第七話 今際
注・本作は、残酷な描写が含まれています。
15才以下の方は閲覧を控えることを推奨します。
【~第七話より以下の文体の変更があるのでご確認ください。~】
・第七話より、登場人物の会話文の左に人物の名前が表示されます。
例: レンド「今のはなんだ?」
・また、一人ではなく、複数人を表現する場合については
生徒「」もしくは、名前を表示しない場合がございますのでお気を付けください。
「うあああぁぁぁ」
「お父さん…お母さん…」
「誰かぁぁぁ助けてええ!」
「クソッ…何なんだあの鳥は…」
「強すぎる…」
「足が…足が…」
バサッバサッ
???「ヒュゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
村人「イヤァァァァァ!やめて!殺さないでぇぇぇ!」
「イオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
おぞましい声。大きな翼で飛び回る巨鳥。村人に襲い掛かる。
村人「キャァァァァ」
「火矢!!」
どこからともなく大量の火矢が巨鳥の横腹や横頬に刺さる。
と同時に、馬に乗った騎士が鳥に斬りかかる。
騎士「剣術一式、グリッドスピナ!」
グリッドスピナは、相手に対し格子状の傷を与える中級剣術。
「ギャオオオオオオォォォ!」
巨鳥はその者に襲い掛かる。
???「剣術一式、ミラーセイド!」
ミラーセイドは、受けた攻撃を無力化し、相手に2倍にして跳ね返す超級剣術。
「グォオオオオオオォォォ!」
???「効能魔術、アップスピード・アップジャンプ」
効能魔術は、使用者の能力を引き上げる魔術。魔力量によっては禁術となりえる強技。
彼は一瞬にも満たない動きで巨鳥を斬り刻む。
???「剣術一式、スピニングスラァァァッシュ!」
スピニングスラッシュは、回転しながら縦に勢いよく切り裂く中級剣術。
???「これで終わりだ。」
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
巨鳥は体を真っ二つに寸断され、息絶えた。
???「解視」
未確認モンスター 「怪鳥ファルシオン・分裂体」
種族:鳥 魔力:300
???「やはりか。このかなりの魔力量…すぐにやらなければ死んでいたな…分裂体だと…?」
村人「あっ…あの…」
???「おっと!大丈夫でしたか?」
村人「あ、あの…ありがとうございました!」
???「いえいえ…とんでもない。私も騎士である身ですから。」
騎士「団長ー!」
そこに、約60騎の一団が現れる。
???「おおっ、二・三・四班、無事だったか。もう担当区内は片づけたようだな。
皆!今からこの村の人たち全員を連れて、魔法学院に向かう!
第二班は先に魔法学院ベネドフ校へ向かえ。
第三班は私とともに村人の救助、
第四班は周辺の村の行方不明者を捜索してくれ。」
第二班長「団長。例のアレはいかがいたしますか?」
???「そうだな…では第一班班長、レイヴェン・マクベリスに届けてくれ。
彼ならこれを使いこなせるだろう。」
第二班長「確かに。彼なら適任ですね。」
第二班長「では、第二班、魔法学院へ向かいます。」
???「了解だ。道中気をつけてな。」
第二班…別名、クレア班。冷徹の戦士と呼ばれている【クレア・ルーンロッド】班長率いる
21騎の軍団は、魔法学院へ動き出した。
第三班…別名、ルシアス班。鉄壁の護者と呼ばれている【ルシアス・エイオン】班長率いる
等数騎の軍団は、村人の救助へ動き出した。
第四班…別名、レヴォル班。戦慄の賢者と呼ばれている【レヴォル・デュロー】班長率いる
等数騎の軍団は、隣村の村人の捜索へ動き出した。
???「ふぅ…さて、私もここを片づけたら向かおうかな……
あいつは…大丈夫だろうか…」
その少し前…魔法学院では…
ー生徒会室内ー
生徒会員「あああっ!会長!まずいです!魔法結界がまだ張り切れていない南の方角から…
とんでもない魔力を持っているモンスターが複数襲来してきます!推定総魔力量…3000以上!」
会長「くっ…裏をかかれたか…総員!今すぐ簡易防御魔法を…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「うわぁぁ!」
激しい揺れで、生徒たちが床に転がり、壁に叩きつけられる。
ヘルン「レンド…君…」
やべぇ…とうとうやばいことになってきやがった…
その時、ヘルンさんの真下に亀裂が入った。
ヘルン「キャッ」
ガシッ
レンド「よっと!」
俺は何とかヘルンさんを引き上げた。
レンド「もっとこっち来て。」
いきなりなんだ?何がぶつかったんだ?
レンド「…!ヘルンさん!ケガしてる…」
ヘルン「うっ…さっき叩きつけられられたときに…」
俺は昔、体術を少し習っていたことがある。その時に受け身の取り方は覚えたのでケガをすることはなかったが、ヘルンさんやほかのみんなは出来なかったみたいだ…
受け身って意外と使えるものだな…
ヘルン「…!ごめん…ありがとう…多分…今正門前の魔法結界では…すでに戦闘状態のはずだよ…」
戦闘状態だと…?父さんはどうしたんだ…?
