神風は時に俺の味方をしてくれる
その放課後、俺は約束通り涼風さんにラノベを紹介するべく最寄りの本屋に寄るため、その道中を一緒に帰ることになったのだ。
確かに一緒の下校は俺にとってはいい収穫なのだが、こんなところをクラスメイトや学校の連中に見られると思ったら心配でしょうがないのだ。
俺もその道中その件について言及することはしたが、『私よく男友達と帰宅したことがあるから平気平気』という別の意味の爆弾を投下されたせいか余計心配になってしまう一方だった。
まぁ涼風さんのいう男友達ってのは、友達未満の事だから、とりあえず信用することにしよう。
俺は戸惑いを隠し、態度を切り替えて本屋に着く前に、ラノベと一般小説の違いを説明すると、理解していてくれており、基本を説明し終えたところで本屋にたどり着きさっそくラノベのコーナーに向かった。
「じゃあ好きなの選んでよ」
「好きなのって、急に言われてもね。じゃあなんかおすすめの作品ってのある?これから大ヒットしそうな感じなのとかは?」
「あーーーーーそれならあるよ。例えばこれならどうかな?今年の春発売された『SIO』とかどう?近未来の世界が舞台で主人公が仮想世界に閉じ込められデスゲームに生き残る話とか・・・・・・主人公の前に突然地底出身の美少女が転校して居候する日常系ラブコメの『這い出ろシャンバラさん』とかは?」
「とりあえず読んでみるね・・・・・・・」
その二作品を試し読みし、最初の10ページくらいは黙々と読んでみるが・・・・
「うん・・・・・・微妙だね。なんか、思ったのと違う」
あれ?おかしいぞ? なんか面白くなさそうな顏をしてるな・・・・
そ・・・・・・そんな馬鹿な。この両作は数年後大ヒットするラノベなんだぞ。
なぜこれが納得いかないんだ?
「ごめん・・・・面白くなかった?」
「いや、これから面白くなると思うけど、買おうとは思わないかな・・・・」
「そう・・・・ならなんか読んでみたいラノベとかある?ファンタジー系とかラブコメとかSFとか・・・・」
「ジャンルかぁーーーーーそうだな恋愛がいいかな」
へぇ~~~~~~涼風さんが恋愛・・・・意外だな・・・
「ム・・・・今似合わなさそうな顔してるね」
眉間にしわを寄せ頬を膨らませた表情でこっちを見ている。やば・・・・顔にでてたかな。
「バレた?」
「バレバレだよ・・・・というかこんなこと話したのは久東君が初めてかな・・・」
「そう言われると光栄だ・・・・じゃあこれならどう?」
プンプンと可愛く怒った涼風さんをなだめようと俺は本棚からある本を取り出した。それは俺が大学時代、偶然中古屋で手に入れた少し古めのラブコメで、ヒロインが幼馴染のみの純愛系のラブコメだ。
「へぇ・・・・おもしろそうだね」
そう言いながら彼女はパラパラとその本を読み上げるとこれまでと違った顔つきをしていた。
「ちなみに久東君、これ買ったことは?」
「うーーーーーーん立ち読みしただけかな」
本当は買った経験あるけど、この年代はまだ買ってないのでOKなのだ。
「決めた。これにする。・・・・てかさっき君が勧めたあの二作も一緒に買おうかな」
「え・・・・・なぜまた急に?」
「別にいいでしょ。欲しいと言ったら欲しいの」
「いやいや待って待って。ここは俺に払わせてよ。もし面白くなかったら損するだけでしょ。それに俺は君にラノベを勧めたんだからその責任取らせてよ」
「本当にいいの?後で言っても知らないよ?」
「いいよ」
結局三冊とも俺が買うことになりそのままレジで払った。なぁに今月分の小遣いの半分は消えるが、彼女の好感度を上げるためには、これくらい安いものだ。
それまで来週バイトの金や小遣いが来るまでひもじい生活を送るだけだ。
「ありがとう。久東君。その代わりアタシが全部読んだら、ちゃんと貸してあげるから、いつ読み終えるか分からないけど・・・・」
「いいよ。その代わり俺の条件を呑んでくれたら・・・」
「条件?はっ・・・・もしかして、アタシに脱げって言うんでしょ。もぅエッチだな~~~~~」
「ち・・・・・・・違うよ」
「冗談冗談。久東君がそんなこと言うわけないよね」
涼風さんは顔を赤くし胸や股を隠す仕草をしていた。
ごめん・・・・一瞬だけ胸元をチラ見した欲が強い俺を許してくれ。
「・・・・・おほん。条件というのは、最低一冊だけでも年内に感想文を提出してもらいたいと思います」
「感想文?それくらいならいいけど・・・・・ネタバレとかにならない?」
「他の人に読んでもらう為の文でいいし、多少のネタバレは気にしないよ」
そもそも一周目で何十回も読んだ作品なのでネタバレもくそもない。
「ありがとう。今日の晩から読んでみるよ・・・それじゃ帰るね」
え・・・・・もうせっかくのバイト休みだからもっと一緒にいたかったけど彼女は家に帰って読む気満々なのだから名残惜しいがしょうがないか・・・・
「バイバイ」
そう言うと彼女は後ろに向いて帰ろうとしたその時・・・・
「キャッ!!!!」
突然の神風が吹き荒れ、彼女のスカートがめくれていた。
うおっピンクの縞パン・・・・・風さんありがとう。
彼女は素早くスカートで隠しすぐさまに沸騰したかのように顔を赤くして、俺の方に睨みついた。
「見た?」
「ミテナイ」
「見た?」
「・・・・・・見てない」
「フッ」
うわっいきなり耳元に息を吹きかけないでくれ。身体がヘロヘロになってしまう。
これ以上かけないでくれ・・・・・・・
改めて思うと俺やっぱ彼女と同じ耳が性感帯かな。 なんとなくそう思ってしまう。
「白状しないと。永遠に吹きかけるよ」
「わ・・・・・・・分かった。見ました見ました。これでいいでしょ」
「よろしい。じゃあ、その反省文を書くために今から久東君の奢りでファミレス行こう。大丈夫本屋で君が払った分だけ好きなの頼んでいいから・・・」
「えーーーーーーーー俺晩飯家なのに」
「別にこのまま、家に帰ってもなにもやることないでしょ。ならこの美少女と一緒に付き合った方が得っしょ。それとも、パンツ見られたってクラスにばらしてもいい?」ニヤニヤ
「分かったなら、レッツゴー」
「ちょっと手ぇ・・・」
「手がどうしたの?」
「いや・・・・・なんでもない」
小悪魔的に弱みを握られ、純粋な瞳で見つめられた俺は、何も言えずこのままファミレスに連れて行かれた。
個人的に、もう少し彼女と一緒に居られたのは良かったけど、なんかこのまま彼女に頭が上がらない関係になってしまうのは気のせいだろうか・・・・・
次回からちょっと番外編的な短編を作ります。
ヒロインの涼風さんは少し休んでもらって、代わりにとあるキャラにスポット当てます。
とりあえずこれをやっても涼風さんの好感度に影響はないので、少し付き合ってくれたら幸いです。




