あの時の悲劇がフラッシュバックする
今現在俺は涼風さんの家で朝食をシェアしているのだが、今そのお手つだいさんの杉山さんが昨日作り置きした、和食を食べているのだがとても美味しいんだけど、こんなの涼風さんは毎日食べているのかよ・・・・・すごいな。
対する俺が作ったサンドイッチはどうかな?
「・・・・・・・・」もぐもぐ
対する涼風さんは、さっきから無言でそのサンドイッチを吟味してるんだけど、まるで一流の美食家並みにタメが長く吟味してるのだけど、なんか怖いな・・・・・そう思った時、ついに口を開く・・・・・
「ん~~~~~~美味しぃ。久東君このサンドイッチめっちゃ美味しいんだけど!!!」
「え?」
涼風さんはそう言いながら頬をとろけだしながら、俺のサンドイッチを美味しく味わっていた。
その瞬間が俺にとっても最高な瞬間だった。
目の前にいる好きな女の子が俺の作った料理を褒めてくれるなんて・・・・
こんなの非リアの誰もが憧れを抱いてるシチュエーションなのだろう。
良かった。一周目の世界でちゃんと自炊していて・・・・
もし、一周目の世界に戻れる瞬間があったなら、そのサンドイッチを使い冷めきった同僚と親睦を深めるチャンスになるかもしれないぞ。
とはいえ、今この瞬間が最高な気分で元の世界に戻るなんて気持ちはさらさらないけど・・・・
人は見かけには寄らないね」
「それ・・・・・褒められてるのかな?」
「褒めてるって・・・・言うより意外かな?だってアタシが知ってる範囲の久東君は料理しているイメージがなかったから」
「確かにね・・・・・・普段の俺だったらまずはしないだろうね」
「普段の俺?」
「いや、なんでもないよ。それよりも涼風さんのお手伝いさんが作った料理もおいしいよ。今度お礼を言ってもいいかな?」
「うん、いいよーーーーというか、正直杉山さんの料理もう食べなれて、飽きたから今度から久東君の家に住もうかな」
「す・・・・・・・・住む!!!!!!え・・・・・・いいの?いやいやいやいやいうちには両親もいるし、マグロ丸関係であいつも来るし・・・・それに涼風さんの父親は許してくれ・・・」
「う・そ♡」
突然のことで興奮し頭が回らないとき、接近し甘い声をかけてきた。
う・・・・・・・・エッロ・・・・声もそうだけど、制服のボタン上からを第二ボタンにかけてしてないから谷間が見えてしまう。
これ明らかに誘ってるでしょう?
「アハハハハハ、冗談に決まってるじゃん。そんなのパパが許してくれるわけないじゃん。あーーーーーーーーあ、マジで久東君といると飽きないわ。笑いすぎちゃって喉が渇いたからお茶飲------もっと」
「あ・・・・・嘘ね」
いけない。油断してるといつもの涼風さんのペースに乗られてしまっている。せっかくの両想いなのに、俺最近頼りないぞ?飽きられる前になんとか・・・・・
ん?
今まで興奮と緊張のせいで、周囲は見えなかったから分からないが改めて彼女の右手を見るとグルグルに包帯が巻かれていた。
こんなの昨日はなかったはずなのに・・・・・
「ん?どしたの久東君」
「涼風さん、その右手どうしたの?」
「あーーーーーーーーあははははははやっと気が付いたか。ちょーーーー鈍感すぎるんだけど♪」
怪我をしてるのになぜか楽観的だった。
その怪我に対し俺は嫌な記憶を思い出してしまう。
ズキン!!!!
