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異界の君を探す旅  作者: 御城こんぺい
最果ての王国・オーチャード 編
8/9

第八話 狩人

注・本作は、残酷な描写が含まれています。

15才以下の方は閲覧を控えることを推奨します。

~記憶世界~

俺はふと気が付くと、あの記憶領域にいた。俺の記憶の領域にいる、

クララと名乗る謎の魂?もやはりいた。


クララ「…やあ。また来たみたいだね、レンド君…随分と久しぶりじゃないか。あれから8か月も来なかったんだね。まあ、私とってはほんの数十分経ったようにしか感じないのだが…まあいい。」

レンド「あれっ…俺…何して…」

クララ「君は、あのエルシードとかいう教頭に転移魔術で…どこかの森に転移したみたいだね。」

レンド「何だって!?危ないじゃないか!」

クララ「まぁまぁ、落ち着け。この記憶領域内なら時間は気にしなくていい。

モンスターが来る前には話し終えるよ。」

レンド「…そうか…!そうだ!俺あんたに聞きてえことがあったんだ!」

クララ「ああ、私が魂とはどういうことかっていう質問かい?そうだな…」



クララ「私の魂は、迷い魂といって、生前、何かしらの条件を満たすことでこうなるらしいんだ。

ただの魂は存在するだけだが、迷い魂は人間に干渉することができる魂で、生命と対話できたり、了承を得ればその生命に憑依することもできるんだ。」

レンド「じゃあ、なんで俺を相手に選んだんだ?」

クララ「そりゃあ…まあ、君が異世界人であるって知って…興味があって…ね?」

レンド「じゃああんたはどれくらい前に死んだんだ?」

クララ「おっと、随分とド直球に聞いてくるね…あっはっは…そうだな…」

ここでいきなり言葉が重くなり、クララの目には涙が浮かんでいた。

とても辛そうな表情をしている。よほど苦しい死に方だったのだろうか。

レンド「ごめん、つい気になったから聞いてみたんだが…辛いならやめる。」

クララ「…あぁ。すまない。そうしてくれると助かる…」

レンド「…色々教えてくれてありがとうな。」

クララ「おっと。そろそろ目覚めるかな?」

レンド「ああ。」

クララ「そうか、また来たくなったら来ていいよ。いつでも話し相手になってあげる。」

レンド「またな。」

クララ「あ…待て。今回の最後の質問だ。」

レンド「何だ?」

クララ「君が、この世界を生き抜く決意をした理由は何だ?今考えてくれ。

すぐに答えを出すんだ。」

レンド「そりゃあ…もちろん…」

俺は一瞬なんて言おうか戸惑った。この世界を生き抜く意義…?何だろう?

…!そうだ。俺は…


「この…非現実的な物語の…【主人公】を、演じてみたいから…かな?」


クララ「フッ…そうか。君らしい考えだ。それを聞けて良かったよ。いつか…たどり着けるといいな。"君の思い描いたシナリオの結末"に。」

レンド「頑張ってみせるよ。」

クララ「また、いつでも来てくれ。」

レンド「ああ。そうさせてもらうよ。」




???「レ…君…レ…ド君…レンド君…!」

レンド「うっ…うーん…なんだ…」

誰かの声がする。

俺が目を開けると、自分の杖を持ったヘルンさんが心配そうな顔で見つめていた。

ヘルン「あ…やっと起きた…」

レンド「あれ…ヘルンさん…ここどこ…?」

ヘルン「…分からない…でも…森の中みたい…」

レンド「他のみんなは…?」

ヘルン「…みんな各地に…散らばっちゃったみたい…だね…でも、

私たちのほかにもう二人も一緒に転移してきたんだよ。」

そうだ…確か教頭先生は4人1組で飛ばすとか言ってたよな…

レンド「その子たちは…?」

ヘルン「…そこの河原にいるよ…ねぇ…!レンド君起きたよ…!」

???「おっ!起きたか?」

???「もう…あんたはしゃぎ過ぎ…」

二人ともどこで手に入れたのか、一人は両手斧、もう一人は短弓を持っている。

ルオール「俺はルオール・オスロット。これからよろしくっ!レンド君!」

ニーナ「私はニーナ・ラルセルクだ。ニーナでいい。」

レンド「二人ともよろしく。」

ヘルン「あっ…じゃあ…この際だしさ…みんな名前で…呼ぶようにしようよ…」

ルオール「それはいい案だね!いいよ!」

レンド「俺もいいよ。」

ニーナ「私も別にいいよ。…まあそれはいいけどな…これからどうするんだ?」

レンド「まずはこの森から出たほうがいいな。早くしないと暗くなるし…」

「グオオオオオオォォ…」

?なんだ?

