サラッとバラらすスタイル
明日ヶ原を追い出した後、母さん達にいろいろ言われたが、聞く耳を持たずさわやかな朝食をし、学校に向かうのだが・・・・・・なぜか、明日ヶ原は、俺が来るのを待ち伏せし、先ほどの恨みのせいか俺の事をにらみながら一緒に着いてきたようだ。
「・・・・・・・・・・・・・」じーーーーーーーー
やれやれどれだけマグロ丸の事が好きなんだか・・・・
一方的に放置をしていたがそれでも貫かれるような視線で見られてしまうので、とてもいい感じがせずに結局教室に入るまでこの状態が続いていた。
「おはようアッスーってなんで、クド・・・・・じゃなかった久東と登校してんの?」
そしてその光景に違和感を覚えたのか、明日ヶ原の友人の園崎が胸を揉まれる覚悟で問いかけてきた。
「さぁねぇ・・・そんなの本人から聞いてくれぃ」
ムスっとした感じで鼻息を鳴らし、気分が悪いせいかセクハラをせずに、未だに俺をにらみながらドカッと音を立てて自分の席に座った。
園崎もセクハラをされないから安心していた。
けど、先ほどのいい気分が一変こいつの、眼力でこっちの精神まで病みそうなので、ため息をしながら俺も席に座ろうとすると、目の前に男子生徒が声をかけてくる。
やれやれ、佐々波か・・・・あいつには悪いが愚痴に付き合ってもらうか・・・
頭を上げるとそれは奴ではなかった。
「よぅ、クドウ君だっけ朝から大変だな・・・」
「ゴリ本なんで・・・」
それは、毎度涼風さんに玉砕をされているゴリ本こと藤本だった。
やつは、普段見せないようなウインクをしさわやかな顔で俺に接近してきた。
はぁ~~~~~~ますます朝から見たくない顔が増えてきたな。
「ゴリ本なんて失礼だな。人の名前を間違えるなんて最低だぞ☆」
「そのセリフそのまま返すよ。後、あんまり話したことないのに馴れ馴れしく話しかけないでくれ・・・・・不愉快だよ」
「むむむ・・・・・普段のお前ならこんなセリフを吐かなっかったのになにがあった!!!」
先ほどの気持ち悪い口調を変えいつものような暑苦しいテイストに変えていた。
なんで初対面なこいつに心配をされなきゃいけないんだよ。
とりあえず話だけ聞くか。
「それにしても、久東だっけ?涼風が休学になって退屈になってこのクラスを観察したら、どうも最近、お前はあの明日ヶ原と仲がいいじゃないか?」
「あ!!!!」ギロッ
「ひぃぃぃぃぃぃ」
話を聞いてたか、明日ヶ原はゴリ本に向かって威圧を向け、やつは俺の袖を触れ怯えた声を漏らしながら影に隠れていた。なんというかその屈強な体格に反してヘタレすぎて哀れだ。
そして明日ヶ原に聞かれないようにコソコソ話をしてきた。
「でだ。そこで頼みがある。なんとか明日ヶ原と付き合ってくれないか?」
「は?」
何言ってんだ。この男は・・・・・・
あまりにもアホすぎて、声が出なかった。
「なにを言ってるんだ。君は・・・寝ぼけているのか」
