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下ネタの会  作者: 寺子屋 佐助
第二章 研修(下ネタインターンシップ)編
22/26

第22話 千代池 照のモテ講座(2)

今回、普段より長めです。


千代池先輩の開くモテ講座をご覧の皆様は、部屋を明るくして画面に近づきすぎないように読みましょう。


内容の不可解さはノリで切り抜けるべし!

 俺たちは今,【フロンティニャン】という洋食店にて千代池先輩からモテ講座を受けている。


「先に概要を伝えておくけど、このLessonで君達が学ぶのは、悪女が求めるモテる男性の五つの種類とその特徴についてだ。その特徴を如何に使うか、というのはまた今度にしよう。それでいいかな?」

「「はい!」」


 千代池先輩の呼びかけに受講生である会員達が自由帳の効果か、小学生のようにハツラツとした様子で返事をする。

 目をキラキラと輝かせて先輩を見上げる会員達は、さながら幼稚園の先生の読み聞かせを聞いている園児のそれだった。その話は一寸法師でも北風と太陽でもなく、一寸先は闇のイケナイ内容だったが。


「それじゃあ、まず一つ目、と言うより一人目は高身長の王子様風超美形男だ」


 なんか文面で既に予想はつくが一応聞こう。


「ジャニーズや韓流スターなんかを見れば分かるだろうけど、彼らにある決まった共通点は世間的に見て明らかに美形だということだ」


 やっぱりなぁー、と溜息を吐く。シンジ君なんかは溜息でグラスが真っ白になっていた。

 やはり恋する男子にとって現実と向き合うのはツライのだろう。

 男はツライよ、とは良く言ったものだ。


「どうして美形だとモテるんですか?女子攻略ゲームとかだとフツメンもブサメンもモテモテですよ⁈」


 それは触れてはいけない悲しい現実だと思う。

 サトシ君の素朴な疑問に、会員の方達がやっぱり俺たちは二次元にはモテるんだ!、とポジティブ思考と現実逃避の中間辺りのテンションではしゃいでいた。

 なんだかやや哀しいムードに包まれていることを察したのか、千代池先輩は一番しょげてる高橋の肩を優しく叩いてフォローしながら理由を述べだした。


「理由としてあげられるのは、女性っていうのは潜在的に、お姫様だっこされたいとか、壁ドンされたいとか、顎クイもされたい、とか心の中で思っていて、そういった白馬に乗った王子様のイメージに近いのが美形だからだ。そして大抵の女子は白馬の上から見降ろされる感じにたまらなく憧れている」


 高身長が好きなのにはそんな理由があったのかと、同時に具体的にどれくらいの高さが必要なのかな?、と疑問に抱く。

 他の会員と言えば、お姫様だっこや壁ドンという単語を聞いた途端、その場で腕立て伏せを始めていた。

 おそらくお姫様だっこをする際の筋力を鍛えていると思うのだが、流石に今は無駄だと思う。てか、店内でやるな、恥ずかしいから。


「敷き詰めれば、女性というのは幼い頃に夢見たイメージを引きずるということだ。宝塚の女性が演じる男性が女子にとって魅力的なのはそこんところの乙女心をくすぐっているからだと僕は思っている」


 女子は過去のイメージを引きずる、か。まぁ、重要そうだからノートに書いておこう。

 他の会員は今度は宝塚の劇団員になりきって歌い始めていた。

 だから、あれだけ店内で騒ぐのはやめろと……あっ、サードチルドレンの一人が店内から離脱した。おかず王つええ。


「かわいい、は作れるけどイケメンを作るのは難しい。何せ男子の方は一部を除いてメイクをしないし、かといって髪の毛をいじれば将来ハゲるしで圧倒的に不利だからだ。逆に言えば、既にイケメンで背が高ければ、それだけで有利になるはずだ」


