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下ネタの会  作者: 寺子屋 佐助
第二章 研修(下ネタインターンシップ)編
23/27

お23(にいさん)と フランシュウ~

凄くお久しぶりです。2年ぶりですね。また変な知識の羅列になりますが、どうぞお楽しみに。(前回の文字数が69555で次話なかなか書こうと思わなかったんです、すいません)

 その後。塾やバイト、習い事に行く時間だからとほとんどのメンバーが出ていった後に残ったのはこれからフロンティニャンで食事を取っていくらしい千代池先輩とサトシ君と俺の三人だけだった。

 なんか一部の会員が、レッスン内容を忘れる前に夜の街に繰り出して早速実践しよう!、とか言っていたがその中に半田先輩が混ざりだしたのでやめて大人しく帰っていった。

 まあどっちみち成年に満たない学生の身分では警察に職質されるか、そもそも女性に相手にされないかの二択だろうから、厳しい現実を知る前に帰れたのは良かった事なのかもしれない。

 ということでサトシ君と帰ろうかな、と思っていたら何故か分からないけれど千代池先輩が夕食に誘ってきた。

 もう既に飲み物やらなんちゃらと奢ってもらった手前、今日は封印していた持ち前のぼっちスキルが露出する寸前だったので、丁重にお断りしようとしたら、空気を読んだサトシ君が俺とアイコンタクトを取りながら口を合わせてきた。


「僕はこれからゲームしなきゃいけないので先に帰ります」


 違う!!!そっちじゃない。その流れは俺だけ残るパターンのやつじゃないか!!!

 てっきり目線だけで意思疎通出来ていたと思っていたのに、気付けば俺たちは以心伝心とはほど遠いほぼ真逆な位置にいた。


「そっか、じゃあ仕方ないね。多田君はどうだい?」


 千代池先輩がかりんとうのように甘いボイスで俺に尋ねてくる。

 思わず即答しそうになる美声を無理矢理振り払ってサトシ君を引き止めようとするも、モタモタしている間にサトシ君は外界へと繋がるフロンティニャンの扉の遥か向こう側へと去っていった。


「えっと、僕は」


 突破口一つ目が玉砕し、次の手を探す。上手い断わり方を知らない自分のコミュニケーションスキルを恨めしく思いながら頭を捻っていると、スマホの着信音が鳴った。お母さんだ。

 私立本間海学校では、校長先生の粋なはからいによりケータイ、スマホの持ち込みが許可されている。

 理由としては遠距離通学の生徒達が安心して保護者の方々に連絡を取れるように、とか公衆電話が衰退して今はポピュラーじゃないから、とかわざわざ学校に電話ボックス置くより個人に任せた方が良くね?電話線の節約になるし、などという様々な考え、意見からきたらしい。(本間海学校の生徒手帳第17ページを参照)

 話を戻そう。ということでここはスマホを使い、奥の手であるお母さんに今日の夕食はカレーだから帰ってきなさいという召集命令を出してもらおう。


「もしもし、ヒデオちゃん?」

「もしもし母さん、今日の夕飯なんだっけ?」


 ここら辺であたかも偶然に押してしまったかのようにスピーカー機能をつける。


「カレーよ」

「カレーね」


 知ってる。しかしこういうのは確認が大事なのだ。


「えっと何時くらいに帰ってくればいい?」


 さて、これで夕飯を理由に帰宅することが………。


「それがついさっきシフト交代してくれないかって田中さんから連絡が来ちゃってね、多分作れないのよ〜。だから今日は外で夕食済ましてきて。お金はいつもの引き出しの中に入ってるから。じゃあよろしくね〜」


 カチャ。


 ………な、なんですと?! つまり今夜はカレーが食べられないということか?せっかくあそこかそこか分からない某カレー専門店のような味わいを満喫することが出来ると思っていたのに。全くついてない。


「えっと今日は外食をするってことでいいのかな、多田君?」


 やばい。千代池先輩のフルーツポンチの残り汁のような甘い声で勘ぐられているようだ。まさかスピーカー機能が仇になって会話が筒抜けになるとは。

 どうする、俺?流石に今の流れだと断わりにくいしでもお金がなぁ、ってそうか!


