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第2話

 勉強をやらせれば満点を取り、スポーツをやらせれば誰よりも強く美しくあり、ピアノや絵画など芸術分野でも輝かしい功績を持ち、一度人前に立てば有名政治家顔負けの堂々たる演説を披露する。


 容姿端麗、眉目秀麗、品行方正、才色兼備。欠点と言う欠点がまるでなく、そして妬みや僻みすら感じること事態馬鹿馬鹿しくなってしまうほどの高いスペック。


 神北志織を知った者は、これこそ正しく天才であると感じる事になるだろう。


 元より生まれ持った才能もあるが、彼女の最も秀でている点を上げるとすれば、要領の良さであろう。本質を見抜き、力の入れ所を誤らない。あらゆる分野において、のみこみの速さとは覆しようのない才能になる。


 その点に関して、彼女という存在は周囲の少年少女と一線を画していた。

しかし彼女は、高みは目指すけれども、極めるということはしなかった。勉強でありスポーツであり音楽であり、決して一つに熱中するということがなく、そしてある時期を過ぎるとぱたりと止めてしまった。


 ここだけ聞くとただの飽き性であると捉えられがちだが、彼女の心境はそれとは全く異なっている。彼女にとって見れば、ありとあらゆる経験は自己を向上させる手段でしかなく、その道を極めるつもりは微塵もない。言うなればただの踏み台であり、あらゆる分野に手を出し、ノウハウを会得し、それを引き継いでまた別の分野に手を出す。


 研鑽を怠らないこと。常に高みを目指し、成長し続ける。そのたゆまぬ向上心が彼女という天才を作り上げ、そして周囲も魅了されていった。


 ではそうまでして自己の向上に努めて何か目指すものがあるのか? 多くの友人からの問いに対して、志織の返事はいつも決まっていた。


『目指すものが出来たときのために、今出来る最良の事をやっているの』


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