 普段から女子にキャーキャー言われている千代池先輩が言うと浸透性が増すなぁ、と思っていたら半田先輩が鼻息を鳴らしながら自慢気に胸を張っていた。


「ふん。俺もクラスでパンツを脱ぐ時は女子にキャーキャー言われるぞ」


 それは絶対違う意味で言われてるんだと思う。てかそんなんじゃ女子にモテる訳が……あっ、だからモテ講座に参加してるのか、納得。

 俺が半田先輩に対してツッコミを入れている間、他のメンバーはイケメンは作れないのか、と落胆していた。

 確かに残念美女とは聞くけど、残念イケメンとは言われない気がする。イケメンはギャップでかわいいとかって言われるからな。ちくしょう、よく考えたらイケメンは可愛くなれるんだな、なんか屈辱。



 ◇◇◇



「二人目は仕事がデキる金持ち男」

「ゔっ、ビンボーな俺は……」


 見知らぬ会員の中の一人の心が、千代池先輩の二本目の指と同時に折られる。気づけば、声には出さなかったものの、その会員と似たような境遇を持つ汗っかきな会員達がどこからか取り出したハンカチで目尻の汗を拭っていた。


「大丈夫だよ、皆。今から頑張れば勤め先なんていくらでも……」


 千代池先輩が皆を落ち着けようと、明るい希望を告げる。会員達はその言葉に藁にも縋るように、そうだね、そうだねと首を振っていたので、俺は冷静に考えていたことを述べた。


「今って就職難が続いてませんでしたっけ?」


 大手のポストを巡る激しい競争により、希望する会社に採用されることが少ない雇用事情。

 企業の海外進出によって海外の優秀な人材が安く採用され、国内の社員でも雇用が難しくなっている会社の人材問題。

 グローバル化によって中小企業が大手の会社に買収されていく際にコストが削られて出来る失業者の数。

 以上の事を除いても即戦力が求められる現在じゃ、どこの会社で勤めてもリストラされないようにしないといけない。

 そんな中で仕事が出来る金持ちになるのは至難の技ですよ、とそれっぽいことを言っていると、一人が拳を突き上げ目の中にメラメラと光る小さな炎を灯しながら高らかに告げた。


「ならば、俺は絶対社長になる!!」


 ジャンプ漫画の主人公みたいに宣言した彼に従い、他のメンバーも同様に何かを決心していた。


「YouTuberになってゲーム動画をアップして広告料で稼ぐ」


 随分具体的な夢だな、サトシ君。不安定っぽそうだけど、サトシ君なら出来そうな気がしてくるから不思議だ。


「目指せ公務員!出会いの広がる市役所勤め!」


 服部よ。確かに安定した職業だし、市役所なら人の出入りも多いけど、新婚ホヤホヤの籍を入れるリア充も出入りするのが多いことは考えているのだろうか?

 嫉妬でリア充を市役所という公共施設内で爆破したらテロ容疑で捕まるかもしれない。


「ふっ、俺は断然ニートになる!」


 それは安定ではなく単なる引きこもりだ!!


「もちろん、俺は汁だ…アベし!!!」

「千代池先輩、続きをお願いします」


 経験からか半田先輩が何か言う前に顔面を殴っておいた俺は、ニコニコと静かに笑う千代池先輩の表情が怖くなって先輩に続きを催促した。


「じゃあまた本題に戻ろう。女性っていうのはやっぱり現金な生き物でね。例えば、同じ仕事がデキる男でも収入が数十万違うだけですぐ鞍替えしちゃうんだ」


 まぁ、両者同じ条件ならよほどのことが無い限りそうだろう。と、思っていたら服部がかなり後最もな質問をした。


「でも、例えば同じ質のニンジンだったら安い方が買われますよ?」


 言われてみればそうだ。でもニンジンと人間じゃ比べものにはなるまい。こういうところは商売とは逆なのが不思議だ、とつくづく思う。


「ならば我々のニンジンを比べてみれば、ぐはっ」


 頬を一発叩き、次やる時はニンジンをみじん切りにしますよ、と脅しをかければ、半田先輩は顔色を悪くしながら首を思いっきり振っていた。


「皆は、って僕もそうだね、まだ学生だから理解出来ないかもしれないけど、将来どれくらいお金を儲けるかによってモテ度が圧倒的に変わるから今の内に教養をつけておこう」

「なるほど!志望校合格を目指して勉強すればいいんですね!」

「なぜそうなるっ?!!」


 服部が志望校合格をモットーに掲げた某通信教育の付録の漫画のような、驚異的な理解力で千代池先輩の説明を紐解く。

 おそらく収入のいい職業につくにはいい学力がいるから、とかそういう理由で理解したんだろうけど、学力と教養って果たして一緒なのだろうか?

