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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第05章 人が変わるという噂と謎
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129話 思わぬ魔法講座

「巻き込んでしまったお詫びだ。可能な限り応じたいが、情報の扱いは難しいからな。まずは個別に話を聞こう。それでいいかな?」


 偽ジェドさんから尋ねられたドルフは困惑した様子で私とフロイスを見た後で了承した。


 うん、私もどうやって話を聞くつもりなのか気になるよ。

 『夢世界』だからできたりするのかな?


 偽ジェドさんがパチンと指を鳴らす。その瞬間にドルフとフロイスはいなくなっていた。


「この世界に引き込んだ時、君たちの記憶を少しだけ調べさせてもらった。ラナ、君が【恩恵持ち】なのは分かっている。だから私の言葉も通じているんだろう?」


 【恩恵持ち】って聞いたのは久しぶりだな。確か、理屈か分からないけど多種多用な言葉を理解し話すことができる能力のことだよね。

 それがバレてるなら話してもいいかな?

 誤魔化したらそれはそれで受け入れてもらえるかもしれないけど、せっかくの機会だから話しておいた方がいいかもしれない。


 うーんと少し悩んだ後、私はククッと答えて頷いた。


「それは確か肯定だったな。ラナは賠償として何が欲しい? 情報かここでできることだとありがたいのだが」


 色々考えた後、2つのことを聞こうと思った。1つ目は探知魔法に反応しない人がいることの原因と対策、2つ目は鴉さんについて知っていることはあるかということだ。

 それを伝えるため文字を書くように爪を動かすと偽ジェドさんはそれを読んでくれた。


「その2つについて聞きたいことは理解した。だが、残念ながら私は鴉という人物のことを知らない。それ以外、ドルフに何か伝えたいことはないのか?」


 そう言われて再度考えてみる。


 いつもありがとうとか? ドルフはいつも必要なことは話してくれるし、改めて私が【恩恵持ち】だってことを話す必要はないだろう。

 鴉さんと同郷かもしれないとか、元々は別の世界の人間だったとか? それを伝えられたドルフはどう反応すればいいか困惑しそうだね。

 鴉さんに会いたい気持ちはあるけどそう簡単にできるとは思えない。そもそも200前の話で生きているかも不明だ。


「分かった。ではそれをドルフに伝えよう」


 悩んだ末に私は偽ジェドさんに伝言を頼んだ。


「さて、探知魔法に反応がない原因と対策についてだな。」


 本物のジェドさんが同じ理由で探知魔法に引っかからないとは言い切れないがと言って偽ジェドさんは推測を話してくれた。


「私が探知魔法に引っかからないのは、ラナが探知魔法として流している魔力を弾いているからだ。その魔力を吸収していたり相殺する場合も同様の結果になるだろうな」


 もしかしたらそうかなと思ったけどその通りだったか。


「そして対策だが、これは難しいとしか言えないな。弾かれている場合であれば弾かれた探知魔法の魔力を探ることができるかもしれないが、吸収や相殺であればまず無理だろう」


 それについてはまた考えることにしよう。


「あぁ、魔法についてもう1つ助言をしておこう。ラナは結界を使うだろう? セレスの眠り魔法を防ごうとして結界が壊れていたが、あの場合は魔法用の結界を張った方が効果的だ。意識して使い分けると壊されにくくなるぞ」


 私が張ったのは物理8割、魔法2割くらいの結界だったらしい。


 結界に魔法用とか物理用とかあるの!?


 と、思ったけど言われてみれば当然だ。ゲームでも物理ダメージと魔法ダメージが分かれていてダメージを軽減できるバリアがあればそれぞれに対応しているものがある場合が多い。

 これからは意識して結界を使うようにしよう。


 このままはい終了というのは少し勿体ないと思ったので他にもいくつか偽ジェドさんに聞いてみた。

 偽ジェドさんは分かるものは快く答えてくれた。


 転移魔法はどうやって使うのか。

 理論は分かるけど魔法での実行方法は良く分からなかった。

 それに必要な魔力も多いみたいで簡単には使えなさそうだった。


 【恩恵持ち】について。

 【恩恵持ち】は人族に見られることが多く動物や魔物でそれらしい行動をするのは珍しいという。

 まして、文字を書ける魔物など聞いたことがないと。


 それから探知魔法について。

 これも実はかなり技術が必要で使える者はそう多くないだろうということを聞いた。

 むしろ私が使えることに驚いたとも言っていた。


 偽ジェドさんも探知魔法を使えるそうで彼に使い方を聞いてみたものの、難しくて良く分からなかった。


 理解しようと質問して分かったのは、私のやり方では使えないはずの魔法を私が使っているということだった。

 これも【恩恵持ち】と同様に何かまだ解明されていない事象に助けられているのではないかというのが偽ジェドさんの推測だ。


「つくづくラナは不思議生物だな。良からぬ輩に目をつけられないよう気をつけるんだぞ」


 自分でも不思議に思うことがあるから理解してる。

 気をつけてるつもりではあるけど、もっと気をつけるよ。


「さて、こんなところか?」


 謎も増えたけど分かったことも多い。

 私は頷き偽ジェドさんにお礼を言った。


 頷いた偽ジェドさんが指をパチンと鳴らすと、いなくなっていたドルフとフロイスが現れた。


「それぞれ納得してもらえたと思う。何もないのであれば今度こそこの『夢世界』を崩壊させる。構わないな」


 確認するような偽ジェドさんの言葉にドルフは頷き、お礼を言った。


「では、元気でな」


 偽ジェドさんは微笑んだ後で指を鳴らした。


 その瞬間、何もかもが消えて真っ暗になり、私の意識も遠くなっていった。

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