10話 【鬼門】
「そろそろ、本部に言って式神登録をしようか。」
「本部?どこにあるんだ?」
「京都だよ。」
そう言ったら、ハクは苦いものを食べたような顔をして言った。
「お前の足で行けるのかよ。」
「主を呼び捨てなど!」
「まあまあ、コン。シ~。」
口の前に人差し指を持ってきて静かにのポーズを作った。
「まあそう思うよね。でも、いけるよ。霊移を使うからね。」
「霊移?」
「うんそう。だから、手つないで。」
「は?」
「ほら。」
そう言って私は手を出した。ハクは観念したように私の手をつかもうとしたその時。
ヴィィィィィィィィン
私の端末の緊急任務の知らせを告げる音が鳴った。私が陰陽師になってから初めてのことで少し動揺してしまった。ハクとコンは、近くで大きな音が鳴ったからか、耳を抑えてうずくまっていた。
「なんだこの音!」
「緊急を知らせる合図だよ。今までなったことなかったのに。」
音が鳴りやみ、任務を知らせるメールが来ていた。
「任務だよ。この地点の霊力が異常な高ぶりを見せた。至急急行し、特級鬼門になる前に霊力を霧散させよ。」
「つまりどういうことだよ。」
「つまり、霊力を抑えろってことだ!」
「行くよ!」
「御意!」「おう。」
そうして私たちは、メールに書いてあるところに向かった。
しかし、それは味方なはずの者に遮られた。
一緒に任務をしていた下級陰陽師の一人が私たち、嫌ハクに攻撃してきたのだ。
「何で…?」
「狼人間は殲滅対象だからです。」
「ハクは何もしてない!それにハクは、私の式神だよ。手を出すことは許さない。」
「それでも…」
「やれ!」
もう一人入ってきた。もう一人の上級陰陽師の男の人が入ってきたのだ。
そして、下級陰陽師にハクを攻撃するよう命令した。
「な!どういうことだ。」
「どういうこと?先に命令違反をしたのはお前だ。それに、それはまだ式神登録をしてない。なら、まだ式神じゃない。」
「今からしようと…!」
「していない。それが事実。だから攻撃したところで罪にとらわれない。逆に、お前のほうがやばいぞ?殲滅任務の邪魔をし、妖の味方をしたと。」
「だとしても、私は、僕はお前の邪魔をする!僕の式神は僕が守る!」
一瞬触発な気配が出始めたその時、嫌な気配を感じた。それはコンとハクも感じていた。それは、意識が重くなるような気配。絶対に勝てないような気配。死の気配。
しかし、その気配を感じたのは僕らだけだったようだ。上級陰陽師である男も感じられていないようだった。
「コン、ハク。やばいかもしれない。」
「とうとう怖気付いたか。」
「そんなこと言ってる場合じゃない!もしかしたらもう、特級鬼門が…」
そう言うと、2人は少し固まっていた。そのすきにわた、僕たちはその場所に向かうことにした。