 その部分が分からなかった俺は、頭の中で教養イコール学力を仮定づけして師である千代池先輩に詳しい説明を乞いた。


「なんで教養をつけなきゃいけないんですか?僕は特別成績が良いわけじゃないんでよく分からないですけど、別にお金儲けって頭が良くなくても出来ると思うんですけど」


 例えば俳優さん、女優さんなんかで中卒の人がたまにいるけど学力がなくてもお金はたくさんあると思う。

 逆に高学歴のサラリーマンで元々はエリート企業に勤めていたのにリストラされて、職業もお金もなくなるって話も聞いたことはある。

 何が言いたいのかというと、高い学力が高い収入と比例するかっていうと違うんじゃないか、と思っているわけだ。


「おっと説明不足だったね。教養っていうのはざっくり言えばステータスなんだ。医師免許を持ってる、弁護士の資格がある、会社の跡取り息子っていうお金の匂いだけで悪い女性はイヤでも寄ってくるよ」


 教養は資格かな、と大体のイメージを掴むが未だに全体像は把握出来ない。じゃあどういうことなのか、と考えていたら、またもやメンバーの内の誰かが素朴な疑問を口にした。


「えっ?じゃあ、ラーメン店のオーナーとかは?」


 なるほど。シェフではなくてオーナーなら資格はいらないな。経営なんかも任せて、責任だけとる職業に就けば教養なんていらない気がする。そう思っていたら、千代池先輩が補足的に説明を加えた。


「立場的にはいいかもしれないけど、あくまで安定する職じゃないと女性はよらない。極端に言えばベビーシッターとかでも安定して収入が多ければいいんだ。それでも学歴を重視する女性がいるのは、そういう男性は職に困りにくい上に高収入だってことが良く分かってるからじゃないかな?だから将来的に頭のいい高学歴は平均的に学力がないやつよりモテるんだ」


 なんかそれってつまり……。


「ようは安定した高収入を得られる男はモテると?」

「ズバリ言えばそう、お金だね。もっとざっくばらんに言えば、金に繋がる資産や能力を持ってる人だ」


 結局お金か。そりゃまぁ、資産家の方が余裕はありそうだし、女性にモテるとは思うけど、なんかあんまりだ。第一、俺たちはまだ学生だし、と思っていたらちょうどいいタイミングでシンジ君が口を挟んだ。


「僕らはまだ学生だから関係ないですね」


 そうだ。確かに、今はどう考えても収入は問題にならない。少し得意気なシンジ君にあやかって胸を撫で下ろしていると、千代池先輩が言葉を繋いだ。


「今、はね。だから将来の先行投資として教養をつけるいい期間なんだよ。さて、この話は一旦置いておいてここらで次の条件にいこうか」



 ◇◇◇



「三人目はまぐわい上手なスポーツ男子」

「えっ!!!!!!!!!」


 一瞬、千代池先輩が何を口走ったのかが分からなくて目を点にする。


「まぁ、確かにアスリートってモテますよね」


 服部がさりげなくボソリとそう呟く。

 こらっ!そこはスルーするところじゃなくて律儀につっこむとこだろ!いや、つっこむってそういう意味じゃなくて一線を越えないように静止するって意味で、いや、だからせいしは……あー墓穴掘った。

 俺がよく分からないところで自責の念を抱いている間、千代池先輩は何食わぬ顔で話を続けた。


「これは非常に動物的な発想なんだけど、女性は健康的に汗をかいていて、まぐわい上手な男性には情が移りやすいんだ」

「えっ、なんで……」


 でも汗っかきって嫌われるんじゃなかろうか。夏場とかワイシャツ着てる男性が脇の下とかの色を濃くするとひかれるし。


「古今東西、老若男女問わずスポーツ出来る男がかっこいいと思われるのは単純に強いオスと思われるからだよ。ただし、筋肉を鍛えるだけのバカにありがちなのが、自分の筋肉をこよなく愛することで、これは世の女性達には避けられやすい」

