異世界転移か人生かまだきめられない
「楓様、楓様、起きてください、楓様」
俺は優しい声とともに目覚めた。辺り一面は暗闇で囲まれていて目の前には一筋の光がさしている。その光に照らされ微笑みながらこちらを見ている女性がいる。
「あんたは誰だ?」
俺は勇気を振り絞り質問をしてみる。
「私の名前はアイギス・リ・フォール。この大広間の番人兼女神です。」
サラッとすごい事言ったぞこいつ。
「ここはどこなんだ?」
「ここは死者が神の審判をくだされる前に入る大広間です。楓様は正義の心と勝ちに貪欲な精神を買われたのです。ですから神の審判がくだされずにいるのですよ。」
俺が正義の心と勝ちに貪欲な精神の持ち主?そんなことないだろ。ただ武術が出来るだけだ。
「いきなりですが楓様には今2つの選択肢が残されています。その1つは異世界転移をして異世界を救い、元の地上界に帰ること。もう1つはそのまま神の審判を受け新しい人生を始めるかと言うことです。」
異世界転移?なんだそれは?でも、異世界転移をしたら元の地上界に戻れると言っていたな。
「だが俺はもう死んでいる。生き返ったって意味ないじゃないか!」
「ご安心ください。楓様は今入院状態で私の力によりこの世界全ての時を止めている状態です。」
そんなことが出来るのか、さすが女神は違うな。
「でも、僕は新しい人生を望みます。今の自分はあんまりさ自分でも好きじゃないんですよね。」
これは事実だ。正直こんな性格の自分が自分は大嫌いだ。もう少し周りに馴染めるような。仲間を信頼出来るような人間になりたい。
「というわけで新しい人生をおくり」
「待ってください!お願いします。異世界を救ってください!」
アイギスの目には今にもこぼれ落ちてしまいそうなほどに大きな涙が浮かんでいた。
あぁー泣かないでくれ。頼むから。女性が泣いてるのを見ていると罪悪感と正義感が混ざり合い訳が分からなくなる。
「わかりましたよ。異世界転移して異世界救ってきますよ。」
「本当ですか!?」
「おぅ」
言ってしまったー。俺の悪ところが全部出てしまった。でももう後には引けない状況なので後悔しても遅い。
「それじゃあ早速異世界転移の準備を始めますのでこちらの光の上に立ってください。」
「おう。わかった。」
俺はアイギスに導かれるままに光の上に立つ。
「異世界転移をして分からないことがあるといけませんのでサポートドロイドのペースを同行させますのでご安心ください。」
「あぁありがとう。....一つお願いがあるんだがいいか?」
「はい!出来ることならなんなりとお力になりますのでおっしってみてください。」
「もし俺が生きて異世界から帰ってきたら車に引かれる1時間くらい前に時間を戻した状態で生き返らせてくれ。」
「はい。了解しました。」
「それじゃあ行ってくるわ。」
「ご検討を祈ります。」
そう言われると俺は白い光の中に吸収されるように宙に舞い消えた。