第43話:「この想いがあれば頑張れるよ!」
「これは……けしからんおっぱいだ」
「うん……けしからん」
全裸でベッドに横になっているアイラの左右から俺とドルチェがにじり寄る。
ベッドの横にはお湯の入った桶が用意されていた。こうなる事を予見していたドルチェが予め宿屋の人に頼んでいたそうだ。
宿屋の人からお湯を受け取ったドルチェが思いっきりドヤ顔をしていた。
流石に恥ずかしいのか腕で胸を隠そうとしているが、アイラの巨乳を隠す役割は殆ど果たしていない。
「うぅっ……恥ずかしいよぅ」
瞳をうるうるさせて不安そうな顔でアイラが俺達を見上げている。
でも、この胸は反則だ。これほどの巨乳なのに横なっても殆ど崩れていない。
腕の隙間から見え隠れする白い肌に薄いピンク色の乳首。
ドルチェが自分の胸をペタペタ触って恨めしそうにアイラの胸を凝視していた。
「アタシだってまさかこんなに大きくなるなんて思わなかったよ。一生ぺったんこだと覚悟してたんだから!」
「ドルチェだってきっと大きくなるよ」
「シュンにぃが……毎日揉んで……大きくする」
「揉めば大きくなる……はず」と主張するドルチェに変な約束をさせられてしまった。
「ねぇ、シュンはアタシの胸……好き?」
「う、うん、好きだよ」
「神様の所で初めて会った時もずっと見てたもんね……。恥ずかしいけど、触っても良いよ?」
少し緊張が解けてきたのか、小悪魔みたいに妖しい笑みを浮かべたアイラが俺の手を取って自分の胸へと押し当ててくる。土壇場になると肝が据わるタイプみたいだ。
手から伝わってくる圧倒的な質量と柔らかさに一瞬意識が飛んでしまった。
気が付くとアイラの胸にむしゃぶりついていた。
「シュン……きて」
俺の頭に腕を回してぎゅっと抱きしめてくる。そして止めの一言。
その言葉にドルチェが居る事も忘れて、アイラの身体に溺れていった。
「アタシの心の中に一生後悔しない思い出ができたよ。この想いがあれば頑張れるよ!」
ドルチェが頼んでおいてくれたお湯で身体を綺麗に拭いたアイラが、嬉しさを堪えきれないと言った感じで俺に抱きついてくる。
昨夜ドルチェを相手にあれだけ搾り取られたのに、結局3回もアイラの身体に精を放ってしまった。
流石に妊娠の心配があったので中には出さなかった。
アイラは「大丈夫な日のはずだから」と言っていたが、俺にとってもアイラにとっても大事な時期なので今妊娠させるわけにはいかない。
「次は胸でしてあげるね?」
悪戯っぽくそんな事を言っているアイラの胸を背後からドルチェが鷲掴み。
「ぼくがいる事……忘れてる。……ずるい」
今回ドルチェはアイラが初めてと言うことで、俺たちの行為を見てるだけになってしまった。
「それじゃ、今から2人でシュンを襲っちゃおうか!」
「……ずるい」と連呼しているドルチェにアイラがとんでもない事を言っている。まだする気満々のアイラに思わず苦笑してしまった。
それにしても、ここ最近あれだけ搾り取られているのに何故か精力が後から後から湧いてくるような変な気分だ。
何か変な力に目覚めてしまいそうな予感がする。
「シュンにぃ……覚悟」
「見て見てドルチェ! シュンのがもうあんなに大きくなってるよ!」
にじり寄ってくる2人に覚悟を決めていると、突然激しくドアが叩かれた。
『ドンドンドン!』
「シュン、居るか!? ワタシだ、シルビアだ!」
いつもの落ち着いた感じじゃないシルビアの様子に急いでドアを開けようとしたが、アイラが大きな声で俺を制止する。
「ままま、待って! 5分! ううん、3分で良いから!」
そう言って慌てて服を着始める。
『分』って単位は俺しか分からないと思うのだが……。とりあえず、シルビアには待って貰おう。
「シルビア、ちょっと待ってて。部屋が散らかってるから」