「でもお金を取ってこないといけないんでー」


 そうだよお金は引き出しの中にあるから取りに帰らなくちゃいけないんだよないやあ困ったな俺ってばちょーうっかりさん……。


「心配いらないよ。僕が払うから」


 ………。


 かくして俺は夕食を先輩と食べることになった。



 ◇◇◇



 ここフロンティニャンは朝と昼は洋食屋さん、夕方と夜はフレンチレストランとしてオープンしている。その店名の由来は日本から遠く離れた異国の地、エッフェル塔やマリーアントワネットで有名なおフランス南部のある地名からくるものらしい。

 なぜ洋食屋とフレンチレストランという二足の草鞋を履いて、俗にいう二毛作ビジネスをやっているのかというと、なんでも、元々はフレンチレストランの面影は一切なく、おかず王の先代が洋食屋だけを開いていたんだとか。

 しかし子供の頃に食べたフランス料理に心を奪われその道に進んだおかず王が、自分の作り出した味を食べてもらいたいと言って夜の時間帯にのみ料理を出していたら、これがなんと好評だったそうだ。店名も夜だけだったのが、その人気ぶりから前の名前【洋食屋タロー】を踏襲し、それからそのスタイルが続いて今に至るらしい。

 と言う店の生い立ちをおかず王とラリーさんが小休憩の間、各テーブルに白いテーブルクロスを広げたり、照明を少し落としたりして店の内装を変えている一時間の間に語っていた。


「あーごめん、話し込んじゃったな。テーブルは用意しておいたからテルと一緒にパンでも食べててくれ。俺は厨房に戻る」


 何故か俺に向かってそう言ってきたおかず王に言われるがまま前の席に戻る。

 そそくさと出ていくおかず王を尻目に千代池先輩と席に座ると、


「じゃあ遠慮なく食べてよ」


 というサクサクのバタークッキーのような甘いボイスでカゴに入ったパンを渡された。


「ありがとうございます、いただきます」


 実際にフレンチレストランとしてやっているだけあって、前菜としてフランスパン代表のバゲットを出してくるこの店はやけに本格派だ。

 外はサクサク、中はもっちりと日本人好みに小麦粉の配分量が計算されているのが分かるぐらいには美味すぎる。

 比較的口下手な俺でさえ食レポに近い形で絶賛しているぐらいだから、プロのレポーターが食べたら食感のパラダイスや〜、みたいな感想が出てくるんじゃないだろうか。まあそれはさて置き。

 そういえばフランスって、仏国って書いてフランスだけど何か意味があるのだろうか?フランスというかヨーロッパはプロテスタントやカトリックのキリスト教のイメージがあるけど、仏教とか広まってんのかな?

 絶対名前詐欺だ、とかくだらないことを考えながらバゲットを齧っていると、近くの席に案内された女性客にワインの説明を行うラリーさんの声が聞こえてきた。


「ミュスカ・ド・フロンティニャンはフランスのロングホットドッグ・ローション地方のエロー県でマスカッツから製造されるワインの名称で当店一押しとなっております」

「…………じゃあ、それで♡」


 ラリーさんの落ち着いた物言いと紳士な対応にワインを飲む前から女性客の顔が真っ赤に染まっていく。入店早々、ワインを頼むなんてと思っていたけど、あれは惚れてるな。

 まあ、あれだけ博識なところを見せられ、しまいには渾身のジェントルマンスマイルを浴びせられたらクラっときてしまうかもしれない。

 しかしそれよりもマスカットからワインが作れることに驚いているのは俺だけだろうか?


「ロングホットドッグじゃなくてラングドック、ローションじゃなくてルーションだからな!!!」


 ということを考えていたら、シェフであるおかず王先輩が厨房から出てきてツッコんだ。どうやらラリーさんがあんなドヤ顔で言い間違えをしていたらしい。

 横で千代池先輩が、


「さすがラリーさんだね。僕にはあんなこと怖くて出来ないや」


 といちご大福のような甘い声で褒めているのを見てあれは故意に行われたいけないことだったんだと気づく。

 その間に、おかず王先輩に気づいたラリーさんが営業スマイルを引っさげて軽く告げた。


「あっ、シェフ。こちらのお客様からお願いマスカッツ一つ入りました」


 ですよね、お客様?ってあの女性客にもフォローを入れながら注文の確認をとるラリーさんに、おかず王先輩はイライラを募らせながらビシッと訂正した。


「うちの看板商品を深夜番組風に略すな!それにラングドックもルーションも現在は舌奥に〜じゃなくてオクシタニー地域に統合されてるから」


 はいはい、とおかず王先輩を軽くあしらいながら別のテーブルへ行くラリーさん。ラリーさんとの距離が離れていくにつれ、女性客の顔が不機嫌になっていくのは気のせいだろうか?


