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明日ヶ原楓⑤

殴られた俺は、鼻血が止まらなく、クラスメイトに駆けつけてもらいすぐに保健室で処置を受けることになった。 


症状は、意外にも大した怪我はなく、処置を終えたころにはすでに鼻血が止まり、絆創膏をつけてもらった。 そして俺が保健室から出てみんなと合流する頃にはすでに練習が終わったようでみんなにお礼の言葉を告げた後、その場で解散して帰ることになった。



その下校中、陽は落ち始め、冷たくなってきた風により怪我した鼻を痛く感じつつも、なぜか明日ヶ原も俺と一緒に家に向かうことになったのだ。





「たくっなんでわざわざ家に来るんだよ・・・・いいんだよ。そんなことしなくても」

「何を言ってるんだぃ。わたしの不注意でこんなことになったんだ。せめて謝らせてくれぃ」



あの事故は本人の勘違いで起こったことで、あの後涼風さんにも怒られ反省しているようだ。


それで反省したか。 怪我した俺にもすぐに謝罪をし、これですべて丸く収まったと思いきや、なんとこいつは、うちの両親にも頭を下げるというのだ。

確かに、本人の顔を見ると十分に反省してるくらいしょげているが、別にそこまでしなくていいと思う。

意外にもいい人過ぎるだろ。






今でも悪かったと思い俯きながら歩いてるのだが・・・・なんかいつものこいつとキャラが違く、調子が狂うんだよなぁ。



その違和感を覚えながらも俺は、案内しようやく家にたどり着く。



「ここだよ」

「そうか・・・・では、きちんとしなくちゃいけないねぇ」

そう言いながらイヤホンを外す。ここまでは、常識として当たり前なのだが、なぜか着崩した制服もきちんとボタンをし、ネクタイもしていた。 いやいやお見合いじゃないんだからそこまでしなくていいのに。 どこまでも真面目だなぁ。

その真面目さを普通の学校生活でもしっかりとしてくれよ。





明日ヶ原の『これでよし』と言葉が漏れた後俺は、扉を開けただいまと告げる。

この時間、母さんは夕食を作ってる最中だろう。



「ただいまぁ」

「ニャーーーーーー」ダキッ

「おーーーーーーマグロ丸」

玄関のドアを開けるといつものようにマグロ丸が飛びついてきて俺は抱きかかえ、鼻にしてる絆創膏が気になったかよしよしと撫でてくれた。



「へぇ、お前のとこの猫なのかぃ?」

「ああ、マグロ丸っていうんだ。なんなら触るか」

「ニャーニャー」

「・・・・・・・・」じーーーーーーーー

明日ヶ原は、マグロ丸に興味持ったか無言のまま瞬きをせずに只々眺めていた。もしかして抱きたいのか?何も言わないから分からないぞ。



「おかえりーーーーー祐輔。帰ってきて悪いんだけど、ポン酢切らしたからお父さん帰るまで買ってきて・・・」

「後で買って来るよ母さん。実はその前に話があるんだ。なぁ明日ヶ原」

「ああ、そうだねぇ・・・」

俺の声が聞こえたか母さんも玄関に向かってきて、しばらく固まっていた。



俺はすぐに明日ヶ原に相槌を交わし声を出そうとするが・・・・・


その前に母さんは突然涙を流していた。

それは、一瞬俺の鼻の絆創膏についてのことかと思ったがそうではなく、母さんが視線を向けたのは隣の明日ヶ原だった。


「ふぁ!!!ゆ・・・・・・・祐輔が女の子を連れてきた。これもしかして夢?・・・・夢なの?」

「あの母さん?」

「はっ・・・・そうだった。私、祐輔の母です。いつもお世話になっています」

母さんは、流した涙をすぐにティッシュで拭き腰が低い態度で接してくる。

あれ、いつもと様子おかしくね?

もしかして俺が彼女できたのかと勘違いしてるんじゃないのか。 うん、このよそよそしい感じ・・・十中八九間違いない。



思えば俺、友達作るの苦手だからこうして部屋に同級生を連れて来るなんて一周目の人生では片手で数えるくらいしかなく、ましてや異性をなんて初めてだ。



「あ、あの母さん?こちらはクラスメイトの明日ヶ原さんなんだけど、言いたいことがあるんだってさ・・・・な?」

「あ・・・・・はい。同じクラスの明日ヶ原楓です。いつもクドウ君がお世話になってます」

服装ならまだしも態度までが丁寧語で清楚感増してるんだよ。

普段の態度と比べてら180度まるっきし違うぞ。

それに、しっかりしてるところ悪いがおもっきし名前間違ってるぞ。




「ああーーーーーーこちらこそよろしくね。楓ちゃん」

「はぁ」

あのーーーーー母さん? 握手してるところ悪いけど、名前間違ってるとこと俺の鼻の絆創膏について気づかない?いや、そんなはずないよね?絶対見えてるだろ?




「母さん、母さん」

「なによーーーー祐輔、彼女連れてきたなら事前に連絡入れてよ。もぅ」

「いや、そうじゃなくて、俺の顔に違和感あるの気づかない?」

「違和感?あーーーーーーはいはい。鼻に絆創膏ね?どうしたのそれ?」

なんで興味なさそうな態度なんだよ。親なんだから気にかけてくれよ。



明日ヶ原は、そのことについて的確に母さんに説明し、深く頭を下げていた。





「なるほど、それは仕方ないわねぇ。じゃ、アンタ、今からポン酢買ってきて♪」

「いやいやいやいや、その対応おかしくね?」

「なにがオカシイの?アンタの言ってる意味分かんないよ」

こっちも母さんの言ってる意味が分かんないよ。

普通それなりの対応があるだろ。





「別にいいじゃない。女の子に殴られるなんて、一部の人ではご褒美じゃない」

「それはあながち間違ってないけど・・・・そうじゃないよ」

「と・に・か・く。言われた通りにポン酢買って来る!!!今日は海の幸満載の天ぷらなんだからポン酢は必要なの!!!お父さんが帰ってるうちに買ってこないと、晩御飯抜きだからそこんとこよろしく。それじゃ楓ちゃんこっちに行きましょ」

「いや・・・・・・わたしはここで・・・」

「ニャー!!!!」ぴょこ

なんとマグロ丸は、俺を裏切り明日ヶ原の方に抱き着いてきて、こいつは無意識にキャッチする。 そしてマグロ丸は、スリスリと懐いていた。この、裏切りもんがぁーーーーーーーーーーーー




「あら?珍しいわね、マグロ丸がうちの家族以外になつくなんて・・・・この子、うちのバカ息子並みに人見知りなのよ」

「そうなのかぃ・・・・・・ですか?」

「ニャーーーーー」

「じゃ、ここで立ち話はなんだから遠慮しないで中に入りましょ」

「・・・・・・・・・はぁ」バタン

完全に俺を無視して、明日ヶ原を連れリビングに連れて行った。



残された俺にできることはただ一つ、・・・・・・・・ポン酢を買ってくるしかない!!!!



母さん、俺が帰って来る間、頼むから明日ヶ原にイラン事言わないでくれよ・・・・



俺は、急いで愛用の自転車に乗り、ケイデンス全開で近くのスーパーまで疾走する。


明日ヶ原編は、短編で二万字を予定しており、後二話で仕上げようと思います。



もう12月になりましたからね。サッサと涼風さん編の後半を突入したいんですよ。僕は。

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