ドシン ドシン

大きな足音がする。

ニーナ「三人とも気をつけろ。来るぞ!」

「グオオオオオ!」

声とともに、巨大な大蛇が襲い掛かる。

クソ…俺は何も武器を持っていない…魔法で戦うしかない…

ニーナ「ここはわたしに任せ…」

ルオール「オラァ!」

ルオールが斧を持って飛び出す。

ニーナ「馬鹿!行くな!」

レンド「壁礫(ウォール)!」

ルオール「うおっ!?」

やった。何とかルオールとモンスターとの間に壁を作れた。

ニーナ「ルオール!馬鹿野郎!一歩間違えたら死んでたぞ!」

ルオール「ごめんって…レンドすまない…ありがとう。」

ヘルン「来てるよ…!目を奪う…水砲(アクアブレッド)!」

「オオオオオオオオオ…」

水の弾丸が、大蛇の左目にヒットする。

よし…あとは右目をつぶせば簡単だ…

ニーナ「私に任せろ!おりゃああああ!」

強く引き絞り、放たれた強靭な矢が、右目にヒットする。

「ギャオオオオオオオオオ!」

ニーナ「今だ!ルオール!」

ルオール「俺が決めてやるぜええええええぇぇぇぇぇぇぇ!剣じゃねえけど!

剣術二式・クロスブレイクゥゥ!」

両斧が大蛇の脳天をX字に切り裂く。

ドゴーン!

