第33話:「もう家族みたいなものですから~」
「シュンさんお待たせ~! ドルチェちゃんもいっぱい食べてくださいね~」
今日の夕食もエミリーの手料理だ。
俺のだけではなくドルチェの分も作ってくれたのでお礼を言うと、はにかんだ笑顔で嬉しい事を言ってくれた。
「だって、ドルチェちゃんも……もう家族みたいなものですから~」
後でいっぱい可愛がってあげないと……ドルチェと2人がかりで!
「おいしい……幸せ」
ドルチェが目を輝かせて美味しそうに食べているのを見て、エミリーが優しい瞳で見守っている。
どうやら先程の部屋での一件で2人の仲はかなり良くなったみたいで安心した。
2人とも俺との約束を守ってくれている。
俺には勿体無いほど素敵な子達だ。大切にしよう。
「うん、エミリーの料理はいつも最高だよ。ありがとね、エミリー」
お礼の意味も込めて頭を撫でると、嬉しそうに尻尾をブンブン振っていた。
まだ夕食の時間には早く俺達しか客は居なかったので、エミリーも同じテーブルに座って談笑していたが、食堂にシルビア達が入ってきたので慌てて立ち上がる。
「シルビアさん、いらっしゃいませ~! こちらのお席にどうぞ~」
すかさずエミリーが俺達の隣のテーブルに案内する。
「うむ、ありがとうエミリー。シュンももう来ていたのか。ところで隣の子は?」
「あぁ、今日からPTを組む事になったドルチェだよ。ドルチェ、この人達は探索者のシルビアにPTメンバーのメリルとサラだ」
俺のPTメンバーと聞いてシルビアの目が光った気が……。
「ほう、シュンもPTメンバーが見つかったのか、これはめでたいな。ドルチェと言ったか、シュンの事をよろしく頼むぞ」
「任せて……おはようからおやすみまで……ずっと一緒」
ドルチェの挑発っぽい発言にも余裕の表情のシルビア。
メリルが「爆ぜろ」と呟いていたがスルー安定。
「あ、そう言えば、シルビアもオルトス国行きの護衛を受けたんだって? 俺達もだからよろしく!」
「あぁ、やはりシュンも受けたのか、こちらこそよろしく頼む。楽しみだな」
ドルチェがエミリーの耳元に何か囁くと、エミリーがこちらをチラリと見て頷いていた。
微かに「ライバル?」と聞こえた気がしたが、何を話していたのだろうか?。
シルビアも2人に対抗したのかどうか分らないが、俺の耳元に「向こうで同類に会えるかもしれないな」と囁いてきたので頷いておいた。
エミリーとドルチェの視線が痛い。
「確か、帰りは引き取った『孤児』達も一緒になるんだっけ?」
「うむ、ワタシ達が護衛を引き受けたのはそれも関係している」
どうやらシルビアはバードンさんの話を聞いて『孤児奴隷』を雇う決心をしているらしく、少しでも早くどんな孤児達が居るのか確認したかったらしい。
その為に今は必死にお金を貯めているとの事。
思わず自分の今の現状と比べてしまい、かなり凹んでしまった。
食事を終えて部屋に戻り、ドルチェと明日の予定を立てる。
「明日は迷宮に行く前に、明後日からの旅に備えて服とかを買い足しておこう。歯ブラシなどの雑貨も必要だろうし、午前中は買い物かな?」
「買い物……好き」
シアさんの話だとオルトス国の王都までは馬車で片道5日掛かるらしい。
滞在が4日なので半月近くもここに戻って来れない計算になる。
ちなみに報酬は銀貨10枚ずつ。
PTで、ではなくちゃんと全員に支払われるとの事。
中堅探索者だったら一日銀貨1枚以上は余裕で稼いでるだろうから割に合わないかもしれないが、俺みたいな新人にとってはかなりありがたい金額だ。
