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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編

キチガイナスビ

ぼくはおじいちゃんとおかあさんといっしょに住んでいる。

ある日道を歩いているときれいなしろい花があって、ぼくはそれがあまりにきれいなので、手に取って、家に持ってかえって、机にしまっておきたくなった。そうすると一緒にいたおじいちゃんが、それはきちがいなすびだから、とってはいけないよ、といった。どうして? とぼくがきくと、それにかかわると、鬼になるんだ、とおじいちゃんはいった。鬼ってなに? とぼくが聞くと、こわくて、恐ろしくて、強い。とおじいちゃんは言った。ぼくちゃんは、鬼になりたい? と聞かれた。ぼくは、強いならなりたいかもしれない。といった。おじいちゃんは、強いっていうのは、強いだけじゃないんだよ。強いから、みんなのことを考えられなくなるんだ。といった。ぼくはよくわからなかった。


おかあさんは優しい。ぼくが縁側であつい、あついなあと喘いでいると、氷を持ってきてくれる。ぼくちゃん、氷もってきたよ。ぼくは、その氷を口の中で転がすか、頭に当てる。ひんやりして、気持ちがいい。そして、おかあさんはぼくの横に座って、のんびりしている。おかあさんは、優しい。


おじいちゃんもやさしい。ぼくに、よく、おもちゃを買ってきてくれる。ぼくがおじいちゃんとテレビを見ていると、おじいちゃんは昔の侍が出てなにやらお芝居をやっているのを見たがるのだけど、ぼくはほかのロボットがいっぱい出て戦いあうやつがみたい。それで、おじいちゃんは黙って、5チャンネルにしてくれる。お侍さんのやつは、8チャンネル。それで、時々コマーシャルが挟まれて、かっこいいロボットの模型が出ると、ぼくは、ほしいなあと思うのだけど、おじいちゃんが月がかわると、よく買ってきてくれる。ぼくはありがとうとおじいちゃんにいうと、おじいちゃんは黙って微笑む。ぼくはそれがうれしい。


ぼくはおじいちゃんとおかあさんがすきで、その日は夜遅く起きて、小便がしたくなったので、起きあがり、トイレにいった。そうしたら、がそごそ音がして、泥棒かもしれないと思って、音はおじいちゃんの部屋の方からしたので、そっちに行くと、おじいちゃんとおかあさんがくっついて、裸で、遊んでいたのだけど、ぼくはそれを見てどうしてかわからないけど、すごく気持ちが悪くなって、気持ち悪くて、気持ち悪いので、トイレでおしっこを出すのいっしょにゲロをはいた。ちんちんにゲロがかかったので、トイレットペーパーでふいて流した。


ぼくがその次の日朝起きて朝ごはんを食べに行くと、おじいちゃんはもういて、おはようといった。ぼくもおはようといった。お母さんは暖かい? と聞くと、おじいちゃんは、生きているのだからあたりまえ、といった。ぼくはそうだよな、生きているんだから、暖かいよなと思った。お母さんが包丁できゅうりを切っていて、その音が響いて、とんとん、とんとんと、とんとん、と部屋に響いていて、それが一定の間で流れるので、気分が乗った。


それから、おじいちゃんがおもちゃをくれるとき、なんだか、気分が悪くなった。おかあさんが氷をくれるとき、その氷にはおじいちゃんの小便が混ざっているかもしれないと思い込むようになり、触らなくなった。おじいちゃんもおかあさんも最初はどうしたの、と聞いてきたけど、わからない、きもちわるい。とずっといっていると、そういう年頃なのね、と、お互いにいうようになった。ぼくはその話をちらと聞いて、そうなのかなぁ、と思うようになった。


おじいちゃんといっしょに散歩に行かなくなって、それから、一人で雨上がりのむしむししたじっとりした時散歩していると、また、きちがいなすびの花を見つけた。もし、ぼくが強くなったら、この気持ち悪いのは、どこかに行ってしまうのかなぁ、と思った。だから、こっそり持って帰って、机の引き出しにしまっておくことにしたが、ちっとも気持ち悪いのは取れず、どうしようかなぁ、と思った。


隣のおばちゃんが掃除をしていて、きちがいなすびって知ってる? ときくと、あの白い花? といって、指をさして、そっちにも、きちがいなすびがあった。あれを持つと、強くなるの? ときくと、何を言っているの、といわれた。おじいちゃんは嘘をついていたのかな? あれは、おばちゃんは、食べると気分がわるくなるだけよ、といった。きれいだからもらってもいい? とぼくが聞くと、おばちゃんは、いいよ、と言った。


