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一週目のあの日

テスト期間・・・アタシにとってはこの時期はとても憂鬱に思える時間だ。

勉強はそれほど嫌いではないが、それを半強制的にしなければならない。しかもその結果次第で今後の内申に響くというものだからやる気は起きないのだ。



加えてアタシが嫌いなのは数学だ。他の教科は普通に勉強すれば点は取れるが、数学は訳が違う。

訳の分からない図と計算を睨んでいると頭痛を起こすのだ。

嫌なものをするのは出来れば避けるのは、アタシの性分だが、最近うちのパパにこってり絞られ、愛用のギターを没収されたという苦い思い出があるから嫌々、勉強をすることになったんだけど、これじゃストレスが増える一方だよ。






けど、その数学も中間一日目なんだから、他のテストの勉強を削り嫌々数学と向き合うことで、この事態はなんとか達成することができたよ。

結果はまずまずだけれど・・・・・・




ということで長くてかったるい一日目の中間テストをを終えアタシは肩の音を鳴らし、今日はアタシにとっては大切な日だから友達と一緒に変えらずに大急ぎで出るけど、その時も挨拶はちゃんとしなきゃね。



「じゃあお疲れーーーーー」

「朱里、今日はうちで勉強しないの?てか、まさかこんな時に限ってバンドの練習?こりないね」

「アハハハハハ、もう癖になってるから治らないんでけど・・・・」

「呆れた。この前ヤバかったのに随分と余裕なのね」

「大丈夫だって、苦手の数学は初日で終わったんだから後は楽勝でしょ」

「でも・・・・」

「まぁいいじゃないかぃ・・・・・朱里はこの前親父さんにギターとられてストレスたまってるんだ。テスト勉強中は数分でも自分の時間を作ってもいいだろう。それに朱里は数学以外は優秀なのだからよっぽどのことが無い限り悪い点数はとらないだろぅ」



その時親友のアッスーが助け船を出してくれた・・・・・アタシが何度も困ってる時に助けるなんて流石一番の親友・・・・・・・

と言いたいけど、その両手でなにかを鷲掴もうとする手つきはなにかな?

なぜか動物的反射で背筋が凍りついて後ずさりしてしまう。

この手つきとあからさまなにやけ顔・・・・・・いつものようにセクハラするつもりかな・・・・・






「というわけだぃ・・・朱里ぃ。今日は最後の一揉みと行こうか・・・・・・・」

「失礼しましたーーーーーーーーーー」

「朱里ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

アタシは持ち前の全速力で逃げ、セクハラから逃れた。教室から聞こえるアッスーの悲しみの声が教室中に木霊したような気がした。構ってあげたいけどそんな暇はないんだよ・・・




ドン!!!

「きゃあ!!!」

しまった。アッスーが後から追ってこないか心配して後ろを気にしたせいか油断して前の人とぶつかっちゃった。えーーーーーーーーと前の人大丈夫かな?





「いたたたた・・・・・・・・す・・・・涼風さん」

目の前に倒れているのは、普段クラスでずっと机の上で伏っして誰ともかかわろうとしない幼馴染の久東君だった。

久東君は、いつもと変わらずオドオドと目を合わすことなく声を出す。

どうやら久東君はいつもと同じ嫌いな感じのモードだった。だから距離をとって最低限な接し方をした。

なぜなら彼はアタシの事を覚えてないのだから・・・



「ヤッホーーーーー久東君大丈夫!!!」

「う・・・・・・うん」

「立てるよね?ほら手を出して」

「・・・・・・・・・・・・・ご・・・・・・・ごめん」

「あっ・・・・久東君!!!」

アタシが一声かけようとすると、久東君は顔を赤く照れながらそそくさと逃げていった。

最初に会ったときはこんなんじゃなかったのに・・・・・・なんでこんな後ろ向きな性格になったのかな?それとも元々こんなんだったのかな?

