表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/73

低スペック男はやり直す

俺の名前は久東祐輔(くとうゆうすけ)。27歳の底辺会社の営業マンをやっている。

仕事も自分で言う事もなんだがそつなく来なしているがそこまで目立った性格ではないため会社では完全に空気のような男だ。いや、空気のようなというのは語弊だな。

ただしくは空気そのものだ。俺は性格上仕事以外では、同僚とは話をせずに休憩時は、自分のデスクで菓子パンを食いながらネットサーフィンをしているのだ。その性格上を知ってか同僚には仕事以外のことでは相手にされなかった。




別に俺は人間関係を築くのは嫌いなわけではない。ただ単純に興味がないだけだ。

仮に今更コミュ力上げたところで俺の給料が上がるわけでもないし、出世できるわけない。

今の俺は目的もなにもない後悔だらけの敗北者だ。そんな人間が今更人生を巻き返せれるわけがない。



そもそも人生のターニングポイントは中、高校生の時期だ。その年代は、主に部活やら勉強やら恋愛として精を磨くのだが、当時の俺は将来のことなんてどうでもよく、バイトもせずに自堕落な生活を送って今はこの様だ。


今から人生を変えるという選択肢もあるが、俺は生粋のヘタレに、加えて給料も借りたアパートと生活費のせいでカツカツだ。



「はぁ・・・・・疲れた」

俺は、そう小言で呟きながら仕事で疲労した身体で帰宅する。

本来ならばこのままコンビニでビールとつまみを買い、ボロアパートに一人寂しく晩酌をするつもりなのだが、今日はこの近くの居酒屋で、高校二年生の時のクラスメイトを集めて同窓会をやるようで、スマホを開くと場所と会費が表示されている。

最初は行く気はないと思ったが、顔合わせに当時の先生と唯一の友人に会うために参加することにし、そこに向かう最中だ。




その道中俺はふとスマホのデータから当時の三年の終業式の集合写真を見る。

そして一人の人物を見ながら歩く。




そこに映るのは、ショートカットの赤みがかった茶髪の女性でクラスのムードメーカーの、涼風朱里すずかぜあかり小学からの幼馴染だ。

幼馴染と言っても喋ったことがあまりなく、本人も覚えてるか分からないくらいの関係だ。



小学生3年生の時クラス替えで同じクラスになった時から、この子のことが好きだった。容姿ももちろんだがギラリと輝く八重歯に誰とも親しくなれるくらいの明るさで、とても輝いていて俺はそれが大好きなのだったが、ヘタレなので一度も話しかけることができなかった。




「う・・・・・・・・戻りたい」

自然と涙がこぼれてしまい、偶然画面の彼女の写真に当たる。

今、彼女が何をしてるのか分からない。知ってることと言えば、彼女は高校からバンドをやってたのだが、高校の途中で腕を怪我し、それがきっかけでバンド活動ができなくなったようだ。



それ以降はひたすら勉強し、高校卒業後には海外に留学してしまったらしい。

もしかしたら、今回の同窓会で彼女と再会してしまうかも知れない。彼女は、陽気なキャラなので恐らく誰かと結婚して子供もできているかも知れないし、有名企業に就職して飛躍してるかもしれない。

まぁ再会しても影が薄い俺のことなんて覚えてないかもしれないけど・・・・・・









「おい、兄ちゃん危ないぞ!!!!!」

「へ?」

突然の親父の鬼気迫る声で俺は上空を見上げると、上から鉄骨のようなものが落ちて・・・・・・・



それで俺は意識が完全に途絶えた。










「ねぇ・・・・・・・」

ん?



「ねぇ・・・・・・」




「ねぇ・・・・・・・もしもーし聞こえてるかい」ペシ!!!

「なんだ・・・・・」

誰かに軽く頰を叩かれ、目を醒めるとそこはどこか知らない場所だった。

オカシイどこなんだ?ここは・・・

たしか鉄骨に潰されて死んだはずだ。それに、さっきまで夜だったのに、外は明るく、おまけに見覚えがある学校にいる。というかこの建物うちの高校じゃないか?

どうなってんだこれ?




「やっと起きてくれた・・・・さっきはごめん。考え事してたらぶつかっちゃた」

な・・・・・・・なんで目の前に涼風さんがいるんだ・・・・

いや・・・・・見た目も高校の時と変わらない。もしかしてコスプレ・・・・

っていうか俺も制服を着てることになっているんだが・・・

これって夢なのか?




「おーーーーーーい平気かーーーーーーーもしもーーーーーーし」

涼風さんは俺の目の前に手を振り回し意識があるか確認している。

この整った小顔に印象がある短髪にギャルのように着崩した制服にチラリと輝くピアスとハートのペンダント。間違いなく高校時代となんも変わらない。




「へ・・・・・・・平気だよ。す・・・・・涼風さん・・」

「そう。ねぇ立てる?」

「う・・・・・うん」

手を差し伸べられ俺は立ち上がる。手がとても温みを感じる。



「よし、それで怪我とかはない」

「う・・・・・・う・・・・・う」

「朱里なにやってるの?ほら教室に行くよ」

「あ・・・・・・ごめん。今行くから・・・・・それじゃまたね。久東君」

近くにいた友達によって涼風さんは、ウインクしたまま教室に向かった。




確か前にこういう経験があったような・・・・・

あれは二学期の夏休み明けの始業式の日の次の日。その日は偶然にも涼風さんと今のようにぶつかった記憶があるのだけど・・・・もしかして俺学生時代を繰り返している?





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