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9.

はい、どうも。


ふと気づいたら3万アクセス超えてて驚きました。


今回も安定の愚だ愚だです。


 ピーンポーン


 と、割とよく聞くチャイム音で目を覚ます。

 えっと、昨日はアニメを一夜フルマラソンで見て、朝日が昇るのを見て寝た気がする。

 俺の部屋にチャイムならすとか密林アマゾンか?

「どちら様でしょう…かっ!?」

 来客の分かるカメラで覗きこむと深枝がいた。

 ……そう言えば買い物に誘われていたんだった。

 エレベーター前のスピーカーをオンにして、

「し、深枝ちょっと20分くらいまってて!」

 と言って一方的に切り、洗顔歯磨き、寝癖を直し、着替え財布や携帯を持っていることを確認しつつも髪型を整える。今日はなんとなく前髪をヘアピンでとめる程度。

 伊達にオタクをやっていないので髪型を変えるだけだったら結構なバリエーションをこなせる。

 ……髪も長いし。

 と言うかお袋と兄貴が切らせてくれないだけなんだけどな。

 ―――忘れ物なし、朝食は取りあえず抜きで。

 あっと言う間の18分が過ぎ、こちらでエレベーターの許可を出す。

 その際に部屋から出て、待つ。

「おはよ」

「おはよう、ほい借りてた服」

「どうも」

 ……やばい、メガネしてないとかなりぼやけてる。

 昨日、風呂上りに着替えと一緒に置いといた眼鏡をバランス崩してスリッパで踏み抜いてしまったのだから仕方がないだろう。

「今日は眼鏡なしか?それも可愛くていいんだけどさ」

「メガネを踏み抜いたんだから仕方ないだろうが」

「……今日メガネショップ行くか」

「ぜひそうして欲しい」

 



 二駅ほど離れたところにある眼科で診断を受け、それを元にメガネ屋に行って作ってもらう。

 メガネのフレームとか選ぶときに、

「黒縁より…」

 とか言い始め完全に深枝任せでメガネを選んだ。

 メガネの度の関係とかでしばらく時間がかかるそうなので、夕方ごろ取りに来ると伝え、ショッピングに向かう。

 持つ荷物の事を考えると、水着は後でいいとして……

「深枝は何処か行きたいとこあるんですか?」

 公共の人が多い場所では一応言葉遣いは気をつける。

「お前は特にないならちょっと、な」

 そう言ってエレベーターに乗り、連れられてきたのはレディースの服売り場。

 ……ま、まさか!

「深枝、お前女装趣味があったのか!?」

 不良が女装。

 いかにも薄い“アァー♂”な本に出てきそうな感じだな。

「違う違う、お前そんなに女物の服着ないだろ?」

「着る必要性が感じられないので」

 制服のスカートで十分ダメージ食らってるんでわざわざ私服で女物の服を着るとか、よっぽどのことがない限り着ない!

 制服のスカートは校則ギリギリまで伸ばしている。

 足の運びを考えれば下着を見られる事はまずないんだがな。高低差があるところ以外。

「もうチョイおしゃれに気を使え、華の女子高生」

「私はオタクロードを真っ直ぐに進み、たまにコスプレをする程度でいいんです」

 次回のコミケは言うまでもなく男キャラのコスで行くつもりである。

「んじゃ、今回は普通の女子のコス、とでも思えばいいだろ?」

「深枝、あなたは私を殺す気ですか?はじゅかしさ……恥ずかしさで死ねる気がします」

 あー噛んだ。

 しかもすごい変に噛んだ。

 仕方がないだろう。動揺しまくってんだから。

 そして、深枝お前はなんで頬を染めている!?

 ポンと手を頭の上に置かれ、わしゃわしゃと撫でられる。

「撫でるな!」

「わりわり、可愛かったからつい腕が伸びちまってよ」

 腕が伸びるって、お前は河童か?

