13話 【昼の日常】
家に帰って少し寝た。少しといっても、2,3時間だけだけどね。今日も学校がある。だから、学校が終わり次第、昨日言われた陰陽学園に行くつもりだ。陰陽学園。陰陽師試験を受けた場所。そして、陰陽師を育成する場所。
「おはよう!優!」
「おはよう。姉さん。」
「おはよう。兄さんに、理志。」
兄弟たちが入ってきたから志向は一時中断し、挨拶を返した。
「姉さん大丈夫?」
「何が?…大丈夫だよ。」
「でも。」
「優が大丈夫って言ってんだ、大丈夫だろう!優も、早く来ないと朝飯食べちゃうぞ!」
「わかった。」
「待ってよ!兄さん!」
今日がきっかけの日。何かが変わる。それが何かはわからないけど。でも、大きな変革がもたらされるきっかけを作ったのは今日。きっと未来で確信を持って言える。そんな予感がする。
そんな予感を無視して日常は日常だった。特別なことなんて何もなく、ただ普通に授業を受けていた。しかし、それは学校へ行っている間だけだった。
放課後になった。僕は、いつも兄弟たちと帰ってるけど、今日は陰陽学園に行くから一人で帰る。でも、そのことを兄弟たちは知らない。知らせてない。
「どうしたんだ?」
いつも通り教室まで迎えきた兄弟たちに心配させてしまった。
「何でもない。それと兄さん。今日は理志と2人で帰って。」
「何で?」
「ちょっと用事があるの。」
「…わかった!」
「じゃあ、家でね。」
「おう!」
「後でね、姉さん。」
さて、行こうかな。陰陽学園へ。
僕は学校を出て、誰も見ていないことを確認してから、狭い路地裏に入った。念には念を入れてね。
霊移で移動するのだけど、まずは霊脈を探さなくちゃいけない。霊移とは、正確には、霊脈の中での移動。霊脈は日本全国に巡ってる。それを利用して移動してるんだ。霊移になれてくると、霊脈が細い場所でも霊威が可能となる。でも、僕はそんなになれてないから一定の太さがある霊脈を入り口にしなくちゃいけない。霊脈を探すのは簡単。霊視を持っていれば。
意外と近くにあったようだ。霊脈が重なってできている力のある霊脈の上に乗り僕は、足を一回コツンと地面で鳴らした。僕の、霊移をするときの合図だ。霊脈の中にもぐり、陰陽学園を思い浮かべながら歩いて行った。僕が霊脈にもぐった時外では僕が消えたように見えただろうね。
足が止まり、僕は外に出た。そこは、路地裏から一転。陰陽学園の前にいた。一か月ぶりくらいだろうか?なんかとても懐かしい気がする。まるで、1年も2年も来ていなかったような感じだ。




