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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第04章 強制転移
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第084話 レストーネ到着

 外で何か起こるかもしれないからというアルさんの提案で見張りをしながら交代して眠ることになった。

 シェグルは寝なくても問題ないらしいけど、眠れるなら寝て欲しいと言われていた。

 眠ることはできるようで了承していた。

 そして、見張り役となった人以外は眠りについた。


 私も一応は警戒していたものの、特に何事もなく翌朝になった。

 いやまぁ、最初は頑張って起きて何も起こりそうになかったから寝たって感じなんだけどね。

 耳はいいし1度寝たら起きないってタイプでもないから何もなかったはず。

 探知魔法でも異常なし。


 私が目を覚ました時、ミラさん以外はすでに起きて朝食の準備をしていた。


 生活音と言えばいいのか、調理器具同士が当たる音や小さいとはいえ話し声も聞こえてくる。そんな中、ミラさんは毛布を抱え気持ち良さそうにすやすやと眠っている。


 羽を繕うのを止めたテバサキが床を歩いて彼女へ近づく。

 ローレンさんはテバサキがミラさんの近くにいることは気づいているようだけど何も言わない。


「テバサキは何をしてるの?」


 不思議そうにテバサキを見ながら尋ねるシーナちゃん。


「寝言を待ってるんだ。寝言が聞けたら真似た上で起きた本人に聞かせて反応を見る」


 あまり良いとは言えない趣味だ。寝言が気になるっていうのは分かるけどね。


 その後はミラさんも起こされ朝食を取った。


 これからレストーネへ向かう。

 しかし、シェグル全員で押しかけるのは色々と問題があるため、この施設に残る組とついてくる組に分かれることとなった。

 レストーネにはローレンさんとアルさんが向かい、それ以外はここへ残ることに。


 そして、私たちはレストーネへ出発した。

 テバサキが偵察を務めつつ森を進む。多少は生物と戦ったりしたけどローレンさんとアルさんは危なげなく倒していた。


 道中でアルさんがどういった経緯で今回の件に関わることになったのかなど質問し、ローレンさんは私のことや目的を話した。


「宿は決まっているんですか?」

「知人が営んでいる宿屋に泊まろうと思っています」

「その宿屋への道中や他の宿泊客にラナを見られ、悪い意味で目を付けられるかもしれません。不要なトラブルを避けるためにも、良ければですがうちへ泊まりませんか?」


 レストーネを拠点にしている冒険者としてそれなりに有名だから下手なことをしてくる人は少ないだろうということだった。


「それはありがたいですね。ぜひお願いします」


 そんな会話もされ、私たちはアルさんの家へ泊まることになった。


 その後、特に何事もなくレストーネへと到着。

 高い石の壁に囲まれた町だ。ラテルやルセルリオなんかもそうだけど野生の動物とか魔物とかいるといるとこういうのがないと危ないんだろうね。


 門の前には出入りをするための手続きを待っている人の列ができていた。並ぶためにその列へ近づいたんだけど、凄く注目されている。


「あれってディナルトスだよな?」

「そう見えるな。躾けられるものなんだな」


 なんていう会話が聞こえる。

 注目はされているけどあまり怖がられてはいなさそうだ。


「なぁ兄ちゃん、そのディナルトスは売りに出したりしないのか?」


 30代に見えるがっしりとした体格の冒険者らしい男性がローレンさんに声をかけた。


「すみません。売り物じゃないんです」

「そうか。それは残念だ」


 男性はしょんぼりとして引き下がってくれた。

 売り物じゃないと分かると他の人も興味を失ったようであまり注目はされなくなった。


「その騎獣が他者を襲った時は飼い主であるあなたの責任となります。危害を出した場合、時と場合によっては殺処分となるためご注意ください」


 入口で注意をされつつ、手続きをして町へ入る。

 町へ入ると遠巻きにされたりいくらか警戒もされた。ただ、アルさんの姿に気が付くと緊張も警戒もやや解けているように見える。たぶんだけどアルさんの知り合いということでそれなら大丈夫だろうと思われているんじゃないかな。


 注目を浴びながらアルさんに案内され彼の自宅へ向かう。

 到着したアルさんの自宅は塀で囲まれた2階建ての大きな庭のある屋敷だった。


「左の小屋が空いているので使ってください」


 私はその小屋へ入れられた。綺麗だし広い。それに綺麗な水と食べ物、干し草のベッドも用意してくれていてとても快適だ。

 朝昼は庭に出してもらって日向ぼっこをしたり、軽く走ったりとのんびりと過ごして2日が経った。

 ちょっと長いような気もしたし不安にもなった。それでもローレンさんやアルさんも毎日様子を見に来てくれるからそのまま過ごした。


 そして3日の朝、ローレンさんが小屋の扉を開けてくれたのでそちらを見るとアルやアントンさんがいた。ローレンさんの手には1通の封筒があった。


「ラナ、ラテルから返事が来たぞ。良かったな」


 その封筒を私に見せるようにローレンさんが言う。

 さらに彼はその封筒から手紙を取り出した。何枚かある手紙を後ろへ送ってから手を止めるとアントンさんに渡した。


「ラナへドルフ様からの伝言です。『心配した。ラナの行方と安全が分かってどれほど安心したことか。それから負傷した人を助けたということも聞いた。偉いぞ。私はラナのことを誇りに思っている。迎えに行きたいのはやまやまなんだが、私たちは事情がありゾニアーノまでしか行けない。だがエリック殿は違う。ありがたいことに彼も協力してくれることになり、ゾニアーノ、それからレストーネへ向かってくれることになった。だから送ってくれる方の言うことを良く聞いて帰っておいで』以上です」


 アントンさんは聞き馴染みのある言葉で読み上げてくれた。きっとリーセディアの公用語なんだろう。


 ドルフにも伝わったようで良かった。それに褒められたことも嬉しい。

 ラテルへ帰ったらいっぱい撫でてくれるかな? またルナをモフりたいし、ガルたちのやり取りを見たり久しぶりにグルと走りで勝負するのもいいかも。

 ローレンさんたちに良くしてもらったことはありがたいけど、早くラテルへ帰りたいな。


 ゾニアーノって場所までしか来れないっていうのは国を跨ぐとかそういうことが関係しているのかもしれない。パスポートとかあるのか分からないけど町へ入る手続きよりももっとしっかりした手続きが必要だってことは考えられるし当然のことだからね。

 それに騎士だから国同士の関係が良くないと争いの元になるかもしれない。

 そう考えるとゾニアーノっていうのは国境の近くにある町なのかもね。

 エリックさんがレストーネまで来れるのは冒険者だからかな?

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