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運命を変える

涼風さんに起こされた俺は、さっそくトイレに向かい鏡越しで改めて自分の容姿を確認する。





「や・・・・・・・やっぱり若返っている」

予想通り俺の身体も高校時代のように若返っており、懐に入ってたものを確認すると、学生証と財布と高校時代にまだ普及されていないスマホ改めガラケーが入っていた。



その携帯は高校時代愛用してたもので、データも覚えてる限り当時のダウンロードしたコンテンツとほぼ変わらなく、それを使い今日の曜日を確認すると、予想通り、始業式の次の日で時間は登校時間のHR2分前の時間帯だった。



「痛い・・・・・」

とりあえず一連の出来事は嘘かもしれないので自分の頬をつねるが痛く一向に夢から覚める気配はない。

にわかに信じ難いが、まさか過去の出来事をやり直すって現象が現実に起こるとは思わなかった。


こんなの創作の話だけだと思ったのに、神様ってやつがいるのなら、なぜこういういたずらをさせたのだろうか?



俺の人生があまりにも情けなく見るに堪えないか、もしくは神の実験というものに付き合わされたのか分からない。

俺はその神様に、チャンスというやつを与えられたんだ。



キーンコーンカーンコーン

「やべっ遅刻だ!!!」

転生?もしくはやり直し?というもので戸惑いを感じ、俺は、チャイムの時間が完全に止む前に教師に怒られ覚悟で全力疾走をしてなんとか教室につくことができた。




幸いな事に当時の二年のクラスを覚えたのと、うちのクラスがトイレから最も近い場所で助かった。もしそのどちらかが掛けていたら、今まで気づいてたはずの皆勤賞が消えて、歴史が変わるかもしれないな。




変わる?・・・・・いや・・・・やり直しになったんだから変えた方がいいのか?




「・・・・・・・・・・」ジロジロ

先生はまだ来てないがそれでも勢いよく教室に入ったせいでみんなから注目されている。なんだか恥ずかしいな。

俺は目を逸らし自分の席に座るっと言いたいが、10年ぶりなのだから席が分からない。



確か、うろ覚えだが一番後ろの窓側から二番目の席だったような気がする。





「ふぅ・・・・」

思った通り机の中をまさぐると、ずっと机の中に入れっぱだった俺のノートがある。


やっぱ予想通り当たったな。なんせ当時の席は印象があるやつの隣の席だから忘れるはずはない。

そう思った途端ににそいつは後ろから振り向く。





「よぅ。久東、今日は随分遅かったな。またいつもの徹夜か」

「まぁ・・・・そんなことだ。この野球馬鹿」

馴れ馴れしく声をかけてきた浅黒い坊主頭の同級生は佐々波直哉ささなみなおや俺の学生時代の数少ない友人だ。

彼は、見ての通り高校球児でうちの弱小野球部に入ってるが、俺が言うのもなんだが野球はそれほどうまくなく、今年の夏の大会で二年生の中で奴だけがレギュラーに入っていない可哀そうな男だ。




まぁ俺のような弱スペックと比べたらうまいのだが、他のメンバーが軒並みにうまくいようで、才能の神様はやつにはいいスペックを恵んでくれないようだ。



「なんだと。この根暗オタクが、俺がいなければ今頃ボッチ確定なのに可哀そうだから俺が声をかけたんだ。感謝しろ」

「そういうお前こそ、野球部の仲間と俺しか友達はいないだろ?」

「そ、それを言うなよ・・・・」

図星を突かれたようで佐々波は悶絶する。こいつはちょっとのことで落ち込むほどの豆腐メンタルだ。たぶんそれが、野球部レギュラーになれない一番の理由だろう。




キャキャキャ

「でさーーーーーー」

チャイムが鳴ったにも関わらず最前列の席では未だに女子のグループが賑やかに騒いでおりその中心にいるのは、あの涼風さんだった。

それをまじまじと見た佐々波は舌打ちする。




「けっ相変わらずうるせぇな・・・・・ビチ子が・・・」

「おい、また・・・・そんなこと言うなよ。あくまで噂だろ?」

「うるせぇ・・・・・・俺はこういう派手目なギャルが苦手なんだよ・・」

佐々波は御覧の通り涼風さんが苦手だ・・・・

ギャルみたいな見た目もそうだが涼風さんは、その明るさゆえに周りにギャル仲間やいい男がよってくるほどの人気で、さらに親は大手企業の重役だからお金持ちだ。



その、性格と環境のせいか一部の女子や男子には妬まれありもしない噂を流されており、ビチ子というのはその悪口の一つだ。

別にいじめられてるわけではなく、むしろ彼女を慕っている人は多いのだが中には彼女の人間性が嫌いなものもいるってことなのだ。




「おーーーーーーーいお前ら何やってる席につけ・・・」

「やばっ!!!」

ほどなくして担任の山口先生が遅れて教室に入ると彼女らは急いで席に戻っていた。

HRが始まる。




「すまない。新学期の為職員会議が予想以上に長くてな。では、いきなりだが、今学期のクラス委員を決める」

『え~~~~~~~~~~~いきなりすっか!!!』

「まぁ気持ちは分かる。けどこれは決めなければいけないことだ。とりあえず今日の授業終了時のHRで再び決めることになるが、なりたいと思いたいなら今のうち手を上げなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・




これは前の経験と同じ、手を挙げるものはまずいない。こういうクラス委員と言うのは基本的にこまめな雑用をやらせるしクラスの中心になるから率先してやるのは物好きしかいないのだが・・・




「はーーーーーーい。先生アタシやりまーーーーーす」

「おっ・・・・・・涼風お前やるのか?」

涼風さんは断れない性格なのだから率先して手を挙げるここまでは前と同じだ。




「なんだってぇ朱里やるのかぁ。なんならわたしも、やろうかぃ!!!」

「おい、お前は女子だぞ!!!」

「ふん・・・・・そんなのはどうでもいい。わたしはただ純粋に朱里とイチャイチャしたいのだ」

「はははははははははは・・・・アッスーさすがにこれだけは無理と思うな・・・」

涼風さんの親友の明日ヶ原さんが駄々をこね、盛り上がったところで再び男性陣に注目する。



「さーーーーーーてと涼風は決まったぞ。では男子は誰になるんだ」

さて、前の人生ではこの30秒後に悩みに悩んでうちの男子のがり勉眼鏡君が手を挙げクラス委員は意外に早く決まることになるのだが・・・・



俺は、この二週目の世界で生まれ変わる・・・・・

そう思いながら手を挙げる・・・・





「は・・・・・・・・・はい・・・・・・・ぼ・・・・・・僕やります・・・」

「え・・・・・・・・久東お前やるのか・・・・」

クラスのみんなを始め先生もざわついた感じに聞き直した。

そりゃそうだ。普段学校であまり喋らない男子がいきなりクラス委員という陽キャがやる仕事をやるなんてありえないだろうと思うだろ・・・・

だが、クラスのみんなは、あっという間に決まったのであまり追求しなかった。



このまま決めなかったら授業終了後のHRで最悪多数決でなるからな。男子全員はそれを回避したから安堵な表情を浮かんでいた。





「お・・・・お前・・・・本当にクラス委員大丈夫か?」ひそひそ

耳打ちで後ろから佐々波が心配して声をかけるが俺は迷わない。

せっかく好きな人と同じクラス委員になれたんだ。少しでも点数を稼ぐにはこれしかないんだ・・・・








「わ・・・・・・・・分かった。とりあえずクラス委員は決まった。それじゃ次は小テストだからみんな頑張ってくれ」





「え・・・・・・・・・・テスト・・・・・」




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