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あの子の噂

涼風さん率いるWitchWigの演奏が終わり、次の演奏者に変わったので俺は一旦、佐々波達が座っている後方の席に戻るのだが、恵さんの様子がおかしく顔を赤くしカクテルを片手に飲んでいて完全に酔っぱらっていた。

っていうか恵さんここまで原付で来てんのに帰りどうすんの?俺免許持ってないよ。




「うぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃお帰りーーーーーーーこうすけ君、彼女の演奏良かったぁ!!!!」

「あの、俺祐輔ですけど」

「あれ?そうだっけ?」

うわぁ酒くさっ!!!完全に出来上がってるよ。俺が離れた30分間なにがあったんだよ。

近くにいた佐々波に問いかける。




「俺も知らんぞ・・・・彼女最初はソフトドリンクを飲んでいたのに、周りがアルコール飲んでいたから便乗して酒を注文して飲んだだけでこんなになったんだよ。お前知らなかったのかよ・・・まぁ・・・・その方が好都合だけど・・・」

好都合ってなに?お前まさか彼氏持ちの女を送り狼するつもり?

やだぁ。ホント野球部は性欲強すぎて怖いわぁ。




「まぁまぁ・・喧嘩しなさんなって・・・・二人共・・・一緒に酒を飲もうよ・・・・・でへへへへへへへへへ」

「あの俺ら高校生なんで・・・」

「別にいいじゃない。バレなきゃ飲んでもいいんだよ。あ・・・・・名言いっちゃった。ふふふふふふふふふふ」

あまりの変わりようで俺は勿論佐々波も若干引いていて。その後はチビチビと大人しく酒を飲んでいた。



それで残った俺達はアンプで響き合う他の演者のライブをソフトドリンクと軽食を片手に静かに堪能する。



「なぁ・・・久東、さっきから思ったけど演奏するバンド、女ばっかじゃね」

「ガールズバンドな。最近、女子高生を始め若い女性がバンドするのが流行ってるんだよ」

そう、10年前の今頃は空前のバンドブームだった。ことの発端は、某バンドアニメが社会的大ヒットした影響らしく、オタクでも普通にギターを引きバンドを結成する時代だったな。ちなみに俺もそのアニメ好きすぎて、小遣いの殆どはそのアニメのキャラソン買ってたな。あの頃は後輩ギターのかずにゃんが大好きだったなぁ。





「ああ~~~~~あのアニメね。俺左利きのギターの・・・詩音ちゃん派だわ」

「レフティーでベースな・・・お前その用語知らないのによくそのアニメ見れたな」

「うるせぇよ。そうだ・・・・左利きで思い出したけど、さっきの涼風も左だったな。お前そいつのこと好きだろ?」

「ぶっ!!!」

「うわっ・・・・急にコーラ飛ばすなよ。汚いだろ」

なんで知ってんだよ。こいつには一度も話したことないのに・・・



「なんで知ってるかって?そりゃお前、あいつの事度々見てただろ。とてもキモかったわ」

「ならもっと早く言えよ・・・こっちが一番恥ずかしいだろ」

「そういうな・・・・お前、あいつと幼馴染なんだから好きなのは分かるよ」

「幼馴染・・・・・といってもあまり話したことないよ・・・・・最近までは・・・だけどな」ボソッ

「だが、友人として一つ忠告するぞ・・・・あいつは正直止めた方がいい。昔はどうあれ?あいつは変わったんだ。知ってるか・・・・あいつ噂だとやっべー男達を手玉にとって肉体関係になってるらしいぜ。まぁあくまで噂だけどな・・・・」

他の男と肉体関係・・・・・・だと・・・・そ・・・・そんなのあるわけない。涼風さんに限って絶対・・・・ない・・・・・・たぶん。

なんか不安になってきた・・・




「ねぇ・・・・ちょっといい」

「恵さん!!!どうしたんですか。なんか変ですよ・・・」

「うえっ・・・・なんか・・・・・・急に気持ち悪くなったけど、トイレ行きたくなったけどいいかな?」

恵さんは顔面蒼白で完全に気分が悪くなっており、いつ吐いてもおかしくないくらいの危険な状態だ。とりあえず背中をさすり立ち上がらせる。



「ごめん佐々波今から、恵さんトイレに連れて行くわ」

「おい、大丈夫なのかよ。俺も行くぞ」

「今のところ、俺だけで十分だ。その間俺のコーラと座席を守ってくれ。なんかあったら絶対呼ぶから」

「分かった。絶対連絡しろよ」

うなずき背中をさすり、念の為に従業員にビニール袋を貰い一度外に出てトイレに行かせるようにする。恵さんは完全に千鳥足で左右に身体を揺らしてるので高校生の身体になった俺にはかなり一苦労だ。