 河童は体内で両手がつながっていて、片方が伸びれば片方が縮む、と言う説があるらしい。

 ちなみに引っ張りすぎると抜ける。

 ……何がグロいな。

 取りえず乗っかっている手を払い、睨んでおく。

 けど、身長的にどうにも上目使いっぽくなってしまうのが難点だ。

「俺の驕りだから」

 そう言って腕を引かれ、目的であろう場所に着けば、最近のjkが着そうな服ばっかである。

 深枝は俺を一瞥し、服をテキパキと選んで行く。

 おい、ミニスカートはやめろ。

 流れるように衣類を渡され、店員に試着がOKか聞きつつ、俺を試着室にいれられる。

 ……俺に似合わない気しかなしない。

 取りあえず、低い視力の中どうにか考えつつ着替えをすます。

 ……やっぱなんか変な気がする。

「着替え終わったか?」

「…嗚呼」

「出てこないのか~」

「…恥ずかしい」

 カーテン越しに“ゴハッ”と不良を殴って胃の中身を戻しそうになってるやつっぽい効果音が聞こえる。

 …どちらかと言うと吐血とうけつぽっいかな。

 そして深枝の手による強制公開。 

 個人的には公開処刑。

「……お持ち帰り良いんですか」

「あいにくと男には興味はありません」

 ふざけたことを言うので、それ相応の開始をする。

「店員さん、この服購入で」

「彼氏さんセンス良いですね。それではお会計の方ですが――」

 そう言って深枝は財布からカードを取り出し、会計を終わらせる。

「……いくらだったんだ、自分で払う」

「俺の驕りって言っただろ?それに今日着ててくれれば捨てても構わねえからさ」

「…卑怯者」

「卑怯者で結構。卑怯でも可愛い姿見れたんだから個人的に大満足」

 そう言って着たまんまで、今日着てきた服は紙袋に入れられ渡される。

「詩音はどこか行きたいとこあるか?」

「どこでもいいから人目から離れたい」

 そう言うと、深枝から提案されたのがカラオケ。

 最近そんなに行ってなかったのでいいチョイスと言えばいいチョイスだ。

 でも、その流れから行くと先に水着を買った方がいいことになる。

「水着、買ってくるからそこら辺ぶらついててくれ」

「嗚呼、俺もさすがに女の聖域に踏みいる勇気はないからな」

 そう言って一時的に離れる。

 待ち合わせは30分後くらいと言うことになった。




 ……女の園と言うのは結構、男が持っていたイメージと異なっていて驚きが多かった。

 ギャルゲーとかでおなじみの更衣室イベントではあまり語られることがないであろう、下着着用の上での水着の試着などはちょっと驚いた。

 男の場合はガラで選んでサイズ確認で大抵問題ないんだがな。

 女子には凹凸と言う難関があり、実際に装備してみないと合わない場合があるらしい。

 ……一応、二着買っておいた。

 競泳用とパレオを巻くビキニタイプの二つ。

 確実に浮きそうだったらどちらかを選べばいいと思ったし、最悪ジャージのままいればいいや。

 それで合流場所はショッピングモール内のゲーセン。

 ふと合流してみればフィギュアを取っていたり、確実に限定品としか思えないレアなアイテムの数々を取っていたりする猛者が一名。

 深枝である。

 周囲にギャラリーができるレベルですごい。

「終わったか?ちょっと待っててくれ後、もうチョイで取れるから」

 とか言ってあっさりと落とす。

 ……すごいな、いろんな意味で。

「よし、とりあえずこれは家に送っとくとしよう」

 と言い、大量の荷物を持ちながら宅急便の店舗のあるところまで移動しあっと言う間に荷物を少なくした。

「結構規格外ですね、深枝は」

「そうでもねえよ。んじゃ、昼食取ってカラオケ行こうぜ」




 少し移動し、駅近くにある洒落たレストランに連れてこられたが、何度も言うようだが現在眼鏡がないので文字がぼやけて細かい数値が読み取れない。

「先に言っておきますが自分の昼食代は出しますから」

「男に見えって物を張らせてくれよ」

「個人的には私もプライドが消えそうでいやなんですけど」

「……分かった。お前のメニューの料金は―――」

 観念して料金を教えてもらいつつ、食事をとった。

 ……その後のカラオケで暴走しすぎて100点と90点代を出したのは余談だ。

 お袋のセンスを受け継いでいて良かったと思う。

 そんなこんなであっと言う間に時間はすぎ、気が付けば午後8時。

 歌いすぎてちょっと喉が枯れかけている。

 結局、カラオケの料金も深枝に支払われ、申し訳ない気持ちが多い。

 荷物あんのもあれだろ?と言われ、深枝が迎えの車を呼んだ、

 深枝が宅急便で送る時に俺も送ればよかったと後悔した瞬間だった。

 強引に乗れ、と言われ渋々乗ると運転席には、


 「よう、深枝。可愛い嬢ちゃん連れてお出かけとは言い身分じゃねえか」


 その迎えの車(高級車)は、何故か深枝父の南条天一なんじょう たかひろが運転していた。

「なっ、親父!?」

「おうよ、ちょっと部下に仕事押し付けて息子に会いに来たんだよ」

 御年45歳の若干強面の格好の良いオジサンである。

 まぁ、こわい見た目をしているが自分の父親が更に怖いので対して驚くこともない。

「そんなんでいいのかよ親父」

「いいんだよ。お前が休日に迎えよ武なんて珍しいことなんだらちょっと親子の会話しようと思ったんだが可愛い嬢ちゃん居るから、お前らの関係聞くのも面白そうだしな」

 かく言う間に車は出発。

「んで、嬢ちゃん名前は」

「椎名詩音ですよ、おじさん」

「………………………はぁ!?」

 一瞬車が揺れる。

 交通事故起きたらどうするんだ大企業のトップの人!?

「じょ、嬢ちゃん、冗談でもそりゃきついぜ」

「もう一遍顔面殴って記憶呼び覚ましてあげましょうか?」

 そう言って拳を握ると、何とか納得行ったららしい。

 顔面殴った云々についてはこいつの親子関係に余計な首を俺が突込み、俺(14歳)が格上の人に説教をしたと言う黒歴史の一端である。

「嗚呼、今度絃に事情は聞いておく。それにしてもえらく美人になったもんだ。髪の色も反転してやがるし」

「とりあえず、褒めてるのか貶しているのかどっちかにしてください」

 褒めて貶すとかどこの中高年のアイドル綾小路だよ。

「褒めてるに決まってんだろ?よし、今日は家に来い」

「兄貴が心配しそうな気が…」

「ん?侑弥君か。取りあえず俺から説明しておこう」

 一応、うちの兄貴が運営している会社は南条グループの幹部的なポジションを取る結構大きな会社だ。

 その関係でうちの兄貴とおじさんは面識がある。

 父とは高校時代からの悪友らしい。

「んで、詩音君はどういう関係なんだ?全力でおじさん応援してやるぞ」

「応援も何も親友ですよ。それ以上でもそれ以下でもなく」

「……あーなんだ、深枝ガンバ」

「うっせ」

 …いったい何を頑張るのであろうか。

 そんなこんなで大企業の社長が運転する車と言う待遇感がすごい状態で南条邸へと向かうのであった。


あれ、深枝ルート確定しつつある…どうにか回避しないと。

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