まぁ、いいや逃げたのなら追うつもりはないし、そんな時間はない。




とりあえずアタシは毎年のように行きつけの店に向かった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







買い物を済ませた後、アタシは、家の近くにある墓地に足を踏み入れる。その墓地は数段ある石段を上った先にあるのだけど、大抵の人は苦戦するほど段差はあるけど、アタシはそれほど苦戦することなく上り、母の墓の前に立ち水をかける。

「ママ・・・・・・・あれから十三年も経ったね。アタシはボチボチと楽しくやってるよ」

近くのスーパーと昔からお世話になってる花屋さんで買ったお花と果物とそして・・・・子供の時の淡い記憶だったけど、ママが好物だったショートケーキを供え、慣れないマッチで線香をあげた。

墓の前にはすでに先客が来た痕跡があり、すでに花と線香が供えていたようだ。どうやら杉山さんが午前に来たようだ。・・・・・・・・・あいつはいつものように来なかったけど・・・・・・



ここに来るのは、お盆の時以来かな?

今日はママが亡くなって十三年が経つ命日だ。アタシは例年通りにここに来ているのだ。普通の家族なら家族の命日ならば家族そろって墓参りをするのだろうけど、アタシの親父は薄情なのか忘れているのか分からないけどアタシとは行かないようだ。




で、さっき花を供えてくれたのはお手伝いさんの杉山さんだ。

あの人は、ママが生きていた時にお世話になった恩人だから例年通り来てくれるのだが、アタシはあえて杉山さんとは一緒に来ない。



別に嫌いではないが、お辞儀する時、ママとの思い出が思い出して泣いてしまう可能性があるので、一緒に来たくないのだ。だって家族以外にあんまり涙は流したくないからだ。

それくらいアタシは、涙もろいのだ。




「ねぇ・・・・・・ママ聞いてくれる?アタシ今年の文化祭ね・・・・」

アタシは例年通り母の墓の前でいろんなことを話す。

今年は去年通り学校生活もバンド活動も良くも悪くも充実していて、今年の文化祭で、注目を浴びたこと以外はほとんどネタは丸被り・・・・・というか、文化祭の事もお盆の時に話したんだけど、それでも新ネタを思いつきながら口に出した。

無論それを語っても死人に口なしなのだから、言葉が返ってくるわけではない。

けど、こうやって話してるのが一番落ち着くのだ。



「ん~~~~~~~~~~これくらいかな~~~~~~~結構話したかな~~~~」

予定通り母との対話が終わるころには日が暮れていた。墓の周りはアタシ意外人がいる気配はなく静けさが増す。



ママ・・・・・・ごめん。あれだけいろいろ話したけど、アタシまだ一歩踏み出せないみたい。彼は、アタシの事を覚えてないのは言い訳かもしれない。

けど、アタシも遊んでる風に見えて恋は苦手なんだよ・・・・

怒んないでよ。



言い残した後、簡単に片づけをした後、帰るために石段を降りる。

あーーーーーーーーーあ話しただけなのに・・・・もう疲れた・・・・・

明日もテストがあるのに憂鬱だな・・・・

ま、これ終わったら思いっ切りバンド活動があるから楽しめれるか。

最近バンドハウス移動したから新天地でがんばろーーーーーーーっと




ドン!!!

「え?」

な・・・・・・なに?突然背中に押された感じがし、アタシは一瞬空を舞った!!!

え?え?え?え?なにが起きたの?

ふと、後ろを見ると冷たい顔でアタシを押した人と目が合う。その顔は紛れもなくアタシの知り合いだ。

な・・・・・・なんでこんなことを・・・・・・

手を伸ばしても届くはずなく、そもそもその人もアタシの手を掴むつもりはなかった。

完全な逆恨みだ。




待ってよ!!!!!アタシはまだ・・・・・・まだバンドを楽しんでないし、パパを見返してないのに・・・・・それに・・・・・・あの人ときちんと話したことないのにあんまりだよ・・・・・・・・・・






「久東君・・・・・・・・」







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