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~ 亜李沙 からの message ~

作者: MiYA
掲載日:2016/06/07

頭の黒い蟻が群れをなして 行進する …


列は乱れる事無く 前へ 前へ と …


蟻は 勢いを増し 大群となり …


軈て大地を 真っ黒に覆う …


蟻の大群が去った後には …


夥しい数の骸と 哀しみが 残るだけ …




世界中で 起きた 大地震の傷跡も 消えぬうちに 欲深き者達が 世界制覇へと乗り出した …


白蟻 の 次は 頭の黒い蟻 …


「世界は困惑している 今こそ我等の出番 !」


と 動き始める …


頭の黒い蟻 は 其の国の歴史 そのものが全てを物語っている …


何時の時代にも 争いを繰り返し 例え親子であろうと権力を争い 命さえも奪い 血で血を被い 生きてきた …


自尊心が高く 傲慢 且 狡猾 …


何より 頭の黒い蟻の 数の多さには 驚くばかりだ …


黒い頭の蟻が 狙うのは …


白蟻の成せなかった 地球の心臓を手に入れる事 …


海を超え 大陸を目指し進んだ …


曾て 白蟻が そうしたように …


無論 弱っているとは言えど 世界中の 心ある 国々は 此の 頭の黒い蟻の暴挙を 止めようと 声明を挙げた …


併し 聞く耳など持たぬ 黒い頭の蟻は 大陸に上陸 一気に 大地を駆け抜けた …



「皆の者 聞きなさい … 先祖代々 守って来た 此の 母なる大地を 守りきれ無くなるやも知れぬ … 古から伝わる 伝説の兄は … 戻らぬまま… 来るべき 時が来てしまった … 善いか… 我が一族の誇りに懸けて 決して争っては成らぬぞ! 我等が マサウウとの誓いを破りさえしなければ きっと 守られるに違いない! 皆 儀式の姿となり 手を繋ぎ 輪を創り 母なる大地に座り … 今こそ 心からの祈りを! 」


チーフ の声に従い 一族は 儀式の姿となり祈りを捧げた…



空よ 大地よ 風よ 万物全ての者達よ …


我等は 共に等しく 兄弟であり …


全て 繋がる 一つの魂である …


荒れ狂う者達の 心を鎮めたまえ …


母なる 地球のために …


「善いか … 彼等 が 我等の創る輪を越えた時 … 皆 仮面を外すのだ … 我等の儀式を 終わらせるためにな … 」


チーフの 声 に 一族の者は 皆 頷き 古の昔より この一族に伝わる 聖なる儀式 大霊 マサウウ との誓いを 貫くべく 衣装を纏い 仮面をつけ 大地に 輪を創った …


乾いた大地を ジリジリと照す 陽の光 …


ターコイズ の 青空を 1羽 の 鷹が 翼を拡げ輪を創る 此の 一族を 見届けよう とでも言うのか …


痩せこけた枯木に 羽を降ろした …


「見よ 皆の者! 空の兄弟が 我等を見守りに来てくれたぞ ! 何も恐れる事等 無い!兄弟は あの木のようにあれ と そう告げている …今にも倒れそうな 枯木ではあるが … 命の尊さを知り 我等の 意志の強さを持って生きよ… と そう伝えに来たに違いない! さぁ 皆 心 静かに… 我等を護る 万物全てに 祈りを … 」


