落ちた所はオーガの村でした。
「あ〜落ちる〜(棒読み)」
エースは絶賛落下中。しかも錐揉みで落下中。しかも彼は棒読みで余裕たっぷりに。
「取り敢えず、モード 朱雀。」
バッと体を大の字に開くと皮膚が裂け、赤い羽に変わっていた。その間はコンマ五秒。背中には神々しく、見るものを萎縮させるほどの雄々しい羽があった。
「取り敢えずは飛べるな。」
いかんせん、錐揉みであった体はピタリと回るのを止め、速度はこのまま錐揉み無しで飛んでいた。
「さて、いよいよ着地っと」
逆さまだった体を縦反転し、翼を使ってバッサとゆっくり翼を動かし、ゆっくりと着地した。それは良かった。然し後が大変だった。
「貴様何者だ!!」
見るからにエースの二倍はある身長。そして巨大な戦槌。そして極めつけは頭の上にある二本の角。オーガだ
「ん、あぁ。わり。まだこの姿だったな」
エースは翼を戻し、羽の生えた体を戻す。コンマ五秒で
「なっ、人間…なのか?」
「ちょっと。ね。曰く付きなんでな。」
「ちょっとどころでは無いと思うが…」
「ところで、あんた、名は?」
「オルガノだ。…お前は」
「エース。まぁ、ホントは英介なんだ。俺としちゃ、英介で呼んでもらいたいんだが。」
「英介?変わってる名だ。まあ敵意が無いと分かったんだ。村に来るか。」
「いいのか?」
「うちらのところでは村人をもてなすのが伝統なんだ。」
「へぇ。なんか想像してたんと違う。」
「何と想像してたんだ?」
呆れたような顔だ。
「村人を食うような感じ。」
「まぁそういう所もあるが此処は違う」
「あるんかい」
こんなトークをしながらオルガノの村へ向かう。
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「いやはや、まさか村の長の娘さんが病床とはね。」
付いた村で、村の長の娘さんこと白亜が病気と聞く。何でも、風疹の様なものだとか。然も薬草が無いとかで困って良いとこ。ホントは大わらわであった。
「困った事じゃ。」
頭を捻ってウンウン唸る村長さんは困り果ててた。可哀想だし助けますか。
「なら、この薬を飲ませてやってくれ。」
「誠か!?これは忝ない。恩に着る」
「いいっていいって。一宿一飯を仇で返すほど、腐ってねぇよ。それより、白亜さんを助けんのが最優先でしょ。」
「ん、あぁ。そ、そうじゃったな。」
こうして、彼女の元へ向かった。
「…美しいというより、可愛いの方だな。」
「口に出てるぞ。お主。」
「え!?わり!村長さん。」
「まあ儂の娘じゃからな。嬉しいぞよ。」
「はぁ…。」
白亜は、誰が見ても可愛いと言うだろう。そこまでなのだ。白く、ストレートな髪は布団にまで入っている血が通ってるのか疑わしい程の白く、透き通った肌。
頬を仄かに上気させ、洗い息づかいは、特殊な性癖を持つ人にはたまらんであろう程の可愛さである。
薬を飲ませた後、忠告をしとく。
「薬は飲ませた後、ホンの少しだけの時間、仮死状態になる。直ぐ元に戻る。」
「そうか。いやはや、英介殿にはお礼では足りぬ程の事をしてもらった。忝ない。」
「いいっていいって。その分、料理には期待してるよ。」
「任しておけ!!オーガ一族、全身全霊をかけ、英介殿の舌を唸らせる物を作るぞよ!!」
「楽しみにしてるよ。」
その料理に胸を躍らせながら待つことにした。
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英介や作者は決してロリータじゃありませんよ。然しここのオーガは人当たりが良いですね。(^_^)