むかしむかし
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
お爺さんは山に薪を取りに、お婆さんは川に洗濯にいきました。
お爺さんが山につくと、竹やぶの中に光る竹を見つけました。
そして持っていたオノを「えいッ」と降り下ろすと竹が真っ二つに割れました。
すると中には頭と胴が真っ二つに分かれた赤ちゃんが…
「ヤベェ…どうしよう」
一方そのころ…
お婆さんが川につくと川上から、どんぶらこー どんぶらこーっと桃が流れてきました。
お婆さんは桃を拾いあげると、いつも持ち歩いていた愛用の包丁で桃を真っ二つに切り裂きました。
すると中には真っ二つに切り裂かれた赤ちゃんが…
「ヤベェ…どうしよう」
このまま川に流してしまう? いや、ダメだ。
誰かに拾われたらヤバい。
切り口から凶器が特定され、私の犯行がばれてしまう…
お婆さんはとりあえず湖の底に沈めることにしました。
湖に着くとお婆さんはそっと木の陰に隠れました。
どうやら先客がいたようです。
それはお爺さんでした。
お爺さんは辺りをキョロキョロと見回しながら、頭と胴体が分かれた赤ちゃんを湖に捨てました。
「ふぅ…これで良し」
お爺さんがそう言って立ち去ろうとすると、湖の底からブクブクと泡が立ち上りました。
次の瞬間、光とともに女神様があらわれました。
「あなたが落としたのはこの『頭と胴が真っ二つになった金の赤ちゃん』ですか? それとも『頭と胴が真っ二つになった銀の赤ちゃん』ですか?」
お爺さんは、ふと閃きました。
骨董屋さんに持って言ったら高く売れるんじゃないか?
どっちかというと金の方が高く売れそうだな、よーし!
「私が落としたのは金の赤ちゃんです!」
その言葉を口にした瞬間、女神様の顔は鬼の形相に変わりました!
「あなたは嘘つきだ! あなたに与えるものなど何もない!」
そう言うと女神様は湖の底に沈んでいきました。
陰で見ていたお婆さんは思いました。
「なるほど、ああして死体を処理すればいいのか!」と。
めでたしめでたし