「でも、ちゃんと汗をかくし、体力とかもありそうですけど?」


 スポーツをする女性の恋人にはムキムキな人も多いし、シュワちゃんことアーノルドシュワッツネッガーは元ボディービルダーだけどモテモテだったはずだ。


「うん。まあ例外はいるけど…」


 まあケースとしては特殊なのは仕方がないか。別に千代池先輩を困らせたかった訳じゃないから、先輩あんまり怒らんといてください。


「とにかくだ。理由としては俺の筋肉すごいだろ?、と自慢してくる男子は普段からメイクとか髪型とか衣装とかに気を遣ってる女子にとっては自慢にすらならないからだ。自分磨きは当たり前の彼女達にとってはそういうナルシストに近い発想はお断りじゃないかな。むしろ、ちゃんと自分を褒めなさいとか内心で思ってるはずだよ」

「つまりほどよく鍛えてて、なおかつナルシストじゃない男子がモテるんだ」


 だらしない身体は多分ダメだけど加減は必要ということだろう。

 そこまでノートに書き終わった俺は途中あることに気付いた。


「んっ?じゃぁ、その、あの、セッ…じゃなくて男女の交わりの方は?」


 TPOに合わせて直接的な言い方を避ける。


「ほほう、多田もTnPOにピッタリな下ネタを言えるようになったか」


 流石にそろそろ話題をかえなければ、男の筋肉の話だけになってしまう。そう危惧した俺はスムーズに話題転換を努めたはずだが、何故か半田先輩に誤解されることになった。

 それよりTnPOとはなんだ。どっからNがきた?!


「ち、違いm」

「こればっかりは相手をいかに満足させられるかによって変わるからね。相性もあるし」


 弁解する暇も無く千代池先輩が話を続ける。


「まぁ、でも上手な人はそれだけで女性をメロメロにすることは可能だと思うよ。その行為まで到達出来れば、だけど」


 さりげなく残酷なことを言われた気がするのだが、メロメロにするぞ、と意気込むメンバー達を見て指摘する気が失せた。


「つまりエロマンガみたいな肉体関係から発展する恋愛もあると?」

「流石だね~、服部君。股間は硬いのに思考は柔らかいね~」


 こいつらは何を言ってるんだ? そんな貞操観念が全く感じられないものなどあってはならn


「出来ちゃった婚が多いのはそこも関係しているかもしれないね。今話題のあのアプリを使えば即行動に移せるかもだし」

「次いきましょう、先輩」


 ネットの危ない広告のような話を避けることに成功した俺は、残念がる会員達を尻目に次の条件に移行してもらった。何故無視されるのかはとりあえず置いておいて。



 ◇◇◇



「四人目は趣味も好みも話も合う八方美人男子。多分、僕らからしたら一番、なんでこんなやつが?って感じる典型的なタイプじゃないかな」


 確か小学生ぐらいの時にそんな奴がいたな。王子様とはほど遠い見た目で、スポーツや勉強が特別に出来た訳でも無いのに、モテていたやつが。

 そういやなんでなんだろうと考えていたら、千代池先輩が話を進めた。


「テレビに出てる芸人なんかを見れば分かると思うんだけど、このタイプの男性はどんなタイプの女子でも摩擦を無くせて、尚且つ、巧みな話術で女子のどんな会話にでも躊躇なく入っていけるんだ」


 なるほど。抜群のトーク力は女子を魅了出来ると。


「更に特徴的なのは、『えっ、私もこのCD持ってる~。私もBBQすき~』みたいに、女子の興味を誘って、何でもかんでも共通の話題を生み出せる上に流行なんかはすぐに抑えて、女子らしい考え方も出来るところだ」

「つまり女子の仲間意識的なところをくすぐっていると?」

「そういうこと」


 やたら流行りの店を抑えたり、雑誌なんかで今季の新情報を集めている若者特集みたいなバラエティ番組にどんな需要があるのかと考えていたが、あれは世の女性と彼女達の習性を利用する者の為の番組だったのか。


