお姉さんが秘密のお勉強を教えましょうか?」(投げキッス)
「結構です!!!!」
前言撤回やっぱやばい人だ。
「それにしてもいい雰囲気の喫茶店ですね。とくにギターとかが多く飾ってますけどバンドでもやってたのですか?」
「昔はね・・・・・モテたい為にひたすらバンド活動をやってたわ。あ・・・・・ちなみにモテたいってこのころは目覚めてないから女にって意味よ!!!」
「聞いてないです」
そう軽く突っ込んだ後俺は帰ろうとする。
「ちょっ待ちなさい。アンタ確か家この方角だったわね?」
「???そうですけど」
「アンタに頼みたい事があるわ」
「はぁ、なんでこんなことに・・・・・・」
俺はそうブツブツいいながらギターが入ったケースを背負いながら楽器店に向かう。
なんでも今日、偶然昔使っていた古いギターを見つかったから、これも新しく飾るために修理が必要で俺がそこにギターを持ってくれと頼まれたのだ。
バイトを始まる前に人使いが荒いな。
なんかますます後悔してきたぞ。
「いらっしゃい」
俺はさっそく楽器店に入るのだが、携帯を見るとすでに7時45分くらいになって、閉店の8時になりかけだった。
「すみませんこれ、修理をしたいんですけど」
すぐさま受付に向かいギターを置き、店の名前と店長の名前を言うと、店員は顔見知りのような口調をして素早く修理の手続きを終えた。
あの対応を見ると、結構顔が効く人なんだな。相当のギターマニアいやはたまた経験者なんだな。
まぁ俺にとってはどうでもいいや。早く帰って勉強するか。幸い、佐々波は履歴書の手伝いだけではなく、補習対策のノートを俺の為に貸してくれたんだ。
あいつ野球のセンスはからっきしだけど勉学はいいもんな。持つべきものは友達だ。
よし頑張るぞ。
「あれ、久東君」
店をでようとすると聞き覚えがある声によって振り返る。そこにいたのは涼風さんで、俺に向かってひらひらと手を振っていた。
「こんなところで会うなんて奇遇だね・・・」