『ガラ~ンゴロ~ン♪』
午後4の鐘が鳴ったので、もう少ししたらエミリーもやってくるだろう。
エミリーが来たらすぐに身体を拭いてあげるつもりだ。
ドルチェとどっちが前を担当するかでかなり揉めたが、今日は俺が前で明日はドルチェが前を担当することで折り合いが付いた。
出会ったばかりでこんな関係になってしまって良いのか悩んでしまったが、エミリーもドルチェも嫌々している雰囲気は全く無く、むしろイキイキと嬉しそうなのでもう開き直る事にした。
『コンコン』
ドアがノックされたので開けると、桶を持ったエミリーが立っていたので受け取って部屋に入れる。もちろん鍵はしっかり掛けた。
「ごめんね、重かったでしょ?」
「ううん、自分の分なので気にしないでください~」
顔を赤くしてモジモジしているエミリーの服を、俺とドルチェとで脱がせていく。
「は、恥ずかしいです~……」
流石に2人がかりは恥ずかしいみたいだが、そんな言葉で俺もドルチェも止まるはずがない。
エミリーを全裸にすると手ぬぐいを手に、前後から挟み込むようにして徹底的に白く美しい肌を磨き上げた。
「あぅ~……ドルチェちゃん、尻尾をそんなに撫でたら……はぅッ!?」
俺も負けじとエミリーの敏感な所を中心に拭き清める。
もちろんデリケートな所は舌を使った。
夕方のドルチェと同じように力が抜けてベッドに横たわるエミリー。
乱れた息が整ってくると、妖しい瞳で俺達を見上げてくる。
どうやらスイッチが入ってしまったようだ。
「シュンさ~ん、今夜はドルチェちゃんの初めての夜ですから……あたし達でい~っぱい気持ち良くさせちゃいましょうね~」
魔性モード全開のエミリーに珍しくドルチェがビビっている。
それよりもその前にちゃんとドルチェに確認をしておかないと。
「ドルチェは、やっぱり初めてなのかな?」
「……まだ生娘」
「俺達はまだ知り合ったばかりだけど、ドルチェは俺が相手で良いの?」
「…シュンにぃじゃないと……嫌。……シュンにぃこそ……ぼくで良い? 胸……ぺったんこ」
その事に対する返事とばかりにぎゅっと抱き寄せてキスをする。
そして耳元に囁く。
「それじゃ、ドルチェの初めて……貰うね」
こくんと頷いたドルチェの服を一枚一枚丁寧に脱がせていく。
そしてエミリーがそんな俺の服を楽しそうに脱がす。
ベッドに全裸の美少女2人を寝かせると、その上に覆い被さ交互に舌を絡ませる。
「シュンにぃ~……ぼく……ぼく~!」
潤んだ瞳のドルチェ。
まだ緊張で硬さが残る身体を俺とエミリーとで解きほぐしていく。
両手でシーツを掴んで必死に声を我慢しているのがあまりにも可愛くて、ついつい激しい愛撫になってしまった。
スイッチが入りっぱなしのエミリーも鼻息を荒くして、ドルチェの身体のいたる所に舌を這わせている。
「ドルチェ、入れるよ?」
「……ぼくを……シュンにぃの……女にして」
健気に俺を見つめてくるドルチェの頭をエミリーが優しく撫でる。
そして、俺は目を細めて幸せそうにしているドルチェの初めてを……貰った。
「おはよう……シュンにぃ」
朝、目を覚ますと腕の中のドルチェがおはようのキスをしてくれた。
昨夜処女を失ったドルチェが疲れて寝てしまうと、エミリーは気を使って自室へと戻って行った。
流石にこのベッドに3人で寝るのは狭すぎる。
「今日は特別ですからね~」と言っていたが、目がちょっと怖かった。
これは一刻も早く自分達の家を借りて、大きなベッドを買わなければいけないのではないだろうか?