「大まじめだ!!!久東お前が、明日ヶ原とくっついて女にすれば、涼風を邪魔する障害なんて俺にかかれば簡単に跳ね返される。頼むなんとかしてあいつを口説いてくれないか・・・」キラキラ
なんか暑苦しくて引きそうなキラキラとした眼差しにこれまた湯気が出そうな感じの暑くて太い手が俺の両手を強く握って訴えっているんだけど・・・・・
いや、アンタが涼風さんが好きなのは、分かってるよ。でも、その苦手な奴を他人に任せるのはどうかと思うぞ。
それ以前に涼風さんはゴリ本のことなんてなんとも思ってないし、なにより俺の彼女だから・・・・
なんかすみませんね。
「ほぅ・・・・・まだお前は、朱里の事を諦めなかったのかぃ?これは仕置きが必要だねぇ」
「明日ヶ・・・・・・・いたたたたたたたたたたたたったたたたいつの間に」
その時俺の後ろにただならぬ殺気を感じ振り向くと明日ヶ原が汚物を見るような顔で見下し、素早い手刀で俺の右頬をかすりその先にいるゴリ本にアイアンクローを噛まし、無理やりそいつを立ち上げていてしまい、その悲痛な声が教室中を木霊した。
「ごめんなさい。ごめんなさい。今のは冗談ですから・・・・・・」
「冗談?それ今までで一体何回言ったのかねぇ?馬鹿に知能なさそうだから一回息の根を止めてみるか
ぃ?」 少々おちゃらけた口調をし、冗談な感じを出しているが目は瞳孔が開いていて完全にこれから人殺しをしそうな眼だ。
明日ヶ原的には軽い暴力を振るおうとするが、下手すれば血が流れる可能性があるので止めに入るか。
「それくらいにしておけよ。明日ヶ原マグロ丸に会わせないぞ」
「・・・・・・・しょうがないねぇ。これで勘弁するか」
「ぷはぁ助かった・・・」
マグロ丸の事を出すと観念したか息を思いっきり吐きだし気だるな感じでゴリ本を解放した。
「ちっ、朝から余計な力を使ってしまったねぇ」
「なぁ、明日ヶ原」
「んあ?なんだい。今度はお前が相手になるのかぃ?」
「そうじゃないんだ。先ほど藤本が涼風さんの話題を触れて思い出したけど、彼女の週末なにか変化なかった」
どさくさに紛れて明日ヶ原にその後の涼風さんの様子を聞くことにした。軽く舌打ちをされたが、軽い感じで教えてくれるようだ。
「別に・・・・いつも通りわたしのスキンシップを受け入れて、たいして変わりはないけどねぇ。左近寺、アンタからしたらどう思う」
「なんで、どさくさに紛れて胸を揉んでるのかな?・・・・・んーーーーーーアッスーの言う通り、昨日は普通に買い物をしていて、朱里ちゃんは元気でなにも変わらなかったけど・・・・・・ただ一つ違和感があったね。なんかこう・・・・・うまく表現できないけど女の匂いがしたような気がするんだけど」
「女の匂いなんだぃそれは?なにを訳の分からないことをいってるんだぃ?」
「こっちだって何言ってるか分からないけどなんか、そんな感じがするの。っていうかいい加減に放してよ。乳もげるから」
女の感か・・・もしかして、念願の彼氏ができたから喜んでいるのか?
