プールでのトラブルにご用心
食事を終え、満腹になった後俺達は、流れるプールにて遊ぶことになった。
この流れるプールはこの施設の中で人気なので、夏でもない季節にも関わらず、若干今出ているので少し窮屈だが、涼風さんはその人混みを潜り抜け進んでいた。
「はぁ・・・・・気持ちいい。快適だね~~~~~。っておーーーーい久東君
遅ーーーーーーーい。こっちこっち」
「ちょ・・・・・待ってよ!!!!」
口調からして涼風さんの様子は、食事中のピリピリ感が無くなり完全に前の事を忘れて楽しんでるようだ。ホント機嫌が直って良かったよ。
俺はなんとか涼風さんに追いつくことができ近づこうとすると、涼風さんが、にやにやと笑いながら手で水鉄砲を発射し、それは俺の頬に目掛けてかかってしまい冷たく感じた。
「うわっ・・・」
「あはははははははははははははははははははははは。大当たり!!!」
「涼風さん・・・・・・なにを」
「うわぁ、予想以上に命中してるし・・・・・久東君びちょびちょですごく面白いんだけど」
「くそぅ。やったな!!!」
仕返しにプールの水をすくい、周囲の客に迷惑が掛からないように、かけようとするも、サッとよけられてしまった。
「おっと・・・・大ハズレ。へたくそ~~~~~~~・・・・・・・・えい!!!」ピュッ
「くっ」
続けざまに水をかけられてしまい、俺の頭はプールの中に潜ってもないのにぐっちゃりとしていた。
それを見た涼風さんは大笑いしながらそそくさと逃げて、まるで『追いかけてこい』と言わんばかりに逃げるように先を進んでいた。
まさか、今もこうして涼風さんとカップルが如くはしゃげれるとは思わなかったな。
「やったな!!!涼風さん!!」
こんなことは一周目では決して体験できないことだから、思いっきり羽目を外して彼女を追いかけようと、身体のバネとプールの順流を使い泳ぎながら一気に追いつくことにするが・・・・・その途中頭を上げ、涼風さんの方に目を向けると、その先にいる彼女は、いきなり泳ぐのをやめ、流れるプールの隅に寄り、身体の正面をつけじっとその場をやり過ごしていた。
一体何があったんだ?とりあえず彼女に近づことにした。
「・・・・・・・」
「涼風さんどうしたの」
「く・・・・・・久東君・・・・アタシちょっとやらかしてしまったから・・・・・できれば前を見ないでほしいかな・・・・なんて」
「え?」
近づくと涼風さんはまるで蒸気のように顔を赤らめ必死に上半身を周囲に見せないように後ろを向いていた。
それもそのはず、今の涼風さんの状態は上に水着がつけてなかったのでそれを懸命に隠していたのだ。
「あはははは水着が取れちゃった。どうしよう」
そう、声を震わせながらこっちを見ていた。
それもそのはず、あんな身体に合わない水着を着て動きまくったものだから、はだけるのは当然だ。
とりあえず俺は、見ないように紳士的に横に向くことにするが、男のサガなのだからつい、目だけはチラッと見てしまう。
「あ、今、目だけチラッと見たでしょ?そんなことするなら絶交にするよ」
「ごめん」
げ・・・・・そんなとこまで見られるなんて、なんて鋭いんだ。
いや、そんなことより俺に出来ることは、今の涼風さんの痴態を周りの客に見せないように、自身の身体を使い覆いかぶさることにする。
今俺の胸板は涼風さんの背中にくっついて文字通り至近距離で接近してるので、こっちまで恥ずかしくてのぼせそうだ・・・・・
「ちょっ・・・・久東君・・・近いんだけど」
突然近づいたせいなのか涼風さんはビクッと上に軽くはねてボソボソと俺の耳に小さく囁く。
「ごめん・・・・これも涼風さんを・・・・・・護る為だよ。決してやましいことなんて考えてないから・・・・」
「それは分かってるよ・・・・・けど、この構図すっごく、エロいんだけど」
「は・・・」
そう言えばそうだ。慌ててきづかなかったけど冷静に考えれば、男女が互いに顔を赤らめ背後から抱き着くように密着するなんて、水着が外れるより恥ずかしい行為に見えてしまうな・・・・・
「ごめん・・・・今退くよ」
「いや、それだとアタシが胸丸出しになってるのがバレちゃうから、できればもう少しいて欲しいかな・・・・なんて」
涼風さんは、そう言いながら、恥ずかし過ぎて震えていた手を、逃がさないように両手でホールドしていた。
そのせいか、胸元に密着していた彼女の心臓の鼓動が、ドクンドクンと響くのが感じてしまう。
「・・・・・・・・」
あれから、軽く数十秒は経過したか、俺たちは、以前無言でなにもしないままこの状況にいたる。
くっ、今すぐ動いて、涼風さんの水着を探したいのだが、手を強く握られ動けない。
はっ、もしかしていつものように、涼風さんはこのプレイを楽しむ為に俺をからかってるのか?
いや、そんなはずない。これは本気で焦ってる感じがする。
普段俺をからかうのなら、多少の余裕を見せるが、今の状況それどころじゃない雰囲気をしている。
どの道このままではなにも進むことはできない。まずは、この手を離すよう声をかけないと・・・
「あの〜〜〜〜どうされましたか?」
そんな絶望的な状況の中頭を上げると、ここの女性スタッフが、困ってる俺達に気が付いて腰を降ろしながら声をかけてきてくれた。
た・・・・・・・助かった~~~~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後俺達はその親切なスタッフさんに事情を説明しすると、スタッフさんは上半身裸の涼風さんにパーカーを貸してあげてなんとか上に上がることができた。
さらに、幸運なことに行方をくらました涼風さんの水着についても先ほど別のスタッフさんから届け出が来たようで、なんとか水着が戻ることができた。
これに反省したか、涼風さんは一度プールから上がり、丁度いい水着を買う為売店に向かったようで、俺はその間、その流れるプールに何も考えずに漂っていた。
先ほどの出来事のせいか俺は上の空でなにも考えることができなかった。
それは涼風さんが新しい水着に着替え直しても変わることはなく、涼風さんを見ると意識しすぎてなにも反応できなくなってしまう。
そんな俺に対して涼風さんはいつものようなテンションで再びプールに戻るが、あの時触れた涼風さんの肌が脳裏に焼き付いてしまい、その後の対応にもあまりいい反応を出すことができなく、涼風さんもそんな俺に対して冷めたような気分になったのがなんとなくそう感じてしまった。
こうして夕方前に温水プールを楽しんだが気分は曇り空。
挽回しないまま終わった。
結局俺はこの二周目でもヘタレは変わらないままだ・・・・




