血の絆編 第一章
楓は少しの間俯いて居たが紅葉が楓の顔を覗こうとした瞬間と同時に楓は顔を上げた。
「紅葉・・歩けるか?」
「あ・・歩けるとはお・・思う。」
「そうか。なら俺の家に行くぞ!」
紅葉は少し嬉しかった。
さっきまで、何故か悲しそう・・いや何処か辛そうに笑っていた楓が心の底から嬉しそうに笑って居るのだから。
(楓少しは元気になれたみたいで良かった。)
「じゃあ、俺の家に行くぞ‼」
「分かった。」
そうして二人で祠を出た
「今から何処に向かえば良いんだ。」
「この先を真っ直ぐ進んだ所にある、俺の家だよ。何回も言わせんなよ」
「ごめん・・」
「何でお前が謝るんだよ。」
他愛のない話をしていた、話している時の紅葉は以前のように笑って居た。
紅葉の笑顔を見て楓は昔を思い出して居た・・・
思い出して居たらいつの間にか家に着いた。
意外と祠の近くだったから、紅葉は少し驚いた。
楓は驚いている紅葉を気にも止めず、家の中へと入って行った。
紅葉も楓を追い、家の中へと入った。
そこで楓と紅葉を待って居たのは意外な人物だった。
「詠と棗。な、何でお前等が此処に居んだよ‼」
楓はすごく動揺していた。
居るはずのない、詠と棗が居たのだから。
「あれ?何だもう目醒ちゃったんだ。」
楓に詠と呼ばれていた青年が突然紅葉の顔を覗きこんできた。
突然のことに紅葉は慌てて祠とは逆の方向に走って行ってしまった。
「おい‼紅葉!・・・何処行くんだよ‼」
紅葉は楓の問に答えはしなかった。
楓もまた、紅葉を追いかけて行った。