もしそうなら、あの時の件は決して演技じゃなくて本当だったってことが確証した。
ふふふふ・・・・これほど以上の幸せなんてあるはずない。
「うふふふふふふふふ」
「何笑ってんだお前・・・なんか気持ち悪いぞ」
「ご・・・・・ごめん」
「みんなおはよーーーーーーーーーー」
ゴリ山にうっかりにやけ顔を見られ、少し恥ずかしい気分になってる間、俺の彼女の涼風さんが飛び出す勢いで参上した。
数日ぶりの通学なので、クラスメイトとゴリ本は一気に注目していた。
「おはよう涼風さん。体調大丈夫?」
「うん、絶好調だよ。みんな心配かけてごめんね」
「朱里ちゃんおはよう。昨日は寝れた」
「寝れたけど、まだ寝たらないな・・・・ふぁ・・・」
そう言いながら軽く欠伸をし、ホンの一瞬だけ目が合い。周囲にバレない程度に手を振ろうとした瞬間さっきまで俺の机の前にいた信者二人(ゴリ本と明日ヶ原)の魔の手が涼風さんに迫ろうとする。
「涼風ーーーーーーー!!!!やっと来たかーーーー俺はお前のことがす・・・・・」
「どけ!!!!」
「ブゲラ」
信者その1、その浮かれようも虚しくその2に足蹴りを食らい、ロッカーに叩きつけられ再起不能になった。
そしてその両手はまるで電動マッサージのように震わせ、不敵に笑いながらあっという間に涼風さんの前に立ちはだかり挨拶と名ばかりのセクハラをしようと手を伸ばす。
「朱里ぃ。相変わらず元気だね。まずはその唇をいただこうかねぇ」
「久東君、おはよーーーーーーーそしてえいっ」ダキッ
「!!!!!!」
「えへへへへへへへへへへ、うりうり~~~~~~」
突然何者かに抱き着かれた感覚が走り、見下ろすと涼風さんが俺の制服に小さい顔をゴシゴシとこすりつけてスキンシップをしていた、
その光景を見たクラス一同は、絶句する。
先ほどの涼風さんの行動は、親友の明日ヶ原のセクハラを避け、このクラスで最底辺に近い俺に、今まで見せない甘え方をしてという事なのだ。
「え、え・・・・・え?今見たよな。涼風さんが、いきなりクドウに抱き着くなんて」ざわざわ
「あいつらクラス委員だから結構絡んでたからなな。まさか、本当に付き合いだしたってことはないよな・・・」ざわざわ
「あり得るわな。しかし一学期の時は、影が薄いやつが急に勢い着くとかあいつなにがあったんだ?」ざわざわ
「でもそししたらアッスーぶちきれるんじゃないかな?ただでさえ彼の事よく思ってし」ざわざわ
この奇怪な行動にみんないろんな憶測を考えてる。まずい・・・・ここで俺達の仲がバレたら最悪一周目の世界より悲惨な目にあってしまう。そこはなんとか止めないと・・・・・
「みんな実は・・・・・・・」
はーーーーーーーーい!!!!その通りアタシ達付き合ってまーーーーーーす。そうよね?ゆ・・・・・祐輔?」テヘッ♡
『なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』
サラッとバラしちゃったよーーーーー何考えてるんだよ。涼風さん!!!!あれだけ秘密って釘指したのに!!!!
この暴露顔可愛いけどそれは別だ。教室中にどよめきが走っている。
素直に喜んで励ましの言葉をくれる者もいれば、妬ましい眼差しで俺を睨んで陰口を履いている奴もいる・・・・・・・けどそれよりもっとやばいのは・・・・
「クドウ・・・・・・・・・・」
「ひっ・・・・・・・明日ヶ原さん」
後ろから禍々しい気を放ちながらゆらゆらと揺れ、病んでる瞳で俺を睨みながら、今朝俺んちからパクったおもちゃの刀を静かに抜いていた。
その容姿はまるで鬼のように恐ろしかった。
「今の話は、本当かぃ。なら、殺すか・・・・」
「駄目だよ。アッスー祐輔はアタシのものなんだから」
「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
涼風さんが再度俺に抱き着くと明日ヶ原はまるで壊れたラジオのようにケラケラ不気味に笑っていた。周囲はとても恐ろしくみんな一斉に後ろに後退していた。
俺死ぬの?
キーンコーンカーンコーン
「お前らなにをやってる?席につけーーーーーーーってなんだこの空気は?」
その時チャイムが鳴り響きホームルームが始まり担任の山口先生が入ってきて颯爽と教室の違和感を感じていた。
「おい、明日ヶ原お前何を持ってるんだ。それ没収にするぞ」
「いいですよぅ。その代わり久東くんをここから突き落としていいですか?」
「いや、駄目だよ。というかなにがあったか説明してくれ」
その後山口先生の必死な説得で明日ヶ原の暴走は未遂で終わったが、授業中あいつがずっと俺のことを殺意の籠った眼力で睨んでいるのは言うまでもない。