家に帰って、そのきちがいなすびの花を眺めて、きれいで、あまりにきれいだったので、気持ち悪くなっても、食べてみたいと思った。その、きれいな何かを自分の一部にしたいとおもった。ぼくは、頭がいいので、肉や魚を食べると、自分の体の一部になると知っていたので。


それでその花を食べてみたのだけど、何ともなく、嘘だったのかなあ、と思い、晩御飯に呼ばれたので、いった。晩御飯のところにいくと、おじいちゃんは新聞を読んでいて、おかあさんも座っていた。ぼくもぼくの席に座ると、気持ちわるくなって、あ、きたな。と思って、ごめん、今日は、気持ち悪いので、いらない。というと、おじいちゃんは少し怒って、ほら、まただ。年頃っていっても、いい加減にしろ。お母さんの作ったものがもったいないと思わないのか、といった。ぼくは別に、思わない。と言って、部屋に帰った。


それで、気づいたのだけど、別に、思わないというつもりは、別に、なかった。そう思ったら、言っていた。席を立ちたいけど、どうしようかな、と思ったら、立っていた。おじいちゃんが座れ、と言ってきたので、座りたくないよ。おかあさんと何してたんだ、と言ってしまい、ご飯を食べようとしてたんだ、とおじいちゃんは顔を赤くしていった。


前に歩こうと思ったときにはもう前に歩いていて、おじいちゃんを踏みつけたいと思ったときには、もう椅子を突き飛ばして、そうしていた。おかあさんが、悲鳴をあげて、なにをしてるの、といったのだけど、うるせえよ! こいつとセックスしていやがったくせして、母親みたいな、何も知らないみたいな顔でおれに話しかけるな! といった。お母さんは、したを向いて黙った。おじいちゃんは暴れていたが、そう聞いた瞬間、何もしなくなった。すべてにむかついた。


ぼくは台所にいこうと思ったら、もう行っていて、包丁を手に取ろうと思ったときには、手にとっていて、何かを切ろうと思ったときには、もう、まな板の上の、何も乗っていないまな板を、なんども叩いて、とんとんとんとんとん鳴っていた。ぼくが強くたたくのでまな板は跳ねたりとんだりしていた。お母さんがどうしたの、と、本当に恐ろしそうにぼくを見るので、ぼくは、ははははははははははははと笑った。面白かったからだ。おじいちゃんはぼくの方にきて、やめろ、おかしいぞ。といい、ぼくの手をおさえようとしたので、邪魔だなぁ、と思ったときには、その腕を包丁で切っていた。あまり深くはなかったが、おじいちゃんは手をおさえ、警察を呼べとおかあさんに言っていた。ぼくから目を離さなかった。


おまえらは、卑怯だと俺は思った。よわいふりを、しやがって。


そう思ったら、ぼくは、おじいちゃんの方向に体が向かっていて、気が付くと、包丁でおじいちゃんの胸を刺していた。ずぶ、という感触がした。いつか、おかあさんに頼んで、鶏肉を切る手伝いをしたときの感覚と、同じだなあ、と思って、懐かしくて、笑った。ずっと気持ちわるかった。きちがいなすびはぼくを強くしてくれるみたいだが、それ以上に吐き気と下痢を与えてくれるらしかった。


おじいちゃんはなんだか、わけのわからないことを言っていたのだけども、ぼくは、その、それが面白くて、なんども同じことをした。もっと言ってくれ、もっとやってくれ。ああ、おもしろい。そうしたら、おじいちゃんはいなくなった。あとは、冷たいおじいちゃんの形をした肉があっただけだったので、ぼくは、すっきりした。


おかあさんはいなくなっていて、包丁を握っていて、廊下に出ると、おかあさんは電話をしていて、悲鳴をあげた。ぼくはまた面白かった。まだ弱いふりをしていやがる。お母さんにも同じことをすると、お母さんはどうして、といった。どうしてだろう、とぼくは思った。


まだ気持ちわるくて、まだ下痢がひどいので、ぼくはズボンとパンツを脱いで、ちんちんとケツを出したままにして、自分の部屋に帰って、寝ることにした。途中うんこが出たが、それはビチャビチャで、臭かったが、まあ、どうでもよかった。それで、畳の上に倒れると、眠くなって、眠った。最高の気分だった。

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