ドルチェも居る事だし無理をするつもりは無いが、攻略のペースは上げていこう。
顔を洗って服を着ていると午前1の鐘が鳴ったので、ドルチェと一緒に食堂へと向かう。歩き辛そうにしているので腕に掴まらせた。
食堂に入るとちょうどエミリーが厨房から料理を運んできた。
ゼイルさんも凄いがエミリーもプロだと感心。
俺にしがみ付いているドルチェを見てゼイルさんが何か言いたそうな顔をしていたが、結局何も言わずに食事を終えて厨房へと戻って行った。
ターニアさんは複雑な顔で俺達を見ているが、マーサさんはニコニコしながらドルチェの頭を撫でている。
まるで娘のライバルと言うより、自分の娘の1人と思ってるような扱いだ。
食事を終えたターニアさんとマーサさんがそれぞれの仕事に戻って行き3人だけになると、ドルチェが恥ずかしそうにエミリーに話し掛ける。
「エミリー……昨日はありがとう。今日は……エミリーの番。いっぱいシュンにぃに……甘えて」
「ドルチェちゃんありがとうです~! では、2人でシュンさんに甘えまくっちゃいましょうね~」
楽しそうに今夜の事を相談し合う2人。どうやら俺には聞いてくれないらしい。
それにしても修羅場になったりする事も無く仲良くしてくれるみたいなのでホッとした。
ヘタをしたら俺は嫉妬に狂ったどちらかに刺されて死んでいたかもしれない……。
今は2人だけだが、今後PTメンバーが増えていっても上手くやっていけるのか今から不安だ。
「シュンさん、どうしたんですか~? そんな難しい顔して~」
「えっちな気分になったのなら……部屋に戻って……する?」
「え~、ずるいですよ~! あたしはこれから忙しくなるのに~」
「夜は譲る……でもそれ以外は……知らない」
思わずテーブルに突っ伏してしまう。何だか深く考えるのがバカらしくなってしまった。
客がどんどん食堂に集まってきたので、俺とドルチェは部屋に戻る事にした。
部屋に戻ったらドルチェにベッドに押し倒された。
流石ドワーフ、凄い力だ。
下はまだ少し痛むとの事なので、上の口に食べられてしまった。
「いらっしゃ……あ! お兄ちゃんだ~!」
服屋に入ると、すぐにクゥちゃんが元気に声を掛けてくる。
店の奥からはお母さんのマリアさんもやってきた。
「いらっしゃいませ。また来て下さったのですね」
「ちょっと旅に出る事になったので、俺とこの子の服を買いに来ました」
「えー? お兄ちゃん旅に出るの? もう戻ってこないの?」
俺の服にしがみ付いて涙目のクゥちゃん。
抱き上げて事情を説明してあげると、やっと安心したのか首に抱き付いてきた。
お土産を買ってきてあげると言ったら大はしゃぎ。
「シュンにぃ……流石にその子は……早すぎる」
「いやいや、ドルチェが考えてるような事じゃないから!」
子供にしか見えないドルチェを抱いた俺が言っても説得力が無いかもしれないが、ここはハッキリと否定しておく。
からかってくるドルチェやまとわり付いてくるクゥちゃんをいなしながら上着とズボン、それに下着を購入。
どんどんお金が減っていくが今は辛抱の時だ。
クゥちゃんに見送られて店を後にする。
わざわざ外まで付いてきて手をブンブン振ってくれた。天使だ。
「次は露店通りかな?」
「……向こうに行ってからでも……買えるから……買いすぎないように……注意」
この世界の事はドルチェの方がずっと詳しいだろうから、彼女に勧められた物だけを最小限購入。
ドルチェの言う通り必要だったらオルトス国で買えば良いだけだ。
思ったよりも早く買い物が無事に終わったので、予定より早いが迷宮に行く事にした。
「今日も頑張って探索するぞ~!」
「お~……。でも……ぼくは本調子じゃないから……シュンにぃ任せた」
「……はい」
どうやら『HP回復速度UP』で身体は治っても違和感までは消せないらしい。
もしかして、処女膜まで再生されたりするのだろうか?
ここはひとつ今夜にでもしっかりと確認させて貰おう。
俺の視線にドルチェがブルッと震えた。
読んでくださりありがとうございました。
どんどん主人公が自重しなくなっていく……。




