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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第05章 人が変わるという噂と謎
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115話 エリックさんから事情を聞く

「デニス殿と最近関わったと思われる冒険者はいますか?」


 リジールさんは頷き、冒険者の名前や特徴を答えた。


「エリックさんも彼に迷惑をかけられた1人らしいです。彼の場合、見た目が若いこともあって新人冒険者と間違われてデニスから絡まれたそうですよ」


 その時にエリックさんはプラチナ級の冒険者であることを告げたらしいけど、デニスさんは信じず手合わせすることになってあっけなく返り討ちになったらしい。


「こちらでも話を聞いてみます」


 ドルフは再度お礼を告げた。


「ガロイドさんはどうですか?」


 問われた彼は欠伸あくびをしている途中だったため欠伸混じりに返事をした。


「まぁ、確かに変だし怪しいとは思うが、女性の目的が分からないから何ともな」


 悪意があって行動しているのだとしたら動き方が派手だというのがガロイドさんの意見だ。


「少なくとも、悪いことをしているとは思っていない動き方だ」


 本人が悪いことをしているつもりがなくても、結果として大きな問題になってしまうことはある。ロレット様のやらかしとかまさにそれだ。

 だからこそ注意は必要だ。


「向こうが勝手に尻尾を見せてくれるんじゃねぇかなぁ」


 今のところデニスさんの変化は良いものとされ喜んでいる人の方が多い。

 このまま特に問題がなければもっと派手に動くんじゃないかと考えているそうだ。


 そうは言っても、リジールさんの不安も分かるから彼の調査を手伝っているのだと彼は苦笑いした。

 ドルフはお礼を言って彼らと別れた。




「ドルフ殿?」

「エリック殿。入れ違いにならなくて良かったです」


 ラテルから北西にある森の入口。


 リジールさんたちから話を聞いた後、ドルフはその足で冒険者協会へと向かった。

 私は外で待機していたんだけど、どうやらエリックさんの居場所を聞いたようだ。


 そのまま町の出口へと向かい、門番をしていたザックに伝言を頼んで町を出た。

 リジールさんたちから聞いた話を上司へ報告、1時間では戻れなくなったことをジェドさんへ連絡の2つだ。


 森へ到着して少し経った時、森からエリックさんが出てきて今に至る。


「町で何かありましたか?」

「いえ、何か事件が起きてエリック殿を呼びに来たわけではありません」


 私たちを見たエリックさんは驚愕から真剣な表情へと変わったけど、ドルフの言葉に安心したようだった。


「エリック殿に伺いたいことがあるんです」


 ドルフは簡単にデニスさんの話をしてからエリックさんの都合は良いか尋ねた。

 エリックさんは他にも依頼を受けているそうだけど期限には余裕があるので大丈夫だそうだ。


「リジールさんの言う通り、ラテルへ来た頃にデニス殿に絡まれて返り討ちにしました」


 それ自体は初めての町へ行った時などにそこそこあることらしい。

 返り討ちにしてしばらくはデニスから敵意を含んだ視線を感じていたが、これも良くあることなので気にしていなかったそうだ。


「彼が変わったのは、それから4日後のことです」


 エリックさんはデニスさんから呼び出され、何かしてくるのではないかと警戒した。

 しかし、デニスさんはエリックさんに謝罪をしただけでそれからは敵意も感じなくなったという。


「これはまずないことです」


 絡んできた冒険者を返り討ちした時の反応はほぼ3つだという。

 1つ、エリックさんに取り入って甘い汁を吸おうと媚を売ってくる。

 2つ、関わったところで不利益しかないとできるだけ関わらないようにする。

 3つ、逆恨みしてやり返そうとする。


 デニスさんの場合は3つ目に思えたそうだ。


「エリック殿はデニス殿の変化についてどうお考えでしょうか?」

「似たような事象に覚えがあるのでその線で調査をしているところです」

「私も最近似たような話を聞いてもしかしたらと思っているんです」


 ドルフの言う似たような話っていうのはジェドさんが言う『公才』の噂についてだろう。

 それまで問題を起こしていたり、上手くいかないことがあった人が善良になったり苦手としていたことに折り合いをつけられるようになったという噂だ。

 私もリジールさんの話を聞いた時に似てるなって思ったんだよね。


「その人は噂で聞いたと言っていたのですが、どうにも無関係だとは思えなくて」


 ドルフの言葉にエリックさんは不思議そうな顔をしていた。


「噂、ですか? あれは実際に起こったことですよ。確かにかなり昔の話になってしまうので、『そういうことがあったらしい』と語られていたとしても不思議ではありませんが」


 おっと、これはどういうだろう?


 ドルフも違和感を覚えたのか、ジェドさんが言っていた『公才』の噂をエリックさんへ話した。

 すると、エリックさんはその噂を知らないと答えた。


「では、エリック殿の言っていた思い当たる事象というのはどんなものなのですか?」

「ペインターと名付けられた不定形生物に飲み込まれた悪党が、吐き出された後で別人のように善良となる事象です」


 何それ怖い。飲み込まれた人は別の何かに入れ替えられてから吐き出されたりしない?

 でも、デニスさんの状況と似ているような気がする。


 その後もエリックさんは詳しく話してくれた。

 ペインターには決まった形はなく人の姿にもなれる。しかし本来の姿は黒い泥のような粘性がある液体なのだという。本来の姿は生物には見えないが、知性があり自ら考えて行動するし話すこともできる。


 もしかしてシェグル?

 特徴が似てる。


「ペインターはイステアの王都を襲撃したことで討伐されましたが、同種の生物がいないとも限りません」


 王都を襲撃!?

 それはそれで気になるな。


「そのペインターと同種の生物がデニス殿に関わっている恐れがあるんですね」


 ドルフの言葉にエリックさんは頷いた。

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