「もう一度きちんと説明しましょうか?」


 と、おかず王先輩が女性客に問うと、女性客はプイと顔を背けながらもういいです、あっち行ってください、と言葉でおかず王先輩をピシャリとはねた。

 ガーン、と気落ちした様子で厨房に戻っていくおかず王先輩の背中に少し同情する。

 それにしても例の女性客には露骨に嫌がられているな。人の感情の変化に疎い俺でも、流石に今女性客が、二人っきりの些細でささやかな甘いひとときを邪魔するなんて冗談じゃないわよ、と表情で訴えていることに気づいた。てかよくよく考えたら他のお客様もいらっしゃるのにツッコミにくるなんて、おかず王暇か。


「こちらの赤ワインなどはいかがでしょう?」

「うちは赤ワインもオススメで、そのワインは同じくエロー県で栽培してるカリニャンって言う晩生(おくて)なブドウから製造しているんだ」


 ラリーさんがワインの紹介をはじめるのを観察していると、千代池先輩から混ぜ切れてないコンポタのドロっとした部分くらい甘い声で補足説明を受けた。


「お客様、このリュンヌ・ド・ミエルはアワビのホワイトソース和えと相性がよく、オススメします」


 そんな感じでラリーさんの仕事を眺めながらテーブルの上の料理をつついていると、ふと思った。


「そういえば千代池先輩はなんでこんな会に入ったんですか?」

「うーん。なんでだろうね~」


 小学生の将来の見通しぐらい甘い声で唸りながらしばし熟考する先輩。

 憶測で語るのもあれだが、千代池先輩は半田先輩みたいに余剰な下ネタエネルギーを利己的に解決するために入っている訳じゃないと思う。むしろこんなくだらない会を蔑むとまではいかずとも見下すくらいの感情はあっていいと思うのだが、実際はどうやら。


「そうだね。今でこそプレイボーイとか絶世の美男子とか奇跡の王子様とか言われているけどさ」


 流石にそこまでは言ってない。


「半田とかにね」


 と思ったら言われてた。まあ改めて言われたら俺も否定はしないだろうが。なんせ先輩のお顔はギリシャ神話に出てくる神々を模した彫刻よりも美しいのだ。言われない訳がない。(信者)


「僕にだって乙女心が分からない時期はあったし、前は完璧なんて言葉なんて付くはずもないくらい鈍臭い時だってあったんだ」


 なんかジャニーズにそんな人がいた気がする。確かnewsのt、ゔ、頭が!!!


「そんな僕もある時衝撃の事実に気付いたんだよ」


 女性経験が豊富そうな千代池先輩でさえ知らなかったことってなんだ?

 フォークを置きながら答えを待っていると千代池先輩が女性が見たら失神しそうな勢いでフッとはにかんだ。


「女子の方が下ネタが大好きってね」


 んな訳あるかー!!!思わずテーブルに突っ伏した。

 今の発言で千代池先輩が急にあの変態教祖で名高い某M-1チャンピオンに見えてきた。もちろんただの幻影だけども。

 あとはあれよりこれが好き、みたいなうんちくを延々と聞かされ、解放される頃にはすっかり日も暮れ、俺の頭と腹は女性の知識の一部分とご飯で膨れていた。

 もうこりごりだと思うかたわら、あーやって先輩に奢ってもらえるだけでもありがたいなとか思ったり。

 そんなことを考えながら、帰り側に人のいないところで思いっきり屁をこいたら腐卵臭がした。

あれですね。下ネタというのはオナラのようなものでしてね。最初は音の響きやらなんやらで面白く感じるのですが、のちに生じる匂いを嗅ぐことによって不快感も与えてしまうという厄介なものですよね。ということで残り香的に最後の方はテキトーです(開き直る)


まぁ次はいつになるか分かりませんがそん時はよろしくお願いします!


なぜ女性の支持率がない⁈ by おかず王

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