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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第05章 人が変わるという噂と謎
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130話 それからのこと

 目を開くとどこか広そうな部屋にいた。

 体を起こして周囲を見回すと複数のベッドと薬品棚が置いてあった。ベッドの近くには白衣を着た人が3人いて、そのうちの1人はレクシス様だった。出入口付近や私の近くには騎士がそれぞれ2人ずつ立っている。


 探知魔法を発動させるとドルフやデニスさん、それにセレスさんがベッドの上に寝かされていた。フロイスは床に置かれたクッションの上で眠っている。

 時計を見れば、地下室で眠らされてから3時間ほどしか経っていない。濃い3時間だったなぁ。


「良かった。目が覚めたんですね」


 私が目を覚ますとほぼ同時にドルフたちも目が覚めたようで、安心したようなレクシス様の声が聞こえた。


「私たちの状況を教えてください」


 レクシス様の調査で私たちが『夢世界』へ引き込まれていたことが告げられた。助け出そうにも夢見せ魔法を解除することは難しく、より詳細な調査をしている最中だったのだという。


 そしてなぜ私たちがここにいるのかと言えば、地下室で眠っていた私たちを発見したのはオズワールさんだったという。目を覚ましたオズワールさんは自分の置かれた状況に困惑しながら1人では何もできないと判断すると助けを求めて建物から外に出た。そこへやって来たのがジェドさんだった。

 オズワールさんから事情を聞いたジェドさんが協力してお城まで運んでくれたのだという。


 その後、オズワールさんはフィオニーさんと合流してジェドさんと一緒にこのお城の客室にいるそうだ。


「オズワールさんはなぜ自分が地下室にいたのか覚えていないそうです。ドルフさんたちは覚えていますか?」

「えぇ、覚えています」


 そんな流れでドルフたちはレクシス様から色々と話を聞かれることになった。


 私はググっと体を伸ばした後にフロイスへ近づいてしゃがんだ。

 フロイスはじっと私を見た後で興味無さそうに目を閉じた。

 うーん、何を考えているのか全然分からない。


「色々と話したいことがあるのでオズワールさんたちがいる場所へ案内してもらえますか?」


 レクシス様は少し考えた後で了承した。


 私とフロイスはというと、騎士の1人に連れられ庭へと戻ることになった。

 どんな話をするのか聞きたかったけど、ドルフたちも客室へ移動するならついていくのも不自然だから仕方ない。


 ドルフたちが移動した部屋で音消しが作動した。

 窓から覗こうにもカーテンが閉められているので覗けなかった。


 もどかしく思いながら様子を窺うこと約1時間。音消しの効果が消え、客室の扉が開き、ドルフが出てくる。

 次にオズワールさんが出て来て隣の部屋で待っていたフィオニーさんと合流した。彼は嬉しそうにフィオニーさんを抱きしめ、フィオニーさんも彼を抱きしめ返していた。


 この2人、やっぱり恋人同士なのかな。


 どうなんだろうと考えていると、2人がお揃いのロケットペンダントをしていることに気がついた。どちらも金属製っぽくて形は楕円形だ。この前までつけていなかったからつい最近買ったものだろう。


 そんなことを考えていると、2人は離れて手を繋いで一緒にお城を出ていった。

 かと思えば、付き添いのカイルと一緒にこっちへ向かって来ている。


「その……ラナ、私を見つけてくれてありがとう」


 オズワールさんは顔を強張こわばらせフィオニーさんの手を握りながらではあったけど、私のことを見ていた。

 近づいたら怖がらせそうなので私はその場から動かず、どういたしましてと言う意味を込めてククッと鳴いた。

 その後、フィオニーさんにもお礼を言われた。


「今度ラナにクッションなどお礼の品を渡したいんですが大丈夫でしょうか?」

「実際に見てみないと分かりませんが、基本的には大丈夫だと思いますよ」


 オズワールさんの質問にカイルは微笑んで答えた。


 クッション楽しみ!


「お、嬉しそうだな。良かったなラナ」


 カイルはクルクルと喉を鳴らす私に小さく笑った。


「じゃあねラナ。また来るよ」


 バイバーイとフィオニーさんは元気に手を振った後、オズワールさんと町へ戻って行った。

 私の頭を撫でてカイルも城へと戻る。


 最後に客室を出てきたのはセレスさんとデニスさんだった。

 お城を出たセレスさんの目は赤かったので泣いていたのかもしれない。


 2人もウィルに先導されながら私の元へやって来るとお礼を言って町へと戻っていった。


 デニスさんの中にあったセレスさんの魔力は無いままだけど、デニスさんはあまり変わっていない気がする。

 魔力が大きく減ったのはドルフへ謝罪した時だし、苛立ちを抑えるとかそういう効果があったのかもしれない。


 その後しばらくしてからやって来たのはドルフだった。


「今回もラナのおかげで助かった」


 しゃがんで地面に座っている私に近づくと頭を撫でてくれた。


「こちらこそ、いつもありがとう」


 偽ジェドさんはきちんと伝言を伝えてくれていたようだ。

 私はどういたしましてという意味を込めながらクルクルと喉を鳴らした。


 オズワールさんは無事。セレスさんも起きた。デニスさんの中にあったセレスさんの魔力も消えている。フィオニーさんは元気いっぱい。フロイスも特に変わりなし。


 うん、ひとまずは一件落着かな。


 そう思うことにした私は、ドルフに体をくっつけて彼からの撫で撫でを堪能した。

これにて第05章の本編は終了となります。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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