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下ネタの会  作者: 寺子屋 佐助
第一章 イン・トロ
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第6話 π&π (パイ・パイ)(2)

とりあえず投稿。

異論、意見受け付けております。

「11分の5とはすなわち、5から11を割ることだ!!」


 右手で力強く拳を握りながら力説する服部に、俺の頭の周りでは暫し疑問符が浮かんでいた。

 いや、言ってる意味は分かるんだがそれと下ネタ、どこに関連性があるのか分からない。

 しかし俺はとにかく言われた通りに計算しろ、と言われたので渋々ながらも簡単な筆算をすることにした。

 もちろん早く終わらせる為だ。計算機も無いし。


「0.45454545…って割り切れないじゃん…って当たり前か…」


 しかしというか案の定出てきた答えは割り切れない、というものだった。まぁ、そうなのだがこれと下ネタの関係は……


「んっ!!」


 と、思考を巡らせていると、昨日読み終えた【下ネタ大全】のことが頭を過り、俺は奇跡的にもこの数字と下ネタの関連性を見つけることに成功した。


「気がついたようだな。0.4545、つまり0.シコシコはそういう意味なのだ」


 皆がパチパチと拍手を俺に送る。実際何も言っていないし今言ったのはとある男子生徒なのだが、これだけ勘違いしてくれればすぐに抜け出させてくれるだろう。

 俺は軽く会釈しながら周りを見渡すと、さっき0.シコシコと言っていた男子生徒が急にズボンのチャックを開けながら


「多田よ。これが真のシコシコだ」


 と自慢気にズボンを降ろし出したので、慌てた周囲は彼をシコシコならぬボコボコにしたあげく彼を職員室に連行した。しかもその後生徒指導室でこっぴどく叱られたらしい。

 全く、自業自得だ。

 後日、彼が実はあの図書委員の先輩の弟だったというのが分かるのだがそれはまだ先の話だ。

 俺は連行されていった男子生徒に軽く合掌しながら幾分薄くなったプレッシャーから脱出した。

 同時に4時限目終了のチャイムが鳴る。

 俺は邪魔されて結局終わらせることの出来なかったプリントを前の机に提出しながら教室のドアに手をかけた。

 ガラガラ。

 その時、俺が今開けようとした扉がいきなりスーッと開き、そのまま俺たちの担任の先生が少々声を荒げながらこう告げた。


「今朝言い忘れたが、今日はクラスで自由に食べる日だ。給食当番とトイレ関係以外教室から出るなよ〜」


 そうだ今日はそんな日だった。しかも後ろから変な視線が……。

 俺はギクっと首を竦めながら後ろを振り向くと、そこには不適な笑みを浮かべて、まるで蛇が舌なめずりをするかのようにこちらを見つめる服部と高橋の姿があった。

 まずい、と思ったのも束の間、二人は直様俺の両脇をガッチリと抑え込むと泣く子も黙るような怖い声で俺の耳元に囁いた。


「一緒に昼ごはん食べようよ多田君」

「そうそう。それで一緒に漢の会話をするんだ」


 顔面いっぱいに浮かぶ作り笑いに俺は背筋を凍らせる。俺が何か悪いことをしたのかと疑問に思うも、二人は一向に俺を降ろす素振りを見せない。

 旗から見れば俺は被害者だ。(そのはずだ)

 だが、二人は容疑者を確保した警察のように小さく小突きながら俺を引っ張ると、そのまま窓際の例の席まで連れていかれた。

 トイレに行きたかったのだがどうやら我慢するしかなさそうだ。

 こうして俺は嫌々ながらもまた彼らのいう漢の会話に参加することになった。



 ◇◇◇



 今日はクラス内で自由に昼食をとる日だ。なんでもかの有名な七不思議の一つ、給食のおばちゃんと栄養士のおじちゃんのとある逸話に由来するとか。

 風の噂で聞いた話だと、まだ二人がアツアツのバカップルだった頃、一人の生徒が恋愛相談をしてきたらしい。

 聞くところによると、その少年には意中の相手がいたらしく、幸運にもずっと同じクラスだったのにも関わらず、くじ運が悪いせいか隣の席どころか一度も同じ班になったことが無かったとか。

 で、それを聞いた二人は親切にも当時の校長とかけあい、表向きはクラス内の交流や団結、裏向きは世の悩める仔羊達の為にこの日を作ったそうだ。

 はっきり言って意味が分からないのだが、実際に効果があったらしいから今もまだ続いているらしい。

 もちろん、そんな確証はない。

 とにかく俺はその日のせいで今日は服部達のいう漢の会話に参加させられながら同時に昼食をとっていた。


「それでは気を取り直して数字の下ネタについて話し合うことにしよう」


 服部が指揮を取り、高橋がペンと大きめの画用紙を取り出した。

 普段の授業は真面目に受けていないのに、こうゆう時だけは凄まじいくらいの行動力を誇る高橋にも驚いたが、彼が取り出した画用紙にも驚いた。

 いや、これをどこから出したんだ?

 だが、残念ながら俺の疑問が解決される前に彼らはすでに漢の会話を始めていた。


「テーマが数学ならどんな下ネタでも受け付けよう。今回はせっかく円になっている訳だし俺から順に一つずつネタを提供していこうと思う。いいな?」


 食べ物を咀嚼しながら軽く頷く一同。服部は全員の準備が整ったことを確認すると早速牛乳パックを掲げながら告げた。


「ではまず景気づけに、チンチン!!そして俺からは基本中の基本、69を多田に捧げるとしよう」


 チンチ〜ン、と勢いよく牛乳パックをぶつけ合う声に、それ俺が言おうとしてたのに〜、と誰かが嘆く声が聞こえてくる。

 その瞬間、俺は不覚にも牛乳を鼻から吹いてしまった。

 チンチ〜ンって下ネタどころかもろそうだろ?

 ゲホッゲホッ……。



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