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粛清されると思ったら・・・・・

「ごちそうさま・・・・・・・」

その日の昼休み俺は自分の机にてボッチ飯を終わらし手を合わせる。

本来の予定なら彼氏彼女になった涼風さんとこの晴天の下中庭で一緒に食事をするというラブコメ漫画的なイベントを期待してしまったのだが、なにを思ったか涼風さんがみんなにバラシてしまい、お陰で涼風さんを慕う一部のファンからは白い目で見られ、明日ヶ原には『ニャン公の件があるから大目に見るが、付き合ってるとはいえ朱里に如何わしい事をしたら殺す』と殺害宣言をされた。

さらには、その友人らに俺と付き合って成り立ちが聞くために彼女を食堂に連れて行かれてしまったのだ。



なので、もともと地味キャラの俺は誰にも興味を示さないまま絶賛ボッチライフを満喫してるのだ。

うん、この落差すごいな。午前中の注目が嘘のようだ・・・・

普段昼飯は、佐々波と食べるのだが現在疎遠状態で他に親しい人物はいない。

まるで一周目の自分に戻ったような気分だ・・・・

こういうの久々だから誰かと話たくて寂しさが増してしまう。



「よぅクトウ」

「ん?誰だっけ?」

「誰って人聞きが悪いな。俺だよ坂本だよ」

ボッチ生活を堪能してる中、茶髪イケメンの坂本なる人物が後ろに陽キャ達を連れて話しかけてきた。



「ギャハハ残念だったねぇ。坂本ちゃんは最近影が薄いから工藤君の記憶が覚えてないってさ!!!!」

「んだと!!!!こつの名前を間違えてるお前に言われたくねぇよ。こいつの名前はクドウだ馬鹿野郎。俺の恋のキューピット様だぞ」

恋のキューピット?ああ、リア充Aのことか。

そう言えば前にこいつと同じクラスの池さんをくっつかせたのは俺だったな。まぁあれは一周目の運命を元に助言をしたから別に助けたわけではないけど、嬉しくしてるから否定する気にはならない。



で、そのリア充グループが雁首揃えてなんの用かな?こいつら涼風さんとも仲がいいから、明日ヶ原に頼まれて俺をリンチするのかなーーーーなんて・・・・




「で、なんのようかな?」

「黙ってこっちこい!!!」

なんか親指立てて教室外に出ろって指示されたんだけど・・・

やっぱリンチかよ!!!



「ああ・・・・」

不安で腰が曲がりおどおどしながらも俺は彼らに連れて行かれる。

奴らも馴れ馴れしく俺の肩を掴みなんか色々話しかけているのだが、怖すぎて半分話を聞いてなかった。

ど・・・・・どうしよう。一周目の俺は地味すぎていじめられることはなんとかなかったけど、これ完全にいじめルートじゃないか。こんなことなら、二周目の世界にいる間YouTubeとかで護身術の動画を見て実践練習すればよかったわ。




「ここだ。よし入るぞ」

「え、音楽室?」

どうやらリンチ場所にたどり着いたようだ。そこは三階の音楽室でそこの中から吹奏楽部が練習しているらしく中からトランペットの美しい音色が外まで響いていた。なるほど、俺の処刑は音楽を聞きながら痛い目をあうのか・・・・DQNの考えてることはいちいち理解できん。

