別れ
初めて男性主人公で書きます。
暖かく見守ってくださると嬉しいです。
誰もいない暗闇の世界で僕は何時間もさ迷っていた……
「……!……ティ。エティ!目が覚めたか!?」
誰かが僕を呼ぶ声、鳥の鳴き声に眩しいほどの光
「……ぅ。こ こ は?」
「エティ、俺がわかるか?」
僕を心配そうに覗き込んでくるエメラルド色の瞳に灰色の髪
「………誰だれ?」
彼は、僕の肩をゆすり
「ほ、本当に覚えてねぇのか!?クリスティだよ!クリスティ・ヨハン!」
青い顔が蒼白になりながら必死に言う彼を見ていると笑えてきた
「ハハハ、冗談だよ。ちゃんと覚えてるって!クリスティ・ヨハン 僕の相棒で最高の友だろう?」
「…なっ!?冗談にしては質が悪いぜ!本当に記憶喪失になったかと焦ったじゃねぇか!」
「おっ!真っ赤になったな」
「赤くねぇよ!」
「君は、心配性だなぁ~」
赤面して騒ぐクリスティ・ヨハンと軽口を言い合いながら 無事に戻ってこれたことを実感した
「ところで、誰が僕たちをここに運んでくれたんだい?」
二人の間に針積めた空気が流れた。クリスは言いづらそうに目を泳がせていた
クリスが言いづらいような人物なんかいるのかな?彼は、例え嫌っている人でもはっきり助けてもらったなら教えてくれるはず……じゃあいったい誰が?
「……エティ悪い。今は、言えねぇけど安心できる御方だ」
御方?クリスがそんな尊敬する言い方するってことは、貴族か彼が剣を教わった師かのかな
バツが悪そうに顰めっ面している彼に安心するように
「まぁ、誰かわからなくってもいっか!それより、腹すいたから食事にしない?」
「あっ、ああ。そう言えばお前3日間も寝ていたからな。カッツリ食うのは明日からにしろよ!」
「えぇ~もう、大丈夫なんだからガッツリ食べさせてよ!」
「何言ってる!3日も寝てなんだからいきなり固形物を食うと胃が驚くぞ。大人しく、お粥でも食ってろ!」
そう言って部屋を出ようとする彼に引っ掛かりを覚えた
彼は食事に行くんだから部屋を出るのは当たり前たよね?なんだろう、何か引っ掛かる。彼が何処かに行ってしまうようなそんな嫌な予感がする………
「……ねぇ、クリス。君だけは僕前から消えていなくならないよね?」
クリスは無理して笑うかのように微笑み
「何言ってんだ?俺とお前は一心同体だろう」
「……そうだよな。僕なんだか君を失うような不安にかられてしまって……いいやそんなことないね!あのときの事を思い出してしまっただけだよ。君は、早く食事に行かないと混んでしまうよ?」
「あぁ!お前の分は運ぶように伝えとくからな」
「うん。頼んだよ!」
「おう!」
彼の消えていく背中を眺めながらこのやり取りが最後になるそんな予感が強まったが、きっと彼はいつか戻ってきてすべてを話してくれる。その事だけを信じて突き進もうと決心した