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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第01章 ラテル襲撃事件
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番外編 ジナルドから見たラナ

 ラナは生まれた時から変わったディナルトスだった。

 まず、彼女と同時期に生まれたディナルトスたちが普通に食べた虫やミミズといったエサを一切食べなかった。病気だとか目が見えていないだとか障害は無さそうだった。

 このままでは彼女が弱ってしまうと様々な食べ物を用意した。


 彼女は果実と小さく切った肉は食べた。アレルギー反応も無かった。

 肉を食べないわけではないことは分かった。どうやら彼女は、生き物の形が残っていると肉を食べないらしい。


 ただ、例外もあった。焼き魚は美味しそうに食べてくれたのだ。しかし生魚は食べなかった。生魚でも形が残らないように切り分けたら食べた。

 焼いたらいいのかと虫やミミズを焼いてみたが食べなかった。

 一体どういうことなんだ。


 野生のディナルトスは非常に頭が良く狡猾だ。集団で狩りを行い、囮が注意を引きつけているうちに獲物の背後や横、木の上から別働隊が強襲する。中には足に血を付けその足を引きずり怪我や調子が悪そうに振る舞うなど弱った振りをする個体までいるという。


 見えやすいところにディナルトスが1匹だけいたら、すでに彼らの罠にかけられている途中かもしれないのだ。


 彼らは記憶力も良く人の顔を覚え、やられた恨みを忘れない。

 狩人が毒矢を使ってディナルトスを仕留めたとする。もし次にその狩人に会った時、彼らは矢を警戒して木々の間を縫うように近づいてくるだろう。また、無駄撃ちした矢があればその矢を抜いて武器にするだろう。


 うちで飼育しているディナルトスたちも非常に賢い。人によって態度を変えることはもちろんのこと、人の行動も良く記憶している。

 彼らは良く俺を見ている。2匹は視界にいて1匹が見当たらず振り返れば後ろに居た、なんてこともある。すぐに気づいたから良かったものの、もう少し遅かったら襲われていたかもしれない。


 ディナルトスには安易に背中を向けてはならない。

 というのが一般常識的なディナルトスだ。


 そしてディナルトスは集団を作り、リーダーが存在する。


 オスとメスで分けて育てていたディナルトスだったが月日が経ち少し成長したので会わせてみることにした。

 オスたちのリーダーはガルだ。彼はギルとグルと戦い勝ったわけで2匹より戦闘のセンスが高かった。


 2匹を従えたガルがラナに近づき何か話しかける。ラナは他のディナルトスよりも小柄でガルより一回りは小さい。

 ラナが危険な状態になったら止めるつもりではあったがその時はただ様子を見ていた。


 2匹の雰囲気は段々と険悪になっていき、ついにガルがラナへ飛び掛かった。


 しかしラナはガルを躱し体当たりでガルを吹き飛ばした。

 ガルは何度もラナに向かって行くがラナを捕まえられず反撃を食らっていた。


 ラナも次第に苛立ってきたようで、尻尾を地面に叩きつけガルを睨んで唸る。

 それでもガルは負けじとラナに噛みつこうとする。

 向かって来たガルに足をかけ態勢を崩したと思うとラナはガルを思い切り蹴った。


 その蹴りでガルはダウンした。


 新しいリーダーの誕生だ。

 まさかラナが勝つとは。


 それから彼らとラナを会わせたがラナは彼らに対して興味を持っていないようだった。話をしていることはあるがガルのようにギルとグルを引き連れたりはしていない。


 育ってきたディナルトスたちに狩りを覚えさせようとディナルトスたちの運動場にレミエラビットを放した。

 ラナ以外はすぐにレミエラビットを狩り始めた。


 ラナも遅れて駆け出したのでついに狩りをするのかと思った。

 ラナが1羽をくわえたと思ったら俺のところへ連れてきた。しかも生きている。


 戸惑いながら受け取って調べてみたら力加減をされていたようでどこにも傷がない。

 彼女がその1羽を連れてきた時には他のレミエラビットは全滅していた。

 ラナは振り返りレミエラビットたちがいたところを見る。それから再度振り返りじっと俺の方を見ている。


 困ったのは生き残ったこのレミエラビットをどうするかだった。

 もしこのレミエラビットを他のディナルトスたちの前に戻して食べられでもしたら、ラナに恨まれることが簡単に想像できた。

 それは避けたい。


 仕方なく俺はレミエラビットを保護し、迷った末にラナの馬房に入れることにした。

 お腹が空いて食べたなら良し。ついに焼き魚以外で生き物の姿をした肉を食べられるようになったことを喜ぼう。


 しかしラナはレミエラビットを食べようとはしなかった。それどころか自分のために用意された水や果物を分けてやっていた。果物はラナの好物であるというのに。

 そのうちレミエラビットもラナが自分に危害を加えないことが分かったようで彼女に懐いた。地面で横になるラナの上に乗ったりするようになったのだが、それでもラナは怒らなかった。

 俺は仕方なくそのレミエラビットをルナと名付けることにした。


 ラナたちも大人になり俺たちを乗せて走ることができるようになった。

 ラナはディナルトスたちのリーダーながらも穏やかで指示にも素直に従ってくれる。乗る者の好き嫌いも今のところは無さそうだ。

 問題を上げるとすれば、狩りを行わず焼き魚以外の生物の肉は元の姿が残っていたら食べないこと。それから他のディナルトスたちと比べて警戒心が薄いように見えることだ。

 また、大人しく争いを嫌っているようにも見える。普段はそれで構わないかもしれないが、任務などで戦闘になった時に怯えて動けなくなってしまうのではないかという不安がある。


 逆にガルは闘争心や警戒心が強くプライドも高い。そしてどこか人間を見下している印象を受ける。乗せる者を選り好みしていてガルに乗った何人もの騎士が振り落とされた。

 ギルも別の意味で厄介だ。気分屋なのか、気に食わないことや機嫌を損ねた場合には突然暴れて騎手を振り落とすことがあった。彼の場合は食べることが特に好きなので、好物をちらつかせるとやる気になってくれるのでまだ扱いやすい。

 グルは重く大きい者が嫌いなようでそういう者が乗ろうとすると激しく抵抗する。乗ってしまえば嫌そうにしながらも振り落とそうとしない分、ガルやギルよりは俺たちに考慮してくれているのかもしれない。彼の場合は特に走ることが好きで競争になると騎手の指示を無視することがあるという問題がある。


 それぞれ個性豊かで困らされたこともあるが、大切な仲間で可愛い子供たちだ。

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