とりあえず警戒しながらゆっくり開けるか。




「し・・・・・・失礼します」

「ウィース!!!左近寺ちゃんと連れてきたぞ」

「あ・・・・・ありがとう」

「zzzzzz」

中にに入るとうちのクラスの左近寺を始め何人かが練習をしており、俺らが来ると音がやんだ。

え・・・・左近寺って演奏部だったんだ、初めて知ったな。まぁあいつは陽キャの中で大人しめの方だからなんとなくそういう雰囲気してたから納得だな。

というか、みんなが演奏してるとこの一番奥に、キャラ物のブランケットをかけて誰か寝てるんだが・・・・

この見慣れた茶髪、まさか・・・・・・





「ほら、朱里ちゃん噂の彼氏が来たから起きてよ」

「ん~~~~~~なに、・・・・あ、祐輔オッハーーーーーー」

「お・・・・・・おっはーーーー」

左近寺の呼びかけで起きたのは、予想通り涼風さんだった。この時間が少ない昼休みなのにまるで数時間ぐらい寝たくらいに頭がポヤポヤとして寝ぼけていた。

いや、おっはーーーというよりもうお昼なんだけど・・・・





「てか、なんで彼女がここに」

「あ、そっかお前は知らないんだな。こいつ昼休みの時はごくたまにここで寝てるんだぜ」

「そうなの。うちの吹奏楽の担任は放任に近く昼休み問わず自由に使わせてくれるから、朱里ちゃんに貸そうとしたの」

「だってぇ~~~~~保健室はもう貸してくれないし、ここで寝るしかないじゃん」

「そ・・・・・そうなんだ。勿論明日ヶ原さんはこのことについてご存じなんですよね?」

「ビクビクすんなって!!!その件は明日ヶ原も知ってるから今頃うちのツレと食堂でダベッってるから大丈夫だ。それにな、俺達がお前を呼んだのは朱里なんだからよ」

「 え?」

馴れ馴れしく坂本は俺の肩を組み涼風さんの方を指を指す。その時の彼女の顔は、赤くなり少し俯いていた。



「えへへへへへへへへへへ、だって、午前中はアッスーとか他のみんながいてまともに話すことができなかったじゃん。ホントは学校が終わってからいろんなこと話したかったけど、我慢できなくなっちゃった。いいよね、久東君・・・・」

一度だけ名字呼びに戻り俺にほほ笑んだ。

彼女のせいでいろいろ大変で怒りそうになったけど、この顔を見るとその気になれない・・・・・

甘々だな・・・・俺は・・・




「それじゃぁな。楽しめよ」

そう言いながら坂本達男子達は茶化すようにこの場に去り、この場には俺と涼風さんと左近寺と数人の吹奏楽部の女子が残っていた。

楽しめって・・・・数人の吹奏楽部の前でイチャイチャするのかよ俺達は・・・





「わ・・・・・・私達のことはいないもの扱いでいいから二人でイチャイチャしてていいからね」

左近寺達吹奏楽部はさっそく俺達に気にせず演奏の練習をしていた。まぁ、俺達がいるところの前は、机や椅子で机遮られていて彼女らにはよっぽどなことをしない限りは見えないけど・・・・それでも人がいる前のイチャイチャはなんか抵抗があるな。



「いや、そんな事言われても・・・」

「あ!!!なにその言い方・・・・もしかして祐輔クンは、アタシだけでは飽きたらずサコちゃん達と乱〇パーティー的なことをしたいとか期待してたのかなーーーー」ニヤニヤ

「む・・・・・・そんなことを言うの止めてくれよ・・・・俺は今涼風さんで頭がいっぱいなんだから・・・」

「アハハハハ、その答え正解だよ。もし間違ってたら思いっきりビンタをしようと思ったよ」

そう言いながら涼風さんは床に正座をして、自身の白い肌を軽く触れていた。

このシチュエーションまさか・・・・




「ほら、久東君来なよ 。・・・・・彼女になっての初めてだから・・・・・ひ・・・・膝枕してあげるから・・」

な・・・・・・・なんだってーーーーーーーーー!!!!!!

初めての彼女との共同作業が膝枕だと!!!!