「分かった……。だがなるべく早く頼むぞ」
声が何だかイライラしてるようだ。
アイラが着替えている後ろではドルチェが窓を開けて換気をしている。
「あれの匂いって……やっぱりしちゃってるかな?」
「多分……バレバレ」
今更と言う気がしないでもないけど、何もしないよりはましだろうと思い俺もベッドの毛布で室内の空気を外に送り出した。
「ハァ……ハァ……、じゅ、準備OKッ!」
着替え終えたアイラがOKサインを出してくる。
空気を入れ替えるのに夢中で、アイラの生着替えを見逃してしまった事に後悔。
少しがっかりした顔で「お待たせ」と言ってドアを開けると、目の前には目を吊り上げたシルビアが仁王立ちしていた。その後ろにはオロオロしているメリルとサラ。
「どうしたの? 迷宮に行ってたんだよね?」
「それがな……聞いてくれ、シュン! ん?」
鼻をくんくんさせて部屋の匂いを嗅いでいたかと思うと、キッとシルビアが睨み付けてきた。
「シュン! オマエという奴は……! これは…あ、あれだろ!? お、男のッ!」
過剰なくらい取り乱しているシルビアを見てふと思った。
もしかして、シルビアって処女なのだろうか?
だが、少なくとも匂いは知っているみたいだ。
「シュンにぃが……えっちなのは……今更」
ドルチェがフォローになってないフォローをしてくれたが複雑な気分だ……。
確かに最近エッチばかりしているので否定が出来ない。
「そ、それよりッ! 一体どうしたの? 何かあった?」
これ以上追求されるのを避けようとしているのか、アイラが話題を切り替えようと試みる。
同じ部屋にいるのでバレバレだと思うが、俺もアイラに同調した。
「うん、シルビアにしては珍しく慌てていたよね。それに何かイライラしてたみたいだったし」
「あぁ……、今からちゃんと話す。失礼するぞ」
部屋に入ってきたシルビアがベッドに腰を下ろす。かなり疲れているみたいだ。
使用していない綺麗な方に座ってくれたのでホッと一安心。
メリルとサラが部屋に入り辛そうにしていたが、ドルチェが声を掛けるとメリルが瞳を輝かせて入ってきた。
「ドルチェたんが声を掛けてくれたー!」と1人盛り上がっていたが、もうこの子に関しては完全にスルーした方が良さそうだ。
呆れた顔のサラがシルビアの隣に座るのを見てメリルも慌てて反対側に座る。
俺達も座ろうとしたが、開いているのは濃厚な行為の後の濡れたベッドだけだったので毛布を敷いてその上に腰を下ろした。
ベッドの血を見てアイラがニマニマしていたが、気付かないフリをしてあげた。
「それじゃ、何があったか話してくれるかな?」
「うむ。探索を終えて迷宮の外へ出た時の事なのだがな、そこで『同類』……いや、あんなのは同類ではないな。まぁ、頭にくる男に会ったのだよ!」
その男の事を思い出したのか、シルビアが怒りでプルプル震えている。
「あ~、やっぱりこの街にも居たのか。でも、シルビアがそこまで怒るって事はそんなに嫌なヤツだった?」
「『最初に選ぶ国で『戦士の国』を選ばなかった奴等は軟弱者だ! そんなお前達に迷宮の攻略なんて出来るものか!』」
いきなりサラがベッドに立ち上がり男口調で俺達を罵倒してきた。
ポカーンと口を開けサラを見上げていたらそそくさと座り直した。ちょっと頬が赤い。
「あの男がそう言ったのだよ」
シルビアの目が怖い、めちゃくちゃ怒ってる。
ドルチェもアイラも気圧されてしまったのか俺の腕にしがみ付いてくる。
「ククク……何が『攻略はオレ達がしてやるから、お前らは部屋の隅っこでブルブル震えていろ!』だ。あの程度のレベルとスキルで小賢しいッ!」
ダークエルフ様がお怒りだ。でも、怒っていても綺麗だ。
ちょっと見惚れてしまった。
読んでくださりありがとうございました。




