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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第05章 人が変わるという噂と謎
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126話 戦闘開始

 セレスさんへ振り下ろされ鎌の動きがやけに遅く見えた。

 私たちからセレスさんまではかなりの距離があって、今から走ったとしてもとても間に合わない。

 どうにかできないかといつものように結界を作動させた。


 結界は発動し、いくつか重ねた結界は死神の鎌を止めることができた。

 その数秒間の間にドルフたちは駆け出していた。私もドルフに続いて走り出す。

 ジェドさんはチーターもびっくりするような初速を叩き出しあっという間に離れて行った。


 当然だけどチーターは四足歩行でジェドさんは二足歩行だ。身体強化はしていると思うけど、二足歩行でその速度って出るものなの!?

 私も身体強化して走ってるけど、ジェドさんに追いつける気がしない。


 驚いている間にも戦況が変わっていく。 

 死神が再び鎌を振り上げる前に肉薄したジェドさんはその拳を死神の体に突き出した。死神は鎌の持ち手部分である木製らしい棒でその拳を受け止めていた。しかし、勢いを殺すことができなかったようで私が張った結界を破壊しながら凄い勢いで後方へ飛んで行った。


「ラナ。デニスとセレスさんを守ってくれ」


 ドルフからの指示に私はククッと了承を返した。

 元からそのつもりだよ。攻撃する方じゃ役に立たないからね。頑張って逃げたり防御に徹するよ。


「セレス!」


 デニスさんがセレスさんに駆け寄り状態を確認している。

 セレスさんは意識がないのか目を閉じたままぐったりとしている。呼吸はしているから良かった。

 彼はそのままセレスさんをお姫様抱っこしたので2人の近くで屈んで一声かけて待機する。ちらりと私を見た後でセレスさんを抱えたまま私に乗った。


 ひとまず探知魔法を発動させる。


 死神はオズワールさんの中にあった謎の魔力と同じ魔力を持っていた。つまり、セレスさんが持っていた小瓶の中にも残っていた魔力とも同じということだ。

 魔力量はオズワールの中にあった時より多少は減っているけどまだまだ膨大だ。


 ジェドさんに飛ばされた死神は鎌の棒の方を地面に突いて勢いを殺した。


「貴殿がこの『夢世界』の核だな。なぜセレス嬢を攻撃する」


 死神はジェドさんから視線を外すと私の方へ見た。

 こっち来そうだなと思っているとデニスさんからの指示が出た。逆方向に走れということなので、その指示に従って死神に背を向けて走り出す。 

 走りながら注目していると死神の反応が消えた。かと思えば進行方向3mほど先の地面に魔力の反応が現れた。

 嫌な予感しかしない。


「ラナ、戻れ!」


 ジェドさんの声が聞こえた直後、魔力反応のあった地面から現れた死神が私たちに向かって鎌を振り下ろす。

 探知魔法で分かっていたから覚悟ができていた。それでも怖いけどね!


 私は死神を結界で覆った後、その結界を蹴って体を反転させるとドルフたちがいる方向へと走った。

 死神の鎌をジェドさんが飛ばしてくれた短剣が弾いた。


 ドルフたちも私たちの方へ来てくれていたのですぐに合流することができた。

 死神が転移魔法を使えるなら下手に逃げるよりもジェドさんたちのところにいた方が安全だろう。


「すぐに済ませる。ドルフはここで彼らを守ってくれ」


 ドルフは了承した。


 ジェドさんは駆け出しこちらへ向かって来ていた死神と戦闘を始めた。

 最初はジェドさんを無視した死神だったけど、ジェドさんを避けることはできないと判断したのかもしれない。


 鎌を持った死神に対して一切怯むことなくジェドさんは拳と蹴りで戦った。ジェドさんの攻撃が当たる度に死神の持つ魔力がガリガリと削れていっている。

 死神は土魔法で地面から長さ1mはあるだろうとげを生やすなどしてジェドさんと距離を取ろうとしていた。ジェドさんはその棘を破壊して前進し、後退する死神に距離を取らせなった。他にも魔法を駆使しながら戦っているけど、どれもジェドさんには通用せず劣勢に追い込まれていた。


 そして、ジェドさんの回し蹴りが死神の胴体に入り、よろめいた死神の頭へジェドさんの拳が直撃した。頭蓋骨は割れ、目のところで光っていた青白い光が消えたと思うと死神はそのまま倒れて魔力が霧散した。残っていた体も崩れて消えてしまった。


 それにしても、ジェドさんの戦闘スタイルがゴリゴリの徒手格闘だとは思わなかったよ。魔法全然使ってなかった。今も探知魔法に反応していないから私が知らないだけかもしれないけどね。

 動きにも無駄がなくてえげつなかったな。


「終わったのか?」

「恐らく。これで少しすればこの世界も崩れるはずだ」


 デニスさんは私から降りるとセレスさんを地面へ寝かせた。


 あーだーこーだと話し合い、ここが『夢世界』の中心部分だろうからここにいようということになった。

 再び死神が現れるということもなく、少ししてからセレスさんの意識も戻った。


「良かった。大丈夫か?」


 デニスさんは心配そうに彼女を見た。


「私は間違ったことをしたんでしょうか? きっとそうなんでしょうね」


 ぽつりとセレスさんは呟き、デニスさんが話を聞かせてくれないかと尋ねた。

 セレスさんはデニスさんを見つめた後、やがて小さく頷いた。

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