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不思議なトンネル

作者: 神名代洸

この辺りでは昔から不思議なトンネルと呼ばれている場所がある。そこは廃墟となったトンネルで、そこに入ると時間の感覚がおかしくなるというらしい。実際友人が試しに入ったら時計の針がおかしくなったと言っていた。それだけならまだしも……出るらしい。

首だけの男だったり、女性の霊だったり。

友人は首だけの霊を見てしまい、追いかけられるという怖い体験をした。そこに、何故か僕達も来ている。友人があまりに怖がるのでビビリと言った奴がいた。そのせいでここに呼ばれてきたのだ。

「なんで俺まで…。」ブツブツと文句を言ったが友人は聞いてはくれなかった。お前らも同じ体験して来いよとトンネルの入り口まで引っ張られた。

「入ればいいんだろ?入れば。ったく何にも無かったら怒るぞ!」

僕達はみんなで中へ入っていった。

入った途端、空気がひんやりとした気がする。寒い。

僕のは電子時計なので、秒針の腕時計を持ってるやつのをみんなで見てみることにした。すると、やはり秒針は狂っていた。在ろう事か逆方向へと動いているのだ。

ブルッとした。

どうやら噂は本当らしい。と言う事は霊が出るのも本当なのかもと皆キョロキョロと辺りを見回し始めた。

気がつくと辺りに霧が立ち込めていた。

「なっ、なんだよ。なんかでんのか?」

友人の一人は極度の恐怖心からブルブルと震えていた。もう一人は普通にしている。信じていないのか恐怖心も現れていない。

「怖くないのかよ。」

「ありもしないものを怖がる必要はない。俺は信じていないからな。」そう言ってまた辺りを見回した。しかし僕はこの手のは苦手なので信じていると言っていいかもしれない。

手にしている懐中電灯で皆別々の方向を照らした。しかし特に変わった様子はない。

ホッとした気持ちになった時、何かが近くに居る気配を感じた。それが何か振り向く勇気がない。信じていなかった友人は目の前の光景に完全に硬直していた。

「うっ、うわー!」

信じていなかったはずの友人が真っ先にその場から逃げ出した。見たのだ。何かを。

僕は怖かったが勇気を出して振り返った。するとそこにいたのは逆さになった友人の一人が口から血を流していたのだ。その友人は一番のビビリだった。

僕もびっくりしたのと怖いのとでゴチャゴチャになって慌ててトンネルの外へと走り出した。なかなか外へは出られず、友人と二人必死になって逃げた。その後を空中から友人が追ってくる。白目を向いたまま口から血が垂れていた。

「ギャー!うわー!」などと叫びながらなんとかトンネルを抜けることができた。しかし、友人の一人は出てこない。

そのただならぬ様子を見ていた友人が、真っ青な顔をして指を突き出した。トンネルの中に……。

そこにはユラユラと浮遊している友人の真っ青な顔があった。口元の血はドス黒くなっていた。そしてトンネルの中へと消えていった。その後いなくなった友人が帰ってくることはなかった。

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