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第13話  微妙な俺、微妙な能力、微妙な魔法

100ポイント到達しました。ありがとうございます。

 迫る剛腕はまさに暴力の塊だ。

 それに面と向かって相対するつもりは微塵もない。――もしも馬鹿正直に相対していたら、次の瞬間には俺の腕が微塵に砕けていることだろう。

 ならば、次にとるべき行動はその攻撃を上手く避けることだ。

 俺は剣を持つ両手に力を込めた。右腕に持つ赤剣を順手に、左腕に持つ青剣を逆手に持つという今までの経験から編み出した独自の双剣の構えのまま、其の一撃を迎え撃つ。

 本来ならば片方で身を守り、残る片方で攻撃をするというのが俺においての双剣の扱い方なのだが、片腕だけでこの剛腕を防ぎきれる自信などこれっぽっちも存在しない――ンっていうか無理。

 故に、両の剣を共に守備へと向かわせる。剣同士を交差させ、バツの字を描くように構えた。

 後は、敵の攻撃を受け流すだけだ。

 相手の一撃にタイミングを合わせ、その側面へと力をぶつけることで相手の攻撃の方向を逸らさせる技。

 受け止めるのも無理、避けるのも無理と、無理の二文字だけが浮かび上がるこの状況を――俺の身体能力では対処できない攻撃を――やり過ごすにはこれ以上に相応しい技など存在しない。少なくとも、俺が持つ数少ない剣技においては。


「だぁっ!」


 掛け声と共に、双剣を放つ。これ以上ないというほどにドンピシャのタイミングで放った一撃は、迷うことなく相手の籠手へと向かい飛ぶ。

 ……問題は、あまりにも相手の攻撃が強大――いや、超大過ぎたことだ。

 拳に弾かれる。剣が、ではない。剣ごと腕が、でもない。剣ごと俺の身体全てが、だ。


「くぅぅっ!?」


 即座に空中で体勢を立て直し、辛うじてではあるが地に倒れ伏せることだけは逃れる。


「ったく、なんて一撃だよ……!」


 ぼやきながら、地に突き刺したままだった青い魔剣を引き抜いた。飛ばされる勢いを止めるのに使用したソレは、地面に一本線の大きな傷跡を残している。

 地面に刻まれた一本の長い線を見た俺は、改めて自分が受けた攻撃の威力を思い知る。これをもしも直に受けていたらと思うと……ゾッとするね。


 ――さて、これからどうする……?


 自分へ向けて問いを投げかける。この状況をどう打破するのか、その方法を。

 ……この状況はむしろ好転したといえるのかもしれない。飛ばされたということは、相手との距離が開いたということだ。そして、相手の動いている気配が無い今ならば!


 ――魔法、これを使えばあるいは……。


 ならば考えている暇はない。すぐさま準備へと移る。

 目を閉じ、己の内へ内へと思考を沈めていく。目指すは雑念を取り払った思考。魔法を生み出すことだけに特化した己の脳。

 至るまでは、僅かに一瞬。

 クリアになった思考の中で、想像に創造を重ねていく。


 ――完成だ。


 イメージした魔法は七つの火球。それも普通の火球ではない。思考に思考を重ねた、特別製の魔法だ。

 現に通常の物とは違う証拠として、ゴゴゴという音が大地を響き渡らせている。


 ――ゴゴゴ……?


 うっすらと、目を開ける。

 視界に飛び込んでくるのは、俺が生み出したものと同じく炎の姿だ。ただし、サイズが段違いではあるが。

 目の前の火球が岩とするのならば、俺の魔法はまさしく石――いや、砂粒程度の大きさでしかない。


 ゾクリ。


 体中を、悪寒が走り回る。アレは危険だ。あの火球に当たれば、俺の身は無事では済まない。俺の命は間違いなく奪われるだろう。

 絶対的なまでの、死をもたらす存在――。


 ――クソッ!


