表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者になりたい!  作者: 花水木出雲
最終章「オズの伝説編」
30/35

28話「初手、勝利」

グリンダが作り出した巨大な結界内から敵を狙撃する

カーラとベアトリス。二人はそれぞれスナイパーライフルと弓を

構えた。


「大丈夫かな…お姉ちゃんたち…しっかり帰ってくる?」

「心配はいりませんよヤナ。ここは魔王と勇者に守られ、そして

竜にも愛される国。みんな、無事に帰って来ます」


グリンダは寝たままで答える。彼女の手をヤナはギュッと握っている。


「それに早く終わるかどうかはドロシー様にかかっています」



「あらぁ?誰かと思えばダンピーラじゃない」


長い金髪の美女は刃をペロリと舐めて笑みを浮かべた。


「剣姫メルティ・エイゼル、か…何が参考程度に、だ。当たってんぞ、

ドロシー様の予知」


ドロシーの指示でメルティの相手をユベルが担当することになっていた。

その場所も時間帯も全てドロシーの予想通り。

ユベルはうわ言の様にバルカンの名を呼ぶ。


「…?空が、暗くなってきたわね」


メルティは辺りを見回す。これは幻覚?にしてはかなり現実味がある。

それだけ強い幻覚、もしくは結界を―。

推測に浸っている場合では無かった。紙一重で完全に避けたつもりが

僅かだが頬を斬られた。


「凄いわ~。びっくりしちゃった~」

「やっぱりお前もか?」

「え?―」


ユベルが軽く手を振るうと一滴ずつ滴り落ちていた血が

滝のように流れてユベルの手元に集まる。彼は血を操る力も

あるのだ。


「剣姫といえども、そんなに厄介な相手では無いな」

「舐めてますの?舐めてますわね!?血を抜かれたぐらいで私が

動揺するなんて思っていますの!!?」


そんな虚勢を張る彼女の剣は鈍っている。ユベルは冷酷な

目を彼女に向ける。


「あーあ、沢山吸ったなぁ…?」


膝をついたメルティの背中を踏み付けたユベルは

笑みを浮かべた。


「な、んなの…何なのよ。こんなの聞いてない!あの人から!

ナイン様から聞いてないわ!!」

「信用がないんだろうな。自分しか大事にしないタイプだ。

っと、短い時間だから教えてやるよ。俺の作った毒、今度は

良い人生が送れると良いな」


メルティは必死に手を伸ばすも届かなかった。そして内心、ナイン

という少年を憎悪した。

あの少年は悪魔だ、死んでしまえ。死んでしまえ死んでしまえ死んでしまえ

死んでしまえ死んでしまえ―死んでしまえ―!!!!




「はい、一人仕留めましたよ。中々ブラックって事だけは

分かりました―」

『お、おお…そんな内事情まで分かったのか…うん、でも

お疲れ様』


夜の空が崩れて、ユベルは息を吐き、大木に背中を預ける。


「こんなところで休むのか。平和ボケでもしているのか―」


鈍い音。鈍器で殴られたような痛みを感じながらユベルの体は

力を抜いて倒れた。

テュポーンの封印を解いた神族、タナトス。

不意打ちを喰らい倒れたダンピーラにとどめを刺そうと―。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