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騎獣転生  作者: 赤月 朔夜
第05章 人が変わるという噂と謎
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102話 今回の任務と自己紹介

「さて、今回の任務について話そう」


 謎イケメンが城へやって来た翌日、ドルフが私のいる小屋までやってきた。撫でてくれたり遊んでくれるのかとワクワクしていたら真剣な表情でそんなことを言われた。

 しかも、音消しを使用するという徹底ぶり。

 どんな任務なのかと緊張する。


「任務内容はある客人の付き添いと観察だ」


 付き添いはともかく、観察って何?

 監視とは違うんだよね。


「その客人はリーセディアに住みたいそうだ。だが、彼は力のある魔族でもある」


 リーセディアは多様な種族を受け入れている国ではあるが、当然ながら無条件で受け入れているというわけではないという。


「彼の居住を許可するかどうか、1ヶ月ほど彼の素行を調査して結果を出す」


 その調査の1つをドルフが行うということだ。

 だから一緒に行動することが多い私へ話してくれているんだろう。

 私に何ができるか分からないけどね。


「ラナは気負わず普段通りに過ごしてくれたらいい。その上で何か気になったことがあったら教えてくれないか?」


 それはいいんだけど、もし気になることがあったとしてどう伝えたらいいんだろう。

 方法はまだ考えていないものの、私は了承の意味を込めてククッと鳴いた。


「頼むぞ」


 そう言ってドルフは微笑み、私の頭を撫でてくれた。

 その後は音消しも切って私の相手をしてくれた。


 同居兎であるルナは離れたところで横になっている。

 ドルフはルナにも苦手がられて距離を取られてしまう。彼が近づこうとすると後ろ足を地面へ叩きつけてダンダンと音を出すこともある。

 たぶん、威嚇だよね。


 もしテバサキがドルフを見たらどんな反応をしたんだろう。

 テバサキもドルフを避けるのかな。

 ……避けそうだなぁ。


 そんなことを考えている時、こちらへ向かってくる3つの反応を探知魔法が捉えた。

 ジナルドが前の1つで、その後ろには1さんと2さんがいた。


 そう、1さんと2さんである。

 シロさんたちと一緒にいた時ある夜、彼らの住まいに向かってきていた怪しい集団を倒してくれた、これまた謎の魔族のうちの2人だ。


 彼らは真っ直ぐこの小屋へと向かってきている。

 そして、ジナルドが小屋の扉をノックした。


「ちょうど客人が到着したようだ」


 撫でるのを止めたドルフが返事をする。

 扉が開き、ジナルドが見えた。


 短いやり取りの後、私はドルフに連れられ小屋の外へ出た。

 小屋の外にいたのは計4人。

 3人に囲まれるように探知不能の謎イケメンがいた。


 前に見た時は分からなかったけど、金色の髪は腰までありそうなほど長い。

 これまでにも容姿が整った人を見てきたけど、彼が1番かもしれない。そこにいるだけで絵になりそうだ。


 彼は黒い外套に白いシャツ、赤いネクタイをきっちりと締めて黒いズボンを履いている。ジェフリーさんのような執事服じゃなくてスーツっぽく見える。

 ズボンの感じや黒い革靴から考えて、あの夜にいた探知魔法で探知できなかった人に思える。

 それから彼は香水をつけているらしく、木材を連想させるような落ち着く香りがほんのりとする。


「この子がディナルトスたちのリーダーでラナと言います」


 ジナルドが私のことを紹介してくれる。

 大人しいし優しいとか、子ども好きとか賢いとか。

 好意的に評価してくれるのは嬉しいね。


「ジェドだ。よろしくな、ラナ」


 ジェドさんは微笑むと私の体を優しく撫でた。

 こちらこそよろしく。と言うつもりでククッと鳴く。


「あぁそうだ。2人もラナに自己紹介しておいたらどうだ?」


 1さんと2さんが互いに顔を見合わせる。

 ジェドさんの後ろにいた2人が前に出てきた。2人とも見た目は20代ほどに見える。


「ブライトだ」


 肩より少し上ほどの銀色の髪に赤くて鋭い目をした男性だ。がっしりとした体格で剣を持っており、不愛想なこともあって威圧感が凄い。


「メイデナよ」


 長くて赤い髪を後ろで1つにくくり、吊り上がった金色の目が強気そうな印象の女性だ。ローブを身に着けていて杖を持っている。


 ブライトさんはぶっきらぼうに、メイデナさんは微笑みながら明るい声音で名乗った。


「あれ、兎がいる」

「ラナの友達のルナです」

「へー、友達」


 小屋の中にルナを見つけたメイデナさんが興味津々そうにルナへ近づく。

 そして、ルナを抱え上げるとブライトさんの頭の上に置いて数歩下がった。


「うん、可愛い」


 彼女はブライトさんを見てニマニマと笑みを浮かべた。


「ふざけるな」


 ブライトさんが静かながらも怒りを滲ませメイデナさんを睨む。


 固まる空気。ジナルドは何をやっているんだと呆れた様子だ。


「落ちて怪我でもしたらどうする? すぐに地面へ下ろしてやれ」


 そう小声で言う彼は険しい顔をしていて冷たそうな印象を受ける。

 しかし、ルナを頭に乗せられたことよりルナの安全を考えて怒ってくれている。小声なのもルナを驚かせないためだろう。

 受ける印象とは違って優しそうだ。


「自分で下ろしたらいいじゃない」

「潰しそうで触れない。お前が乗せたんだろ」


 2人がそんなやり取りをする中、ルナはブライトさんの頭上でくつろいでいる。


「では俺が。失礼します」


 結局、ルナはジナルドの手によって回収され地面へ下ろされた。

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