第二話 門出
注・本作は、残酷な表現が含まれています。15才以下の方は閲覧を控えることを推奨します
生々しい事故があった俺。ふと目が覚める。
(あれっ…真っ暗だ…)
体を動かしてみる。気持ちいい。
これが天国なのかな…
そう思ったが、どうやら体は布のようなものにくるまれているみたいだ。
声を出してみる。
「ア…」
声は出せるな。
俺はまだ生きているらしい。
「レンドー」
「レンドー起きてるか?」
「今日から学校だぞ」
誰かの声がする。レンドって名前か?
そんな名前の人聞いたこと無いぞ。
「開けるぞ」
俺はくるまっていた毛布を脱いで起きた。
「おっ、おはようレンド。」
…?誰だこのおじさんは?赤い髪だ。
漫画の中でしか見たことがないような、綺麗な赤髪に、ケープを羽織っている。
RPGゲームの冒険者のような姿だ。
優しい声だ。父さんより身なりはカッコイイ。20代~30代ほどだろうか。
「さあ、今日からベネドフ魔法学院だぞ。たくさん友達ができるといいな。」
ふと気がついた。俺の体は縮んでいる。この手の大きさからすると、多分小学校高学年くらいか?
「魔法学…院?」
「そうだ。何寝ぼけてる。さっさとご飯食べろ。」
「うああああ…おいしそう…」
すごくおいしそうなパンだ。嗅覚はある。味覚もある。やっぱり生きている。
俺は、食事中に色々考えた。
この世界は、おそらく自分の世界とは別の世界だ。いわゆる、異世界。
なぜそういえるかというと、窓からみた外が明らかに地球じゃない。
現実世界ではない、ということがわかる。
そして、俺はこの世界に異世界転生を果たした。
漫画の中だけだと思ってた…まさか本当にこうなるとは。
さっき俺を起こしに来たおじさんは、おそらく俺の新しい父…ということになる。
「おっそういえばお前のステータスってまだ見たこと無かったな。」
「マートン」とおそらく俺の新しい母…ローティさんが呼んでいた。
名前で呼び合うほど、仲がいいんだな…
「ちょっと待ってろ」
「解視」
その瞬間、俺の目に情報が飛び込んでくる。
「ほら、これで見えるはずだ。」
そこに情報が表示される。
属性:?
攻撃力:3 防御力:2 魔力:15
習得魔法:なし
「ほう…魔力は少々あるようだな。学院でしっかり勉強するのだぞ。レンド。」
そういってマートンさんは頭をなでてくれた。
まさしくゲームようなステータス画面だ。
おそらく彼が使ったビジョンとかいうやつも魔法だろう。
しかし、まだ未熟…ということは、その学院とやらに行って勉強するらしい。
はぁ…また勉強か。
あんなに楽しみにしていた高校生活。それをあの事故で全て失った。
俺だって…ぐすん…彼女作りたかった…
「さて、そろそろ学院へ出発するぞ。ここにあまり長居しては遅刻する。」
「あ、はい!」
「馬車に乗れ」
うおおっ本物の馬だ。馬車だ。
「さ、行こうか」
ピシッ ガラガラガラ
馬車が走り始めた。
そこで、俺は気になっていた質問をしてみた。
「あの…と、父さんは何の仕事をされているのでしたっけ?」
「ん?お前、そんな口調だったっけ?っていうかお前、私の仕事を忘れたのか?」
「ア…いや…ちょっと忘れちゃって…」
「…まったく、そんなことでは魔法さえ覚えられないぞ。私は『護衛騎士団長』マートン・フレーンだ。」
へぇ…この人団長なんだ…どおりで強そうなわけだ。
「護衛騎士団長と、しっかり覚えておけよ。」
「は、はい…」
しばらく森を走ると、目の前にいきなり謎のモンスターが飛び出してきた。
「くっ…やはり最近の森は危険だな…レンド、お前は馬車に隠れていろ。」
「あ、あれは、何なんですか?」
「最近この森で、オークが大量発生しているという噂があってな、どうやら本当だったようだ。
ちょうどいい機会だ。お前も本物の戦いを見ていろ。」
次の瞬間、マートンさんは、オークに向かって走り出す。
「炎魔法レベル3、|火矢(フレイムアロー)」
すると突然、マートンさんの背後に赤い火で形成された6本の矢が出現し、打ち出された。
次々に火矢がオーガに刺さる。
「アアアァァァァァ!」
強烈な叫び声が森中に響き渡る。
「炎魔法レベル2、|渦火(ヴォルファイア)!」
あたりが火炎で巻かれる。
「これでとどめだ」
当たりが炎で焼け焦げた。オークはピクリともしない。
「これが魔法だ。私の属性は炎だから、炎魔法が使える。…解視」
属性:炎 剣士 固有スキル:先眼
攻撃力:32 防御力:48 魔力:85
習得魔法:炎魔法
「これが私のステータスだ」
ガラガラ…
「よし、着いたぞ」
「あ、あの…ありがとうございました」
「ああ。気をつけろよ。」
「はい」
「あ、その前に、これを。」
そういってマートンさんは3000カム(この世界のお金の単位)を渡してきた。
「途中で何か買っていきなさい」
「ありがとうございます!いってきます。」
俺はマートンさんが見えなくなるまで手を振り続けた。
目の前には巨大な城のような校舎が立っている。
俺は、門の内側へと、足を踏み入れた。
今日の、魔術図鑑!
今日はコレ!「解視!」
いちばん最初に俺が見た魔術だ!
魔術の中でも上位の魔術であり、相手のどんな情報でも見れるというちょっと恐ろしい魔術だ!
マートンさんは俺のステータスを見るのに使っていたが、使う魔力はその相手が持っている魔力に比例するらしいぞ!魔力をたくさん持っている相手ほど魔力消費が多く、中でも高ランク魔族なんかには使えないことも多いらしいぜ!ちなみに俺のステータスを見るのに使った魔力は1だけらしいな…なんか…ちょっと悔しいけど…
それじゃあ、次回もよろしくなッ!