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探索者  作者: 羽帽子
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第03話:「お、どうやら新しいお客さんらしいのぅ」

「お、そうじゃった。今おぬしが着ている衣服もどうにかせんとな。出来れば異世界の素材をあの世界に持ち込まれたくはなんじゃよ」


 そう言うと神様は杖を俺に向け何やら呪文らしきものを呟く。

 すると俺の身体は今まで着ていたTシャツや短パンではなく、麻布らしきちょっとごわごわする素朴な服を身に纏っていた。

 目の前で行われた魔法らしきものにテンションがどんどん上がっていく。


「おおぉ……すげ~! 魔法だ! それになんかファンタジーな服!」


 まるで誕生日に高級なドレスを買って貰った乙女のようにその場でクルクル回って喜びを表現する。


「まぁ、おぬしの世界の服と違って着心地はあまり良くはないじゃろうが、その辺は勘弁してほしい」


 ちょっと申し訳なさそうにしている神様に俺は満面の笑顔で言う。


「何言ってるの、これが良いんだよ! まさにファンタジーの世界って感じでめっちゃ嬉しいよ!」


「そ、そうか? それなら良かったんじゃが……うん?」


 やたらとテンションが高くなっている俺に若干引き気味の神様とそんなやり取りをしていると、急に地面の一部が輝きだす。

 恐る恐る少し近づいてみると、どうやら地面に描かれた魔法陣らしき物が光輝いているらしかった。


「お、どうやら新しいお客さんらしいのぅ」


 そんな事を言いながらホクホク笑顔で魔法陣に近づいていく神様。

 すると魔法陣の中に女性らしき姿が浮かび上がってきた。

 長くクセのある金髪をポニーテールにしている17,8歳くらいの女性だ。

 何やらブツブツと呟きながら女の子座りになって手で目を覆っている。

 この子もあの光の直撃を喰らってしまったみたいだ。

 突然の光景に俺も若干動揺していたが、しばらくすると目が慣れてきたのかやっと自分の状況に気づいた女性は当然のことながら何が起こっているのか全く把握出来ていないらしく、カチンと固まったまま呆然と自分の目の前に立っている全身「白っ!」としか言いようの無い神様を見上げていた。

 その上目遣いがなんか可愛くて内心ドキドキしてていると、神様がその女性に話し掛けている。


「やぁ、ようこそ! わしの世界に……じゃ!!」


 気のせいか俺の時とは比べ物にならないくらい満面の笑顔の神様。

 話しかけられた女性はまだショックが抜け切らないのかいまだに固まっている。

 しかし目を覆っていた手がなくなっているので顔を確認することが出来た。

 めちゃくちゃ美少女である。

 いや、美少女から美女へこれから生まれ変わろうとしてると言った印象か。

 だがそれ以上に俺の目を釘付けにしたのは彼女のその圧倒的な胸。

 張り裂けそうになっているタンクトップにホットパンツ、いかにも「部屋で寛いでました」といった格好なので胸が凄いことになっていた。


「す、すごっ……!」


 思わず口から出てしまった言葉にビクッと反応した女性と目が合う。

 どうやら今になって神様の他にも人がいることに気が付いたようだ。

 目が合った事にドキドキしてしまったのを誤魔化すために視線を逸らした先には先程の巨乳。

 俺が何を見ているのか気づいた女性が自分の胸元を見て…目を見開いて固まってしまった。

 何かとてつもなくショックを受けてるような?

 まさか俺に見られたのがそこまでショックだったとしたら立ち直れないかもしれない。

 やるせない気持ちにもなったが誤解を解く為に声を掛けようとして気付く。

 この女性はどこからどう見ても外人さんだ。

 生まれてこの方、一度も外人さんとまともに話したことなんてない。

 俺は学生のころから英語成績は下から数えた方が早かった。

 なのでこの場所に召喚された時よりもずっと緊張しているが何とか話し掛けてみる。


「は、ハロ~……。ナイストゥーミーチュー……?」


 思いっきり怪しい英語になってしまった。

 神様は俺から顔を逸らして必死に笑いを堪えている。


「こ、こんにちは……?」


 英語で話しかけたのに思いっきり日本語で返されてしまった。

 愕然としている俺を見て神様は我慢出来なくなってしまったのか思い切り笑い出している。


「プッ……ククク……ふはははは! 今までさんざんわしと会話しておったのに気付かなかったのか? こっちに召喚した時点でちゃんと会話が可能になるようにいろいろ弄っておいたんじゃぞ?」


「あ……えと……」


 今さらながらに恥ずかしくなって顔が真っ赤になった俺を見て神様だけじゃなく女性の方も笑っている。


「そ、その人の緊張を解すためにわざとだよ! 知ってたよ!」


 慌てて言い訳をするが嘘であることはバレバレであろう。

 生暖かいものを見るような目で見つめてくる2人。

 何だか悔しかったので仕返しの意味も込めてまたチラチラと女性の胸を見てやった。

 その視線で自分の身体の変化を思い出したのか女性があたふたしながら手で自分の身体を触っている。


「そこの泉で確認してみたらどうじゃ? お嬢ちゃんにとって一番力を発揮できる時期の身体にしてみたんじゃが?」


 神様の言葉にハッとした女性が慌てて泉に駆け寄り改めて自分の身体を確認し始めた。

 特に胸の辺りを重点的に調べてるような?

 満足したのかちょっと恥ずかしそうに微妙に胸元を腕で隠しながらも走ってこちらに戻ってきた。


「あああああ、あの! 私、まさか大きくなったら胸もこんなに大きくなるとは思わなくて! す、すごく嬉しいです! ありがとうございます!」


 もの凄い勢いでお礼を言う女性を見て神様も満更でもない表情。

 明らかに俺の時より嬉しそうだ。

 やっぱり女好きな神様らしい。

 気になったので女性に対して失礼かな?とも思ったが年齢を聞いてみると、召喚される前は15歳だったとか。

 ちなみに限りなく平面な胸だったらしい。

 今の見た目が俺と同じ17、8歳くらいなのでわずか2、3年で一気にここまで成長したってことなのか。

 それにしても過去の身体だけじゃなく未来の身体まで再現してしまうとは、流石は神様と言った所か。


「あ、あの……、ところでさっきからずっと気になっていたのですが、あなた方はいったいどちら様なのでしょうか? それに、ここはいったい?」


 緊張しているのか言葉使いがもの凄く丁寧だ。

 今更な女性の発言に思わず視線が合う俺と神様。

 そして我慢出来ずに笑い出してしまった俺達をきょとんとした顔で見つめている女性。

 

 それが、俺と巨乳美少女アイラとの初めての出会いだった。



読んでくださりありがとうございました。

アイラの登場です。

彼女はもしかしたらあっちの世界でもちょこちょこ登場するかも?

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