皆は 瞼を閉じ 心の底から 深く深く 祈りを捧げ始めた …


流れる風が 熱を放ち始め …


黒頭の蟻の群れの足音が ザッザ!ザッザ!と鳴り響いた …


ザッザ… ザッザ…ザッザ… ザッザ …



足音 が ピタリと止まった …


「ほぅ … 此は 何の真似かな? 古の民 … 」


軍服に身を包み 一匹の黒頭の蟻が そう聞いた…


チーフ は 応えた …


「我等 一族 は 祈りを捧げているだけだ … 」


黒頭の蟻は ニヤリと笑い …


「ほぅ~ 祈りか … で 其の祈りは 何時まで続くのだ?」


と 聞いた …


チーフは 応えた …


「我等 一人一人の持つ 命が尽きるまで…」


黒頭の蟻 は グルリと 一族を見回し …


「確か … お前達の教えでは … チーフは他の部族や他国の者との調停役にしか過ぎず 何ら決定を下す権限はないそうだな … では 改めて相談と行こう … お前達の中に 我等に賛同する者は無いか? 此の大地に眠る ウランを掘り出す手助けをする者は無いか? 我等の助けをした者には 我等も敬意を払う事を約束するぞ … お前達とて 長き間 虐げられて来たのだろう 白人共に … 違うか ?奴等は 世界を我が物顔で 蝕んで来た … お前達は 憎くは無いのか? まぁ お前達は 古より 不毛の大地に暮らす少数部族故に まだ良い方か… お前達の仲間 ! 他の部族の者達は どうだった? お前達は 白人共にも 心から敬意を払えると言うのか? 奴等は 世界が パニックになった今でさえ 世界を救おうとすらしないのだぞ! 」


チーフは フッと笑い …


「貴方方は違う と そう言われるのか ? 我等が 護る 大地に踏み入ろうと 今 此処に現れた 貴方方が ? 我等一族は 例え 刃を向ける相手であろうと その者のために祈る! 憎しみでは 道が開けぬ事を 古から知っている! 皆 兄弟であるのだと !」


黒頭の蟻 は


「そうか … 清らかなる心だな … では お前達 今直ぐ あの地震で無くした 田畑を蘇えらせ 世界 嫌 地球上に拡がる 食糧難から 人間を救ってみろ!そうすれば 少しは鎮まるだろう … 世界中が抱く 怒りと憎しみを … 出来まい? 古の民と言えど 人間 … 魔法使いでも 神でもあるまい …我国は 白人共の言うままに 共倒れは 御免だと結論を出した … 勇気ある決断であろう? 古の民達よ …」


そう言うと 黒頭の蟻は 声高々と …


「兵士達よ ! 此より古の地に踏み込む!逆らう者は 其の場で殺せ! 但し 古の民達の間を通り全進するのだ !我等の邪魔をせぬ者は 誰一人 殺すな … 進め ~ !!」


と 叫んだ …


チーフ は 皆に …


「皆の者! 目を開くのだ ! 大霊マサウウと 共に在るために 見届けるのだ!」


と 叫んだ 古の民達は 仮面の下の目を見開き 迫る 黒頭の蟻を見つめた …


ザッザ!ザッザ!ザッザ!ザッザ!


黒頭の蟻が 列をなし 前進を始めた …


先頭に立つ黒頭の蟻が 古の民達の創る輪を越えた 其の時 …


民達は 一斉に 仮面を外した …


黒頭の蟻達は 振り返る事無く 前へ前へと進み 自国より運んで来た 機械を 母なる大地へと突き射した…


グラグラッ ! グラグラッ! と大地が大きく揺れ …


古の民達は 母なる大地の悲鳴を感じた …


枯木に降りた 鷹は 黒頭の蟻達の足音にも 飛び立とうとせずに じっと 古の民達を見守って いた …



自国に持ち帰った ウランで 世界中を 脅し恐怖に突き落とした 頭の黒い蟻達の 天下はそう長くは続かなかった …


本当に 放ってしまえば 何が起きるのかを 彼等とて 知らぬ訳では無かったのだし …


逃げ出す迄 の 資金力も 技術 も 足りなかった …


その後 黒頭の蟻の国を 幾度となく天災が襲った …


もう 核兵器どころでは 無くなる程に …


取り出された 地球の心臓は 黒頭の蟻達の手を何とか離れたものの お粗末な 技術の保管箱から 徐々に 徐々に 漏れ出した …


責任等 取れる筈も無く 地球は 犯されて行った …


今は もう 母なる地球を脱出する事だけが 唯一 人類が生き延びる手段と言っても 過言では無くなってしまった …


宇宙船 地球号 …


砂漠化した 大地 の 拡がる 古の星 …


蘇らせる事が 出来る者は 誰もいない …


もしも 人間が もう少しだけ 地球に優しかったなら …


本当に そう想う …


さようなら 母なる 地球 …


私は 今 出来たばかりの 宇宙船の中から 地球を見ています…


私達 の 未来が 喜びに満ちている事を願いながら …


西暦 5078年 12月 24日 …


… 亜 李 沙 (アリサ)…


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