 内心で舌打ちをする。

 少しでも考えれば――いや、考えずとも分かるべきだった。戦闘中に目を瞑るなど隙だらけの行動でしかない。そして、その隙を相手が見逃してくれるわけがないのだ。

 それは、今の俺では戦闘中に満足に魔法すら扱えないということ。目を瞑らなければ魔法を創造できない現状をなんとかしなければいけないということ。

 今のところはそれで良くても、いずれ手詰まる可能性があるからだ。


 ――だが……。


 今は、そんなことを考えている余裕はない。何よりもまずは、目の前の死神をなんとかしなくてはならないからだ。

 俺だって、こんなところで死にたくはない。


「くっ!――ならば!!」


 俺の後ろでふわふわと浮いているであろう魔法を、全て起動させる。

 待機させていた七つの火球は、しかしその制限を解かれた今、その思考に思考を重ねた性能をぞんぶんに発揮してくれるはずだ。

 火球が俺の周囲を不規則に飛び交う。その速度は、起動させる前とは段違いだ。ヒュンヒュンと空を切る音を纏いながら飛び交う火球の姿に、俺は頼もしいと思った。


「――いけ!!」


 そして、火球は一斉に放たれる。敵へ向かって一直線に突き進んでいく。

 ……ジュッという音と共に、その全ては大火球に飲み込まれた。あれー?


「炎を『溶かす』って、どんだけー」


 ……もはや打つ手はない。試さずとも分かる。

 『炎を溶かす程の超々高熱』に対処できるような力など、俺は持ち得ているはずもない。


「……あーあ」


 ここまで来ると、もはや諦観の念しか生まれてこない。

 大地を揺るがしながら迫りくる炎は、もう目の前だ。


 ――残念。俺の冒険はここで終ってしまった。






「僕も魔法が使えるようになりたいなぁ……」

「えっ……?』


 テオがそう言いだしてきたのは、俺が治療を受けている最中のことだった。

 ちなみに、治療といっても怪我をしたわけではない。ミラが放った魔法の火球の恐ろしさに腰を抜かしてしまったため、それを治してもらっているのだ。

 今更ながらに思うが、アレは訓練なのだから相手側も手加減をするはずなのだ。少なくとも、ミラは俺を殺すはずがない。

 目の前で突如軌道を変え、その後に空中で爆ぜた火球を見て、俺はもっと早く気付くべきだったと思ったものだ。


 ――まあ、いいか。ミラの回復魔法、気持ちいいし。


 もはや今の俺には腰を抜かしたことに対する恥も外聞もない。治療を受けていることに対しても同様だ。コレを治してもらわないことには、碌に歩けもしないのだから。


「どうしたんだ、急に……?」


 うつ伏せの状態で地面に横になったままの姿で、テオに聞き返す。


「いや、兄ちゃん達の訓練を見てたら、僕も使えないかなぁって……」

「うーん、でも……」

「ねえ」


 魔法を扱うには、何よりも素質が必要だ。望んだら使えるというような易いものではない。渋る俺はそのことを伝えようとするが、その前にミラが声をかけてきた。その顔には、いかにも『いいことを思いついた』とでも言わんばかりの表情が浮かび上がっている。漫画的にいえば、頭の上でランプが光っている感じ。

 

「こういう時こそ、『開花』の出番なんじゃない?」

「!?その手があったか!!」


 ミラの提言に、図らずとも声が大きくなる。

 俺の持つ固有魔法、『開花』。――これならば、テオの中に眠っている素質を文字通り花開かせることが出来るだろう。

 ……ぶっちゃけると、俺自身もコレの存在をすっかり忘れていた。だって普段は使わないし。


「うん、あれならテオも魔法が使えるようになるかもしれない」

「本当!?」

「ああ。じゃあ、早速やってみるぞ?」

「うん、お願い」


 言葉と共にテオが俺の前に座り、更にその姿勢を正す。

 ――とくれば、その目の前に居る俺も姿勢を正さなければならない。流石に、座った相手の前で寝転んだままでいることは不敬だろう。よっこらしょという声を漏らしながら、胡座の姿勢へと移る。

 テオの瞳は魔法を扱えるようになるかもしれないという希望と俺への期待に満ち溢れている。

 その期待には出来る限り応えたいところだが……?


「…………」


 先の訓練で学んだことと相反するようだが、今は戦闘中ではない。より精度と効果を高めるため、今回は目を瞑って魔法を想像していく。


 ――集中しろ……!


 生み出すモノは細長い一本の線。自分と相手とを繋ぐ一本の線。


 ――集中しろ……!


