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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第01章 ラテル襲撃事件
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第005話 町での救助活動

 私は部屋を出て町へと向かうことにした。ギルにはお偉いさんと息子が逃げるもしもの時のための足として残ってもらおう。

 私がギルにそのことを伝えると快く了承してくれた。


『拾い食い、盗み食いは駄目だからね』

『……分かってるって』


 若干の間。少し心配になった。ドルフはお偉いさんと話していたので放っておこうと部屋の出口へ駆け出した。


「待てラナ!」


 ドルフに呼び止められたけど無視して部屋を出る。


「こっちはこっちでどうにかする。少しでも民を助けてきてくれ!」

「承知致しました!」


 お偉いさんが言ってドルフが私を追って駆けだした。


 とりあえず部屋を出て見えないところ辺りで止まってドルフを待つ。


「さぁ、行くぞ!」


 ククッと鳴いてドルフを背中に乗せた。


 私は割れた窓から結界を足場に地上へと下りた。4階から直で飛び下りるなんてとんでもない。

 地上へと到着すればそのまま町へと駆けていく。


 悲鳴があちこちから聞こえて血の臭いもする。


 探知魔法は継続していて人や魔物がいる場所が分かるようにしている。


 けれど何を優先してどこへ向かえばいいか分からないためドルフの指示に従って走った。


 魔物に襲われそうな人に私が結界をかけて守っている間に魔物へ近づきドルフが私に乗ったまま魔物を仕留める。


「冒険者ギルドや避難所へ逃げろ! 城でも避難を受け入れている!」


 ドルフが大きな声を上げて町の人を誘導している。


 魔物は倒せたが足に怪我をして動けない人やあまり体力のなさそうなお年寄りがいる。

 治癒魔法を使えたらいいんだけどやり方が分からない。

 そう重傷そうではないけど移動に支障がありそうだ。


 あまり遠くない場所からガルとグルの鳴き声が聞こえた。私は咆哮を上げて2匹を呼んだ。


『どうしたラナ?』

『この2人を乗せて』


 ガルとグルがそれぞれの人のところへ行って身を屈める。その仕草で理解したのかドルフがそれぞれ手伝い2人をガルとグルの上に乗せた。


 私に乗ったドルフが先導して冒険者ギルドへとやってきた。職員に2人を任せて再び魔物や人のところへ向かう。


 そんな風に魔物を倒して逃げ惑っている人の避難を手伝う。


 騎士だけでなく武装して魔物と戦っている人たちを見かけたので身体強化や硬化をかけておいた。

 ガルとグルは魔物を翻弄して隙を見つければ襲い掛かり魔物を仕留めていく。


 そんな風に町中を駆け回った。


 事態が落ち着いたのは日が暮れ始めた頃だった。


 一旦、城に戻ろうとなった時、ルナがキュイキュイと鳴いて私の頭の上から飛び降りた。地面に着地したルナは近くの倒壊した建物へと向かって行く。

 そっちに人の反応はないけどどうしたんだろう。


 不思議に思いながらついていくとルナは鳴いて建物の中に入りたそうにしている。

 私は結界で瓦礫を押し上げた。

 ルナが建物の中に入るのでついていくと床に四角の蓋がハマっている。


 ハッとしたドルフが蓋を開けると床下倉庫らしい地下に何人も居た。


 なぜ気づけなかったのかと驚く。

 そしてはたと気づく。人や魔物がいるかどうかのサーチの範囲は地上部分だったため気が付けなかったのではないか。


「もう大丈夫だ。慌てずに上がってきてくれ」


 ドルフは優しく声を掛けながら彼らを地下から引き上げた。

 ルナは胸を張って自慢げだったので彼女のお腹辺りに顔をくっつけてぐりぐりと顔を左右に軽く振った。


 同じようなことが起こっていないとも限らないため探知範囲を地下まで広げた。地下の数ヶ所から人の反応があった。私はそっちにも向かって閉じ込められた人たちを助けた。


 ようやく自分の部屋に戻ってこれた時には魔力もかなり使ってへとへとだった。


「ありがとうラナ。お前のおかげで数多くの者を助けられた」


 そう言ってドルフが私の首元を撫でてくれる。私はご機嫌にクルクルと鳴いて頭をドルフの胸に擦り付けた。

 役に立ったのなら良かった。


「お前たちもありがとうな」


 ガルたちにも声をかけて撫でようとするが2匹ともに威嚇されてドルフは手を引っ込めて苦笑いした。




 あれから数日が経った。


 私たちは人々を助け大活躍したということで上質なお肉をもらった。それにとても褒められた。


 お出かけをするため町の通りを歩いている時、これまでは遠巻きにされたいたのに撫でられたり助けた人から食べ物をもらえるようになった。

 ルナもすっかりアイドル扱いされていた。


『さすがだなラナ』

『美味しい物がいっぱいだ』

『楽しいね~』


 ガルはどこか誇らしげに、ギルはもらった食べ物を食べて満足そうに、グルは声を掛けられたり撫でられたりして嬉しそうだ。


 飼育員であるジナルドにも褒賞が出たようで喜んでいた。

 今度、予定しているデートで彼女をいいお店に連れていけると言っていた。


 どんな彼女なのか気になってクルクルと鳴いた。


 ドルフとの会話を聞くに彼女は魔物が大好きで特に植物系の魔物が好きとのことだ。次点でスライムが好きで飼育や研究を行っているとか。ジナルドも魔物が好きなので話が合うようで、一緒にいて楽しいのだとか。


 ドルフにも褒賞が出たらしい。私たちに何か買ってくれるそうだ。


 私が魔法を使えることがバレてしまったと思うけど今のところ生活に変化はない。


 というのも私の能力を調べようとした人はいたが、面倒だったので非協力的な態度を取った。

 強引な方法も考えられたらしいけど、ジナルドが逆効果だと説明してくれたからだ。




 そして、ドルフの買ってくれた青色のスカーフを首に巻いた私は今日もドルフを乗せて草原を駆けている。

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