この世界には剣術もあるのか…

未発見モンスターを討伐した。

レンド「解視」


名前:レッドスネーク D級

種族:魔獣


ルオール「よっしゃあ!やったぜえええ!」

レンド「レッドスネークっていうモンスターなのか…」

ニーナ「!お前、魔術を使えるのか!?」

レンド「ん…まあこれだけだけどね。」

ルオール「いやあ…いいコンビネーションだったな!俺たち!」

レンド「確かに…初めての戦闘にしては良かったよね。」

ヘルン「あっ…三人とも…町が…見えたよ…」

ルオール「本当か!今すぐ行く!」

ルオールは駆け寄っていく。ニーナとともに後に続く。

草むらの道をたどっていくと、街並みが見えてきた。

レンド「ここ…どこなんだろうな…」

ニーナ「レンド。町で聞き込みをしてみよう。フェロニア王国を知っている人がいるかもしれない。」

レンド「そうだな。」

ちなみに、俺たちの出身国は、フェロニア王国という名前らしい。



~10分後~

レンド「なるほど…すみません!ありがとうございました!」

ニーナ「どうだった?」

レンド「どうやらこの町は、烈火の町・ヴォルフと呼ばれているらしいな。」

ヘルン「…烈火の町…聞いたこと無いね…」

ルオール「やっぱ結構遠くまで来たみてぇだな!」

レンド「みんな。ここからは手分けして聞き込みをしよう。

また一時間後に、この英雄像のもとに来てくれ。」


~1時間後~

ルオール「おい…ウソだろ?なんで誰からもフェロニア王国の情報が出てこないんだよ…」

ニーナ「これは本当に大変かもな…」

レンド「それはどういうことだ?」

ニーナ「あの魔族達が侵攻を開始したということは、いずれ私たちのいるこの町も…」

ヘレン「攻めてくる…ってこと…?」

ニーナ「ああ。それも、ほとんどそこら辺にいるやつじゃなくて、未確認モンスターだらけだったからな。」

レンド「そうか…」


おそらく、いずれ旅を続けていれば、あのとてつもない魔力をもつ魔族達と衝突することになる。

ニーナはそのことを気にしているのだろう。


レンド「よし。みんな。装備を買おう。」

ルオール「すまないレンド…俺…金は持ってきてねえんだ…」

ヘレン「私も…」

ニーナ「私も持ってきてないな。ううむ…あまり食べたくはないが、あのレッドスネークで我慢するしかないな…」

レンド「実は俺、3000カム持ってるんだ。」

ルオール「何!?随分と持ってるんだな!」

ニーナ「おい、ルオール落ち着け。レンド、お前の武器を買おう。1000カムまで武器代に使え。」

レンド「ありがとう。」

ニーナ「そうだな…近接アタッカーがルオールだけだと心配だからな…剣と盾を買ってくれ。」

ヘルン「私たちは…先にご飯買いに行こう…」

ニーナ「じゃあレンド、終わったらルオールがこの英雄像前に立っているから一緒に来てくれ。」

ルオール「えっ!俺立たせられるのかよ…」


俺は三人とは別れ、屋根下の武器屋トロートに足を運んだ。

レンド「こんにちはー」

古びた感じの、年季の入った店内だ。

店主「よお。お前さん、見ない顔だな。」

レンド「ああ。旅の者でね。」

店主「はっはっは!そうか。俺の息子ぐらいの歳なのにすごいな。

学校には通っているのか?ちょうどそのくらいの歳だろう?」

こういう時って…なんて答えればいいのだろう。正直にでもいいのか?

ニーナに聞いておけばよかった。

レンド「えっと…」

店主「はっはっ。いいよ。俺だって学びたくない時もあるもんなあ。」

店主さんが誤解ではあるが一応納得してくれたので、

レンド「剣と…盾買いたいんだけど…1000カム以内で。」

店主「…それなら、ちょうどいま売れ残っている剣と盾があるんだ。お前さん、いい目をしている。いつか立派な冒険者になるって思ってる。だからアレを売ってやろう。」

そういって、店主さんは店の奥に行った。


しばらくして戻ってきた。

レンド「おおおおおすげえ!」

目の前には、刀身が緑がかった大地を思わせるようなデザインの両刃剣と、

模様装飾以外全て銀色の丸盾が置かれていた。

店主「売れ残っている物の中で一番強そうなやつを持ってきたぞ。」

レンド「ありがとう!それで…値段は?」

店主「二つとも、300カムだ。」

レンド「よし!買った!」

店主「お前さんも、これを使って冒険して、この武器屋トロートの名を世間に広めてくれよな。」

レンド「ああ!ありがとう!」

俺が店を出ようとしたその時だった。

店主「あ、伝え忘れていたが、その武器は固有スキルがある武器だ。」

レンド「…固有スキル?」


固有スキル。それは、この世界においてその武器を持っている状態のみ使える特別な特性のこと。

武器ランクの低い武器にはついていないが、武器ランクが高くなればなるほど

強い固有スキルが使える武器になる。


そういえば思い出したが、マートンさんのステータスを見たときも、固有スキルがあった。

人間にもスキルがあるのだろうか…?


店主「そいつ…『麗流(れいりゅう)の剣』の固有スキルは、【大地に足が触れていると徐々に魔力回復をする】というものだ。」

レンド「へぇーすげえな!ありがとう!」

店主「まいど。頑張って来いよー!」


俺は3人のもとへ戻ることにした。


確か…ルオールが英雄像の前で待ってるって言ってたよな?

「おーい」

レンド「おっ」

ルオール「おいおいレンド。随分悩んでたみたいだな。

それで、いい武器は見つかったか?」

俺は後ろを向いて、背負っている剣と盾を見せた。

レンド「ああ。これだよ」

ルオール「おお!カッコイイな!強そうだし、一緒に頑張ろうな!」

レンド「そうだな」


「キャアア!誰かアアア!」


急にどこからか声が聞こえだす。

レンド「誰だ?」

ルオール「向こうの方だ。早くいくぞ!」

レンド「ああ。」

はーいというわけで、新編オーチャード王国編開始記念として…

人物紹介編が制作決定となりました!

一編に出てきたあのキャラや、このキャラの細やかな設定…特徴を知れるので、

ぜひ、本編と合わせて読んでみてください!


それじゃあ、次回もよろしくなッ!

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