 ただ、それだけでは不十分だ。魔法の才能を開花させるためには、そのための『源』がテオの体内のどこにあるのかを探し当てなければならない。

 ……人体を駆け巡るためには、今のままの構成では不適等だ。直線でしか形を留められなかったソレに、新たに糸のような柔軟性を加えていく。


 ――よし、出来た!あとは……。


 以前ミラに見せた時と同じように、蛇を連想させる動きすらも可能になった線を、テオに向けて伸ばしていく。


「…………?」


 痛みは無かっただろうが、それでもやはり自分の体内に異物が入ったことに対する違和感だろうか。テオは僅かに表情を曇らせた。


「ん……っと……?」


 一方の俺はというと、初めての作業による戸惑いに苛まれながらも、慎重に体内を探っていく。


 ――ところで。ここだけ読むと、なんだかとても怪しい文章であるような気がするんだが、俺だけだろうか?


 とりあえず言わせてもらうが、俺にその気は全くない。これだけははっきりと言っておこう。

 閑話休題。


「……ここも、違う……」

「……コレは――いや、違うな……」


 ……線を通じて伝わってくる情報をその都度閲覧し、探しているもので無ければそれを破棄していく。

 この作業を続けて、もうどれくらいになるだろうか?体感では、一時間近くは経っているような気がする。

 ……中々の長丁場になってしまったな。長時間に渡る調査でテオは顔の色を疲労に染めているし、ミラは――そこ、寝るな。……可愛く「眠いんだもん」とか言っても駄目だ。人が一生懸命頑張っているんだから、せめてそれくらいは見届けなさい。


「ここも、駄目か……」


 本来ならばもっと早くに終わらせているはずだった。だが、現実はその通りにはいかない。

 彼の体内から、魔法を扱うための『源』の存在が未だ発見できていないのだ。それが無くては話にならない。


 ――まいったな……。


 これがもしもミラであれば、ここまで時間は必要ない。わざわざ探さなくても、『源』の在り処を向こうの方から教えてくれるのだから。思うに、『源』の探しやすさ――存在感とでもいうべきか――は、そのまま本人の魔法の才能に直結しているのだろう。

 汗が頬をつたう。それにしても、ここまで探しにくいものなのだろうか?疑念が頭を過ぎる。

 魔族にはどうしても魔法の才では劣ってしまう人族において、これは普通のことなのだろうか?それとも……。


「――!?これは、『源』か……?」


 そこで、思考を中断した。脳に送られてきた情報の一つに、気になる点を発見したからだ。

 その情報が送られてきた箇所は、右腕の拳部分。ちょうど掌に当たる位置だ。

 おそらく、これが源に当たる部分だろう。そう判断した俺は、そこに糸を再度送り込んだ。幸いにも情報を受け取ってからすぐさま対応したため、糸はまだその近くに位置しているままだ。大して時間もかけずに、目標まで辿り着く。

 『源』らしきモノに糸が接触した。コレで二度目となる接触だが、その意味合いは一度目の時とは大きく異なる。

 一回目は全身に気を配らなくてはいけなかったため、大して意識をそこに向けることはなかった。だが、今回はそれとは違う。それが何なのかを調べるために、俺は全意識をそこに向ける。

 ……読書で例えるならば、一回目が流し読み。そして今回は、文章を一字一字しっかりと読んでいる――とでもいえばいいだろうか?

 

 ――これは……。


 調査自体はそこまで時間はかからない。ものの数秒で調査し終えた俺は、その結果に思わず息を飲み込む。

 なぜならば――。






「…………うん、終わった」


 それから更に一時間。隅から隅まで調べ終えた――別に変な意味ではないからな?――俺は、糸をテオの体内から引き抜いた。引き抜いた瞬間にテオが小さく呻いたところを見ると、やはり彼自身にもかなりの負担になっていたようだ。

