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母から渡されたもの

『おかけになった電話番号を、お呼びしましたがお出になりません・・・』

「はぁ・・・・・・」

自室にて、俺は寝そべり気力が抜けるようなため息をしながら、涼風さんに電話をかけるのだが、ずっとこの調子。まったく連絡が取れなかった。

いや、それどころかこのところ一週間近くも彼女にまったく出会ってないのだ。



涼風さんは、あの父親に出会って以降、学校どころかバンド活動に参加をしなくまったく音沙汰がない。

勿論どこかのホラー小説のように神隠しにあったわけではない。

うちの担任の山口さんによるHRでは、あの父親から『娘は、体調不良のようで自宅で安静しており、しばらくは時間がかかるが体調が回復したら学校に復学する』と連絡があったようだ。




この内容なら傍から見れば別に大したことはないのだが、明日ヶ原を始めとするリア充グループは、あれから五日も経ったのだが俺と同じように連絡をしたが連絡はなく、自宅を訪問したが家政婦さんに追い出されたようで、不安を浮かんでいた。



どうやら涼風さんはあの父親から罰というのを受けていてしばらく家に出られないようだ。




当然クラスメイトに連絡がないのならバンド仲間にも連絡があるはずもなく、おとといあった新天地のライブハウスでの初ライブも、涼風さんがいないので三人だけで行っていたようだ。

俺もその当日、出向いて観戦していたのだ。

彼女がいないバンドなんて物足りなく感じ行きたくなかったが、それでも彼女が途中から乱入する可能性があったので最後まで見ることにしたが結果は御覧の通り来なかった。



結局彼女は最後まで来ず、例の新曲は次に持ち越しになったのだ。





コンコン

「祐輔入るよ」

「うわっ!!!母さん突然入って来るなよ!!!」

「なにって、こっちは普通にノックはしたよ。もぅ!!!」

なんでこっちが不機嫌になってんだよ。普通ノックした時に本人の返事があったらドアを開けるのが常識だろ。

まぁ今はベッドでゴロゴロしてるからよかったものの、自慰行為中なら間違いなく死にたくなるくらいの絶望だからな。




「最近アンタ情けない面してんね。そりゃ、アンタみたいな冴えない男が女の子とHできるというチャンスを逃したのは仕方ないけど、こうも陰気な気分を引っ張られたらこっちにも迷惑かかるのよ。女の子は星の数くらいいるからしっかりしなさい。どうしてもっていうなら、たまに家に来てくれる楓ちゃんに彼女になってもらえるか頼もうか?」

「余計な事しないでほっといてくれよ。後、そんなこと明日ヶ原の前にやらないでくれよ。俺粛清されるから」

「粛清って馬鹿ねぇ。楓ちゃんのような礼儀正しい子に限ってそんなことするはずないじゃない」

俺を二周目に転生させた神様お願いですから、ここにいる常識外れの母親を明日、俺と同じ年齢の高校二年生として若返らしてうちのクラスに転入させてください。

この世間知らずの母親に明日ヶ原の変態ぶりを見せたいんです。



「で、用件はそれだけか?用がないならサッサと出てってくれないか?明日も学校なんだから」

「用があるから来てんのよ。はいこれ・・・」

「ん?」

そう言うと母からクシャクシャになってくたびれたチケットのようなものを二枚渡された。




「なにこれ?えーーーーーと温水プール?確かここ、最近隣町にできたレジャー施設だっけ?」

「そ、実はこれ、半月前にうちの昔の同僚と喫茶店で偶然出会ったときに渡されたのよ。なんでも、そこの娘さんがそこでバイトしてるから機会があったら遊んでくれって・・・・・・でも、私泳げない体質で、貰ったものは断れない性格だからそのまま放置してたけど、これを気に渡すことにするわ。どうだ、感謝しなさいよ」ドヤァ

そんなドヤ顔で言われても只々リアクションに困るだけだ。

それに、このクシャクシャ具合どうみても放置じゃなくて、普通に忘れてゴミと一緒に捨てたものだろ?その証拠に、片方のチケットの右端に醤油のようなシミが付着してるんですけど・・・・

けど、せっかくの御行為だから貰っておくか。



「ありがとう母さん」

「お礼は、彼女ができてから言いなさいよ」

「そうだな・・・」

期限は、明後日の土曜日までだけど、ないよりはマシだ。

その間涼風さんと連絡が取れればいいけどなぁ。



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