「これね。実は昨日の深夜、お腹空いたから夜食と紅茶作る時、誤って右手にお湯かかったんだよね。まぁ、利き腕じゃなくて助かったけど」
利き腕・・・・・そう言えば店長は、若い頃の事故で利き腕を怪我して一生ギターが弾けなくなったって言ってたな。
それにもう一つ・・・・・俺の一周目の記憶にはそれと類似する瞬間を見たことがある。その被害者は、目の前にいる君だった。
思い出すたびに悲しくなり、それと同時に己の無力さに腹立ってしまう。
「久東君!!!!!」
「ん?・・・・・・なに・・・・」
「なにじゃないよ。さっきからボーーーとして、なにか気分が悪いの?」
突然涼風さんの大声で俺は正気に戻った。その眼差しを見ると、心配してるのだと見てとれる。
「気分悪いの?」
「そうかな・・・・・・もしかしたら、早めに起きたつけが回ったようだ。めっちゃ眠いよ」
「うふふふふ、そう。なら、学校サボってアタシの部屋に寝ちゃう・・・・・・・なーーーーーーーんてね」ニヤニヤ
その挑発的な目で俺を見ないでくれよ。冗談だと分かっててもガチで襲っちゃうじゃないか。
犯罪者にならないように一歩とどめるように堪えた。
いや、両想いだから別に襲っても文句は・・・・・・いやいや付き合っててもDQNカップルのような後先考えない行為はしないと決めたんだ。なるべくプラトニックだ。
その後、登校時間になる間、いつもの涼風さんのからかいに耐えながら朝食ライフを終え、片付けた後一緒に登校することになったが、朝食を振舞ったせいか分からないが今日の涼風さんはとてもテンション高く突っ走っていて、追いかけるので精いっぱいだ。それに加え先ほどたくさん食べた朝食の影響か全力ダッシュしたせいで腹がゴロゴロして気持ち悪いがそれを耐えながらもついて行く。
「祐輔ちょーーーー遅いんだけど、ノロノロしてるとそのまま置いてっちゃうゾ」
「ちょっと待ってよ速すぎだって!!!」
まるで高校生と思えない無邪気っぶりで俺は翻弄されっぱなしだった。
けど、何度も言うがそれが人生最高の瞬間だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ぜーーーーーーーーーーはーーーーーーーーーーーぜーーーーーーーーーーはーーーーーーーーーーー」
全力疾走で彼女を追いつき気が付くと、登校中の学生が向かう学校の校門についた。
疲れたーーーーーーーーーこんなに全力で走ったのは、本当に何時ぶりだ?
そんなこと考えるよりまずは酸素の確保が必要で思いっきり息を吸う。
HR前に満身創痍な俺に対し涼風さんは、今のはウォーミングアップですよと言わんばかりに爽やかな顔を見せていた。
「とうちゃーーーーーーーーーーく。祐輔相変わらず遅いね。もうちょっと鍛えれば?」
「あはははは・・・・・そうしとくよ・・・・」
呼吸を整え、紳士的にかっこよくすると、クスリと笑っていて、一緒に教室に向かった。
ガヤガヤ
「なんだろ?」
教室に向けると、なにか事件があったかのようにうちの教室の外には多くの人だかりができていて、その中数人程教師もいた。
なんだか嫌な予感がするな・・・・・そう思うとうちのクラスの左近寺と園崎が慌てながらこっちに向かってきた。
「朱里ちゃん大変だよ・・・・・・いいからこっち来て」
「ちょ・・・・・・なんなの・・・・」
息を切らしながら園崎は涼風さんの手を強く握り、周囲の野次馬を押しのけて教室に入ったので、俺も二人のお陰で空いた隙間をくぐり教室に入る。
「・・・・・・・・・・・なんだよ・・・・これ」
教室に入った時俺は目をうかがった。
その教室の空間は一点を除いていつもと変わらぬ風景だ。
それは、涼風さんの机が赤いペンキで塗りつぶされ、さらに中の筆記用具が周囲に散乱し、そしてその机の上には『警告』と書かれている白いA4用紙が中心に張られていた。
これは、見え透いたいじめというより、殺害予告に似たような感じだった。
う・・・・・・・・・・・嘘だ・・・・・・・・あの時と違う・・・・
「ひ・・・・・・・ひどい・・・・誰がやったの・・・」
「それが私たちが来たときにはすでにこうなってたんだよ。朱里さっきからずっと携帯鳴らしたのに返事がなかったんだもん」
「おい、お前達勝手に入っちゃいかん!!!涼風お前は、別室で移ってもらうぞ」
「は・・・・・はい」
「後、他のクラスは関係ないから自分の教室に戻れ!!!さぁ早く」
「はぁ・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・」
あれ・・・・・・おかしいな・・・・急に胸が締め付けられてるように苦しくて呼吸ができない・・・・・・なんでだ・・・・・
なんでなんでだよ・・・・またアレが起きるのか・・・・・・
「祐輔!!!!」
突如として意識が朦朧とし、脳内に一周目のあの事件が脳内にフラッシュバックした後、涼風さんの声に反応することなく闇に落ちた。