 ふぅと小さく息を吐く俺に、ミラが声をかけてくる。


「あら、終わったの?」

「ああ。――お前は何をしているんだ」


 彼女の方へと首を向けた俺は、次の瞬間に目へと飛び込んできた情報を受けて、語調を強めてそう言った。

 彼女の手には筆。その近くには墨のようなもの。筆先の向こうには紙が広がっている。これはどう見ても――、


「え?……日記」


 何かを紙に書き記していた彼女は、何を言っているんだと言わんばかりに不思議そうな表情で答えを返してくる。いや、そういうことを聞いているんじゃなくて……。


「人が折角頑張ってるってのに、その横で日記なんて書くなよ……」

「そんなこと言われたって、コレは私の仕事なわけだから……」

「仕事?」

「あのー」

「そうよ。一応、私の立場に君臨してきた人たちが代々行ってきた仕事なの。だから、時間があるときにこうして記録を残していかないといかないのよ……」

「そうなのか?」

「おーい」


 私の立場というと、この場合は『魔王』ということか。


「そうなのよ。……こういう何気ない記録でも、後の世代の人にとってはとても意味のあるものになってるかもしれないから」

「あー、成程」


 後世の人々にとっての価値ある物を遺す、か。俺の世界での扱われ方から考えてみると、彼女の言葉がいかに正しい言葉であるかが分かる。

 確かに、それは貴重な財産であると言える。よくぞこの考えへ行きつけたものだと思う。


 ――もしかしたら。


 魔族には、記録の欠落に対する苦い思いがある。人族に人類の大敵と誤認されているという背景がある。

 こういった経験から、記録を遺すことの大切さを学んできたのかもしれない。


「それはご苦労さ――」

「兄ちゃん、兄ちゃん」

「――ま?」


 俺の言葉は途中で遮られた。ご苦労様の『ま』の部分で服の裾を引かれた俺は、その方向へと視線を送る。

 当然だが、服の袖を引っ張っているのはテオだ。今までミラと話していたのだから、彼以外に他はいない。むしろ振り向いた先に知らない人が居たら物凄く怖いと思う。

 

「ん、どうした?」

「どうした、じゃないよ。僕の魔法について調べてたんじゃないかぁ。おまけに、さっきから何度も呼んでるのに無視しちゃうし」

「あっ」


 ――そういえば、さっきからこちらに呼び掛けている声が会話の途中で聞こえていたような……。


 ……ミラとの会話で話が脱線してしまっていたようだ。とりあえず、ミラへ労いの言葉を贈るのは後回しにするとして、今はテオに結果を伝えるとしよう。

 俺は誤魔化しも兼ねて、コホンと咳払いを一つ。それと共に姿勢を改めて正す。


「じゃあ今から説明するぞ……?」


 目線はテオの瞳へ。瞳が微かに揺らいでいるのは、これから示される答えへの緊張からか、それとも期待からだろうか。


「うん……」


 唾を飲み、それから一拍を置いて彼は頷いた。その様子を見届けたのち、俺は口を開く。


「――結論から言わせてもらうと、テオには魔法を扱えない」

「――そうなんだ……」


 この結果を予想していたのだろうか。俺の想定よりもよほど平静を保っているように見える。……それでも少なからず落胆はしているのだが。


「ちょっと待って?」


 その結論に異議を唱えたのはミラだ。顎に手を当てて何やら考えごとをしている彼女は、疑問を口に出す。


「ショウは以前、開花魔法について私にこう説明したわよね?『魔口が閉じている人の魔口を開いたり、魔力の存在が感じ取れない人に魔力の感覚を分かりやすい形で教えてあげたりすることが出来る』って。それなのに、わざわざ開花魔法を使ったというのに、テオが魔法を扱えないと言うのはどうして?」

「ああ、それは――テオには魔力と魔口の両方が存在しないからだよ」

「存在しない……?」

「そう。正確に言うと、魔力に関しては枯れていると言った方がいいかな?どうしてこうなったのかは分からないが、とにかく魔力の源は無いに等しい」


 俺が捜索に苦労したのも、これが原因だったりする。

 まあ考えれば分かることだが、『源』の探しやすさがその人における魔力量と比例するものだというのならば、それは即ち、『源』の存在感が極めて微少であったテオは魔力量が著しく少ないということになる。

 だが、俺が『テオには魔法を扱えない』といったのはこれが原因ではない。

一応は彼も魔力を有しているのだから、それだけならばテオが魔法を扱えない理由にはならない。……扱えるとはいっても、精々ライター程度の炎を生み出すのが限度だろうが。


「おまけに、魔口に至っては存在しないという結果だ。――ここまで来ると、俺にはどうしようも出来ないよ」


 そう、これが大きな要因だ。

 仮にこれが魔口自体は存在するが閉じているなどという状態だったならば、俺はそれを多少強引ではあるが、こじ開けることが出来る。だが、元から何もない場所に新しく魔口を作ることは俺には出来ない。