「コミュ症を拗らせた俺には無理だ」


 なんだその花粉症拗らせたみたいな言い訳は。むしろ普段からぼっちキャラを貫いている俺のほうが拗らせているぞ。自慢できるほどのことじゃないが。


「まぁ、親しみやすい分、関係性のライン引きがはっきりしてるから難しいかな。女性が多分一番妥協しちゃう部分だろうし。ラインを越え過ぎると距離を置かれちゃうし、反対に手前に一歩引いた状態だと、ただ趣味が合うだけだからね」

「それじゃあ、意味ないじゃないですか」


 それは本当にモテる条件の一つなのかと首を傾げていると、先輩が当然と言った雰囲気でビシッと言い放った。


「そうとも言えないよ。女性が誰かと付き合う際に重要視する要素の中にはフィーリングが合うかどうかっていうのも含まれているんだ。結婚を考えているなら別の話だけど、ただ付き合いたいってだけなら、同じ部活にいるとか何か共通点があった方が圧倒的に有利だよ」


 同じバイト先、サークル内、仕事場で恋愛が生じるのは正にそのタイプらしい。

 またしばらく考えていたら千代池先輩がレッスンを再開した。



 ◇◇◇



「最後の一人は、家族みたいに付き合いが長い、幼馴染系友達男だ」

「漫画やドラマで見るあれですね!」


 あー、あの定番のパターンね、と評論家口調で納得しかけていると、サードチルドレンが突然挙動不審に周りに警告を与えだした。


「幻術に惑わされるな!そんなことありえるはずが」


 どっかの忍者マンガを彷彿させるセリフを吐いたのも束の間。セリフを言い終える前に千代池先輩が彼らの言葉を遮っていた。


「ただの空想だと思って甘く見てると痛い目に合うよ。大体あれだけ幼馴染系のお話がポピュラーなのは実際に付き合いが長い男女の方がカップルになりやすいっていう証拠でもあるしね」


 かの有名なサッカープレイヤー、メッシはずっとお付き合いしていた幼馴染と結婚したらしいし、少女漫画とかなら幼馴染ネタは鉄板中の鉄板ネタだ。


「えーっと、でも逆にそんなのあり得ないって主張する人もいませんか?」


 あだち充の作品とかだと誰かが死ぬまで関係が発展しないという特殊なジンクスがあるし、世の合コンという文化が廃れないのは、そういう新たな出会いに一縷の希望を持っている人が多いからだと思う。


「まぁ、幼なじみだから距離が近いってだけで、そこから恋愛関係に踏み込むことは一朝一夕じゃ出来ないからね。その人達の人間性もあるし」

「いち○100%とかはそうだな、服部」

「やめろ、高橋。俺はトラブル派だ」

「ア・イ・ズだろーが!!」

「いいえ、先輩。ニセ○イとリリムキッスが至上です」

「ジャンプにしか興味がないガキめ。1969年という輝かしい年に出来た週刊ポストのマンガが最高に決まっているだろう?!」


 幼馴染の利点についてのはずが話が脱線する。しかも最初は恋愛路線だったのに半田先輩の週刊ポストで調子が狂わされた。いや、もうマンガの話はいいから先にいきましょう。そろそろツッコミも飽きてきた。


「さて、話を戻そうか。幼なじみとか兄妹姉妹に近い関係の最大の利点はやっぱり気軽に踏み込んだ話が出来るところかな。他人とは違って信用出来るし、女性にとって自然にお節介を焼いたり焼かれたり、自分の話や愚痴を黙って聞いてもらえたりするし、ワガママ言って買い物にだって連れて行ける。やっぱりどこかでありのままの自分を受けとめてくれる存在を求めてるんだよ、女の子っていうのは」


 千代池先輩が文を終えたその瞬間にありの~、ままの~、と社会現象を引き起こしたあの曲がやや暖かい店内で歌われる。

 はいはい、少しも寒くないですね。


「少し暑くなってきたな」


 生まれて初めて~、と歌いながら産まれたばかりの赤ん坊のようにあられもない姿になろうとする半田先輩にはアナに殴られたハンスの如く鉄拳を受けてもらった。

さぁ、今回のレッスンはいかがだったでしょうか?賛否両論あると思いますが、意外にも当てはまるところはあったんでないかい?


千代池先輩のモテ講座は不定期にやるつもりです。お楽しみに。

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