こんなの一周目の忘年会で鬼先輩に強引二次会三次会に居酒屋をはしごするくらいの一苦労だ。


そしてなんとか俺は恵さんをトイレに連れて行くことができた。





「恵さんトイレに着きましたよ・・・」

「ん~~~~~~ありがとう。これ持ってて、それじゃ行ってくる」

そう言いながら俺にビニール袋を預けふらつきながらトイレに入っていた。この様子大丈夫かな。とりあえず、店長に電話するか・・・・・といってもライブハウス中じゃ携帯は使用できないから一旦外出るか・・・・

そう思いながら俺は人目が無い裏口に向かい店長に電話する。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はい・・・・・はい・・・・・ありがとうございます」ピ

とりあえず店長に電話を連絡した。どうやら恵さんの酒の弱さは店長も知ってるようで、何度か注意をしてるようだけど一向に止めないのでそれが店長にとっての悩みの種のようだ。



とりあえず店長は今知り合いから軽トラを借りてこっちに向かい原付ごと回収するようだからその間彼女を見てくれというようだ。

さて、電話も終えたから戻るか。




「ちょっとしつこいなーーーーーいい加減やめてくれない。正直うざいんですけど」

「な・・・・・・な・・・・別にいいだろそれぐらい」

「くどい」

あれ・・今の声、涼風さんだよな・・・・それと男の声が聞こえるんだけど・・・

とりあえず隠れることにし、裏口が開き二人は出てきた。

一人は案の定ギターを腰に下げ私服に着替えた涼風さんだが、もう一人はホストぽい派手な服をした小柄な男性で、見るからに闇の人間のような悪い風格をしていた。何の話をしているんだ。





「おい、さすがにその態度はないんじゃいの?今までお前達を支えたのは誰だと思ってんの?」

「それとこれとは、別、アンタみたいなたらしとは付き合う気ないから・・・」

「あ・・・・・・分かった。お前彼氏いんだろ・・・だから最近のお前は冷たいんだな?」

支えた?たらし?一体なんの話をしてるんだ?



『知ってるか・・・・あいつ噂だとやっべー男達を手玉にとって肉体関係になってるらしいぜ。まぁあくまで噂だけどな・・・・』

ズキン


脳内で佐々波が発した言葉がフラッシュバックのように甦る。

嘘だろ・・・まさか・・・涼風さんが・・・本当にあんな奴らと・・・・

じゃり





「おい誰だ!!!」

やばい、震えで砂利がこする音がこっちに聞こえた。どうする。逃げるか・・・・・いや今の俺の辞書に逃げはない。

怖いけど、立ち向かうしかない。相手は俺より小さいオッサンだ。出会い頭にタックルすれば倒せる。もしそれが駄目でやばい仲間を呼ばれたらこっちには、あのオカマ店長が向かってきているから無双してくれるはずだ。

なんせオカマは俺の中で強いキャラ三種の神器に入るからなんとかなるさ。




ちなみに残り二つは糸目と飲んだくれのオッサンだ。



「ちょっと待ってくれ。彼女から離れろ」

「だ・・・・・誰だお前は・・・・どっから湧いてきた?」

しめた。相手は突然のことで怯んでる。この隙にタックルを・・・・




「祐輔!!!会いたかった!!!」ダキッ

「な・・・・」

「す・・・・涼風さん・・・」

タックルをする前に突然名前呼びで涼風さんに抱きしめられ、ブラジャー越しだがお胸が俺の胸部と合わさってるよ・・・・突然のことで訳が分からなかった。





「ちょっと待てよ。朱里これはどういうこと」

「どういう事って知らなかった。アタシにはこいつがいんだよ」

「彼氏ってまさかこいつか・・・」

「そのとおり。そう言うわけだからもうナンパしてくんな。このたーーこそれじゃ、バイバイ」

「おい、ちょっと待てよ。おい、朱里!!!」

そういいながら男に舌を出しあっかんべーをした後俺の手を繋いで逃げていった。



男の怒鳴り声に似た叫びをするも、涼風さんはそれを聞かずに必死に走るので、

ともに走る俺は息が切れそうだ。



誰かこの状況を説明してくれ・・・・・

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