表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者になりたい!  作者: 花水木出雲
第4章「オズの断罪編」
24/35

22話「式典前夜」

ドロシーにも傷はあり、それをメストドランは律義に

完治させてから帰してやった。


「随分と楽しんでおったな。メストドラン」

「そうか?俺はいつもこんなだけど」


ヴェルディークの言葉にメストドランはそう返した。

今まで以上に楽し気な笑みを浮かべて戦っていた。

竜にとって人間なんてちっぽけなものだろう。その思想を

改めて覆された気分だ。


「お前さんの加護か?ドロシーに掛けたのは」


帰り際にブツブツと呟いていた。それは加護を与えるための

詠唱のようなものだ。


「俺もアンタも丸くなったな」

「儂は元からこうだが?丸くなったのはお前さんだろ」




それなりに長く、この祠にいたらしくナハトが迎えに

来ていた。


「少々心配しましたよ、ドロシー様」

「ごめん。迷惑かけちゃったね。グリンダは?」

「彼女は先に戻りました。グリンダにリーベ、ラージュ…

彼等は人形なのですよね?創造主はさぞ腕がいいのでしょう!

あんなに精巧な人形は初めて見ました!」


細かな部分にも拘りがある。それに感情もあるのだ。

人形だが、人間に最も近い。

国に戻ってくるとそこでは着々と式典の準備が行われていた。


「あ、お帰りなさいませドロシー様。グリンダより話は

聞いております。その様子だと、試練を乗り越えたのですね?」


ベアトリスの言葉にドロシーは大きく頷いた。


「大丈夫。無事に乗り越えたよ」

「それは良かったです。貴方が無事で何より…ホッとしました」


ベアトリスは胸をなでおろす。自身の主人が無事である事を

心の底から喜んでくれたのだ。色んな人から信頼されて、愛されて

いる自分はなんて幸せなんだろうか。


「ドロシー様」

「オルビス!それにシリウス達も」


拳聖組が揃ってドロシーに声を掛けた。


「式典の主役がブラブラしてんじゃねえ」

「いや、大切な用事でブラブラしてたんだけど…」


シリウスの言葉にドロシーはそう返す。彼らはすっかり

この国に馴染んでいた。シリウスは改めてドロシーにあることを

宣言した。


「俺は、この国に忠誠を誓うことにした」

「それは良いんだけど…良いの?」

「構わないだろ。俺が自分で決めた事だ。誰にも

文句は言わせねえ」


こういう時のシリウスの心を折るのは無理だろう。なんせ頑固者。

この国にはかなり戦力が集まって来た。

式典前夜のこの日。

サルビアから、そしてエミリアの従者たちからある情報が手に入った。

今回の戦いは国と国だけでは無く、別の何者かが煽っていたという

情報だ。


「デフテラ王国の貴族は皆、貪欲です。この国の富を教えて

戦争を煽ったのは恐らく人間でしょう」


ジェラートの情報。


「申し訳ありません。その人間も中々用心深いようで尻尾を

掴めておりません。しかし、その人間と繋がっているであろう

魔人についての情報は集めました」

「なぬっ!!?流石、仕事が早い!!」


サルビアは仕事が早い。流石、イケメン。やることなすことが

別格だ。それを言ったらユベルだってイケメンの部類に入る。

割と周りには美形が多いのかも。

それは兎も角


「よし、式典終了後にその情報は改めて教えてくれ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