終わりの始まりの始まり
エピローグ的な
結論から言うと俺、四つ星 蓮はことの始まりの7月15日から30日後に死ぬ。
そしてこの物語はよくあるラノベのように主人公の転生した先が異世界だとか、女子高生が魔王になり世界を変えるといったファンタジー物ではない。
ましてや巨乳の幼馴染や可愛い妹に罵られつつもモテはやされるハーレム物、なんて事もない。
これは俺が何故、どのようにして死んだのかを記録したもの。
ただそれだけ……。
だからもしその類のものを好むのであればこの物語をお勧めしない。
だがそうでないのであればページを捲り続けてほしい。
いや、指をスクロールし続けてほしい。
もう一度だけ言うが、この物語にオークやサキュバスといった魔族は出てこない。
それらに限りなく似た人間なら出てくるかもしれないが……
すべてのはじまりは7月15日だった。
いつもの様に家から仕事場に向かっていた。
日光が容赦なく降り注ぎ、
白めの皮膚を焼き焦がす。
体中の水分は行き場を求めるように滴り周り、そして絶命する。
やがて彼らは蒸気へと昇華する。
それは言わば成仏と言えよう。
地面はまるで熱したフライパンのよう。
周りを見てもその悲惨さが見て分かる。
蝉が悲鳴をあげ、鳥達もそれに頷くように泣き叫ぶ。
すれ違う人々の表情からもここが地獄の城下町のようだと見て取れる。
こういう日はアイスが食べたくなる。
ジャラートが食べたい、バニラ味の。
いやいや、スーパーのラクトアイスでいい。
やっぱりソーダ味のシャーベットを四角く形成した、子供達をいつも喜ばせる“あの低価格アイス”が食べたくなる。今すぐに食べれるのなら倍の120円は払おう。
そんなことを考えながら地獄道を歩いていると、仕事場の四つ星レストランの近くまでやってきた。
街によくある路地裏にひっそりと佇む創業六十年くらいのフレンチレストラン……今あなたが想像している店ではない。
その想像したフレンチレストランを通り過ぎ真っ直ぐに50m進み、突き当たりを右に曲がる。止まれを止まり、信号が青になるのを待ち、太陽が沈む方向に歩いて出てくる一際目立つレストランが四つ星レストランだ。
店先の大名行列を見る限り、今日もまた大勢の人が押し寄せるだろう。
自己紹介がまだだった。
俺四つ星蓮はここのオーナーシェフ。
21歳で自分の店を持って今年でちょうど3年。
小さい頃から料理が好きで、その才能はどんどん開花していった。
すぐに日本の料理界の天才児とまで言われていた。そして去年ミシュラン3つ星を獲得して以来、店は連日大賑わい。
そこそこ繁盛している。
またテレビにもよく出演させてもらっており、巷ではイケメンシェフと呼ばれている。
実際の顔面偏差値は中の中くらい。
職業柄だろうか、こんな中途半端な顔でもテレビで持ち上げてくれるテレビ局様様には感謝しかない。
その一際目立つ入口を通り過ぎ、
裏口から店内に入る。