生徒会員「ダメです!会長!簡易防御魔法では防ぎきれません!このままだと校舎が崩壊します!」
会長「諦めるな!もう少しで護衛騎士団の本隊が到着するはずだ!それまで耐えろ!」
生徒会員「そんな…会長の魔力だって魔法結界の分から回復しきれてないのに…」
どうしたら…どうしたらこの災厄を止められる…?もう壁は崩れそうだというのに…
…?壁が崩れそう?……!そうか!
会長「そうだ!土属性魔法を使える生徒を高等部からできる限り集めろ!すぐにだ!」
生徒会員「…了解です!」
会長「…さて…集まるのに時間を稼ぐ必要があるな…」
ー魔法学院南壁~魔法結界最前線~ー
会長「現在の状況はどうなっている?」
生徒「あっ…会長!最前線では危ないですよ…?」
会長「いや、皆を率いるものとして、ここまでの覚悟は必要なことだ。
私も最後まで足掻こうじゃないか。」
生徒「会長!?」
フッ…
会長「効能魔術…ダウンパワー!」
エレシアは目の前の敵全員に効能魔術をかけた。これにより、全員が弱体化したこととなる。
会長「…こ…れで…少しは…時間を稼げ…るはず…だ…」
生徒「会長!そんな魔力消費を行えば…死にますよ!?」
会長「もう…私に…魔力は…ない…だが…すぐ…に回復…できる…安心しろ…死なない…」
生徒「…!攻撃が格段に弱くなりました!」
会長「そうか…よかった…」
バタッ
生徒「あー!会長魔力切れだ!誰か保健室運べ……?」
ムクッ
生徒「かっ、会長!魔力切れのはずじゃ…?」
当たりに不穏な空気が流れだす。
会長?「…ア…」
生徒「どうされました!?」
ザクッ
生徒「グハッ…」
ドサッ
生徒「会長!?何をしてるんですか!?」
生徒「キャアアアアアア」
生徒「全員!会長から離れろ!…土魔法レベル3、地縛!」
とっさに生徒の一人がエレシアを拘束しようと、魔法を使う。
大量のつるが地面から出現し、エレシアを縛り、拘束した。
ググググググ…
生徒「何なん…だ…?この力は…?抵抗する力は魔力切れでもう無いはず…」
その時…
会長?「…聞ケ…愚かっかっカカカ…にげ…ナニっニっぃぃいいン間どもおおおおお…うグッ
…ぜ…ん…い…んここから離れ…ろおおおおおおぉぉぉぉぉ!…あや…つらあああああぁぁぁぁ…れぇぇぇるぅぅう…まっまっまっええええにぃぃぃいいいい!…」
生徒「クソッ…何なんだ…?」
副会長「総員!防御魔法を続けろ!これは半傀儡化状態による脅しにすぎない!
あまりの者は私に加勢しろ!」
会長?「もう…意思を…こんと…ろーおおおおおおお!る…できな…い…から…うっ…うッひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
大絶叫は学院中に鳴り響いた。
レンド「何だ!?今の声は?」
ヘルン「…この声の感じ…生徒会長…に似てる…?」
レンド「まさか…あの生徒会長があの素っ頓狂な声を出すとは思えないけど…」
その時、学院の警報が鳴り響いた。
アナウンス「全員!退避命令!退避命令!退避命令!学院から今すぐ脱出してください!退避命令!退避命令!」
レンド「脱出ってったって…どうやって脱出するんだよ…」
教頭「生徒諸君!こちらへ付いてきたまえ!」
教頭先生についていくと、階段にやってきた。
「%$(&$#%'%#"&%'$%$#%$+>*%$`+}*#$+}#}*$#*$}#」
教頭先生が何かを唱えると、白い壁だった階段裏に、あるはずのないドアが現れた。
教頭「さあ。みんな入って、奥に進むんだ…4人一組で、遠い地にランダムに飛ばす…」
生徒「先生は…どうされるのですか?」
教頭「誰か先生が一人ついていた方が良いのだが…あいにくどの先生も手一杯でな…すでに行方不明となった先生もいる…あとから中等部のみんなも飛ばすから…協力しあって、生きてくれ…基本的な魔法は全て教えたはずだ…」
生徒「わかりました。」
生徒「先生、また会いましょうね!」
教頭「じゃあ…いくよ…」
先生が俺たちの肩に手を置いた瞬間、魔法陣が輝きだす。
教頭「みんな…また会おう…」
その時…俺は消えていく目の前の情景の中で、先生の後ろにあるドアが少し開いているのが見えた。
そして…その隙間には…
黒く、長い爪の生えた巨大な手がのぞかせていた。
今日の、魔術図鑑!
今日はコレ!「~効能魔術~」
みんなは、日常で「あ~こいつみてぇに速く走れるようになりてぇ~」
とか、「あ~こいつより喧嘩強くなりてぇ~」って後者は不良の考えることだな…
まあそんなこと…思ったことあったりしないか?
そういう時はコレ。効能魔術。
世界において対象の攻撃力や、ジャンプ力、スピードといった概念を、いじることができる魔術だ!
効能魔術は生命体だけでなく、物にもかけることができるぞ!
これで戦闘もばっちりだな!
それじゃあ、また次回もよろしくなッ!