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勇者になりたい!  作者: 花水木出雲
第2章「オズの戦前編」
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9話「竜人の遊戯」

アルゴとライザの目的は新たな国王を見て

オルドヌングと再度同盟を結ぶに相応しいか見極めるため。

彼らは強者を好む。


「別にこれで終わらせても良いんだけどなぁ…ゲームを

しようぜ?王様」


アルゴは不敵な笑みを浮かべ、ドロシーを見据える。


「ただの力試し。シンプルで分かりやすいだろ?だけどこっちとしては

同盟国の王様を傷つけたとあっちゃあ、こっちの王様の顔に

泥を塗ることになる。だからそっちから一人、俺が選んでも良いか?」

「代わりになる人物と戦わせろ、と言う事ですか」

「そう言う事だな」

「はぁ~…え~…んー…」


ドロシーは唸った。


「良いのでは?どうやらこいつは戦えれば勝敗など気にしないようですので」

「あの、カーラさん?流石に同盟を結ぶことになった国の人を“コイツ”

呼ばわりはちょっと」

「構いません。先代国王の時にも“コイツ”は同じことを言いだしたので」


妙に“コイツ”という部分を強調したカーラ。カーラたちも先の王の

時からここに仕えているためどうやら顔見知りだったようだ。


「…で、相手は」

「お前だよ」


アルゴが指名したのはオルビス・エルンスト。指名されているにも

係わらず彼は冷静だった。


「そうか」

「他にも興味がある奴は多いが…同じ戦法を取る者同士、正々堂々と

やらないか?」

「竜を相手にどこまで渡り合えるかは分からないが、期待に沿えるように

努力はしよう」


直接目で見たことは無いオルビスの実力が見られるかもしれない。

ドライアドたちによって作られた闘技場で二人が対峙している。

時間制限で勝敗は特にない。本当にフリーダムでルーズな感じだ。

時間は5分。その5分はあっという間のようで長く感じる時間だった。


「(力よりも速度と技で抑えようって魂胆か?)」


オルビスは即座に純粋な力では勝てないと判断したのだ。

それ以外でアルゴと互角に渡り合うつもりでいる。だがアルゴは無理矢理

オルビスと組み合う。


「手加減か?」

「そんなわけがないだろう」

「なら良し!!」


アルゴに突き飛ばされて上半身が反る。隙アリと見たアルゴの剛腕が

振るわれ、オルビスはすぐに両腕を交差させて防御した。

闘技場が落ちる一歩手前だ。

オルビスが拳を突き出した。躱したがアルゴは思わぬ反撃を喰らう。


「躱すだけじゃなくて、安全圏に避難しないとね」


オルビスに代わりドロシーが自慢げにものを言う。魔法が扱えない

訳ではない。主な戦闘手段が徒手空拳、その威力を上げる、それを

サポートするために利用するのが魔法。拳を躱されても良いように

風で辺りを薙ぎ払う。

暴風拳(テンペスタ)という技だ。


「そこまで!もう五分が経ちました」


ドライアドのユピテルが声を上げて二人は構えを解いた。


「楽しませてもらったし、俺たちは帰るとするよ…ん?」

「…?」


見えていなかったが辺りを妙な魔素が覆っている。


「サルビアたちの網を潜り抜けて来てるのか…!」


だとしたらそれなりに高い技量を持っている相手。

影の存在であるサルビアたちよりも一枚も二枚も上手だろうと

想像できる。


「俺たちごと潰そうってか?それはつまり、オルドヌングへの

宣戦布告って事でも良いのかよ」

「恐れ知らずですね。オルドヌングに喧嘩を売ろうだなんて」

「それも…どうやら死者を操ってるみたいだぞ」


骸兵。何処かに身を潜めているのであろう魔術師が操っている。

渇いた声を上げる骨の竜までも現れた。何体も空を浮遊している。


「これだけの数を操るとは…!」


一国の軍勢を数人で相手にするようなものだ。




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