こんなの思春期の男子高校生がやってほしいランキングのトップクラスに入るイチャイチャイベントじゃないか!!!それを涼風さんの口に言わすなんて最高かよ。

感情を表に出さないように堪える。



「アハハハハ、なにその顔、別に我慢しなくていいのに・・・・・」

「そんな・・・・こと言われても、彼氏として変な顔はできないよ」

「なら、その顔アタシにだけ見るからほら、サッサと座るーーーーーーー」

「ちょ!!!」

涼風さんに半ば強引に頭を膝に突っ込まれ、結果的に膝枕をしてもらった。





な・・・・・なんだこの感触は・・・・

首の後ろから伝わるぬくもりと程よい感触に枕とは一味違う心地よさに上から見える彼女の顔・・・・・最高の構図だ。




「どう気持ちいい?」

「う・・・・・・・・うん思ったよりちょっと固いかな」

「ええ~~~~~~彼女の前でそんな失礼な事を言うんだね~~~~さいてーーーーーーー」

しまった。気が抜けてつい思ったことを言ってしまった・・・・

あまりの失礼な口ぶりで演奏中の部員も共感するかのように首を縦に振っていた。

とにかくこのままだとせっかくいい空気が台無しになってしまう。それだけはいけない。




「ごめんごめん。俺が悪かったどうか許してくれませんか?涼風様。俺コミュ障で人見知りが激しいからつい本音を言ってしまうんだ」

「これ、本当に謝ってるのかな?完全に言い訳な感じがするんだけど、まぁ最初だから目をつむるとしますか・・・」

「ありがとうございます。もうしません!!!!」

必死の誤りでなんとか許してもらい改めて膝枕を堪能する。

確かにガリガリとは言わないが少し肉が足りなく固い感じはするがそれでも、じっとしてるとついつい寝てしまうな。このまま寝たら間違いなく午後の授業を遅刻するがなんとか堪えるしかない。





「足?痛くない?痛かったらすぐ起きるから・・・」

「確かに少し痛いけどしばらくこのままでいてほしいかな?君にどうしても謝りたいことがあるから」

そう耳元で吹き込まれ頭にはてなマークが浮かんだ。なんだろ謝りたいことって?



「久東君、本当はアタシとの付き合いは静かにしたかったんだよね?でもアタシどうも静かにするのが苦手で、なにより初めてできた彼氏相手だからみんなに自慢したかったから・・・・・・・本当にごめん」

「いいよ・・・・・・俺だってさっきの失言をしたからお互いチャラにしようよ。それに・・・・・せっかくの青春を地味に静かに過ごすなんてもったいないような気がするよ。せっかくの一度きりの人生なんだから好きなように行こうよ」

「そうだね。君も結構いうもんだね」

「そりゃどうも」

本当は二回目の人生で少しズルをしてる気がするけど、貰ったチャンスを生かすのも人生だからな。バチは当たらないだろう。





「祐輔・・・」

突然そう呼ばれ同時に両手で俺の頬を掴んで・・・・・目をつぶりながら段々と顔を近づけてきた。

え・・・・・・え・・・・・・いくらなんでもそれは大胆過ぎじゃ・・・・

まだ心の準備はできてないしそれにみんながいるし、どうしよう・・・・・






「キャーーーーーーーーー!!!!誰!?」

タッタッタッタッ

「なんだ!!!」

いきなり吹奏楽部の部員が大声を出しドアの入り口の方に指をさし腰を抜かしていた。ビックリしたので俺達二人はせっかくのいいムードを中断して飛び上がった。





「なに、どうしたの?」

「あ・・・・・・・あのさっき入り口の窓から変な男の人がこっちを覗いてきて、気づかれると逃げてました」

「男の人?」

その部員の言う通りかすかに悲鳴と共に逃がさる音がしていた。

あれはいったい誰なんだ・・・・・・・・







念の為にドアを開け追いかけようとすると影も形もつかめなかった・・・・




「祐輔もういいよ・・・・それよりもう時間だから戻ろっか?」

「うん・・・・・」

少し気になったが、もうすぐチャイムがなるのでそのことを胸の内にしまい、俺達二人が一緒に行動したことを明日ヶ原に悟られないように別々に帰ることにした。


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