 俺の魔法は一を二にすることは出来ても、零を一にすることは出来ないというわけだ。

もしも仮にそれが出来たとしたら、しかしそれはもはや『開花』などではない。それよりもずっと上位の魔法――それこそ、『創造』魔法になってしまうだろう。


「だから、テオには魔法を扱うことは出来ないという結論に至った。――すまないが……」

「ううん、全然気にしてないから。……わざわざ調べてくれてありがとう」


 俺の謝罪に、首を振って笑顔で答えるテオ。何というか、その姿が実にいじらしい。

 そして、折角の彼の望みを叶えてあげられなかった自分の無力さが、実に虚しい。


「うーん……」


 そんな俺達の姿を尻目に、ミラは尚も考えごとに耽っている。何か気になることでもあるのだろうか?


「――うん、なんとか出来るかもしれない……」


 結論に至ったのだろうか、しばらくした後に言葉と共に頷き始めた彼女に、俺は声をかけた。


「どうしたんだ、ミラ?」

「――もしかしたら、テオでも魔法を扱えるようになるかもしれないのよ」

『え!?』


 彼女の言葉に、俺達は二重奏で驚きの言葉を上げる。だってそうだろう?今さっき、俺が無理だと判断したことを、彼女は否定したんだぜ?


「え……でも、兄ちゃんがさっき無理だって……」

「まあ、完璧に――とはいかないけどね。それに近いものだったら扱えるようになるかもよ?」

「本当!?」

「ええ。――やってみる?」

「うんっ!!」


 あれよあれよという内に二人の話し合いは終結を迎え、彼らはこの場を去っていく。聞こえてきた言葉から想像するに、今から魔法を扱えるようになるための練習でも始めるのだろうか?


「………………」


 どちらにせよ、俺は一人取り残されているわけで。


「まあ、いいんだけどさ……」


 誰もいない空間に向かって、俺は呟く。


 ――別にいいことなんだけどさ……。


 そう、テオが魔法を扱えるようになる――それはとても良いことだ。素直に喜ぼう。

 ……だけど。

 普段の俺の戦闘での無様さといい、今回の開花のぱっとしなさといい……。俺は皆の役に立っているのだろうかと、どうしても疑問を覚えてしまう。


 ――まあ、向こうの世界でもぱっとしない存在だったんだけどさ。ヤレヤレ……。

作者「第一回、ドキッ★登場人物のステータス表――!」

ショウ「なんなんだ、その題名は……」

作者「はい。これは登場人物のその時点でのステータスを表示するコーナーです。今回は折角なので某聖杯戦争風(あくまでも某聖杯戦争『風』です)に書いてみました」

ショウ「無視!?」

作者「なお、ランクの説明としましては、以下の通りです。下の説明は、『総合能力』の値である場合です。他の項目については――まあ、大体想像はつくと思います。


EX … 「俺が化け物?違うな……俺は悪魔だ」級。ブロ○リー並です。

A … 伝説級。歴史上でも数えるほどしかいません。

B … 達人級。ここまで来ると、その時代に数人いるかいないかという程度ですね。

C … 一流戦士(魔法使い)級。この時点で十分凄いです。

D … 一般戦士(魔法使い)級。日夜戦いの場に赴く人間ならば、大抵の人がここに位置します。

E … 「戦闘力……たったの5か……ゴミが」級。戦いを挑まれたら、素直に降伏してください。


――以上です」

ショウ「○の意味が無くないか……?しかも、説明になっていないような気が……」

作者「なお、魔力の項目は『瞬間放出魔力量と保有魔力の合計値の平均』ということでお願いします」

ショウ「だから、聞けよ!」

作者「では最後に一つだけ注意点を。――これはあくまでも『ネタ』ですので、そのことを了承したうえでご覧ください」

ショウ「最後まで無視かよ!」



< 渡辺 翔 (ショウ) >


【能力】


 筋力 … D

 魔力 … C

 耐久 … D+

 幸運 … E-

 敏捷 … D+

 経験 … D-

総合能力 … D-


【技能】


心眼(真) … D … 『経験』によって培った洞察力。窮地において、その場で残された活路を導き出す戦闘論理




作者「――弱っ。しかも地味……」

ショウ「オイ」

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