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第3話

偽りの神によって堕とされる者…

なんと皮肉なことであろう。


しかし、いや、それならばその役目、

私が自ら演じようではないか。



私こそが原初の蛇であろう。。。






「あらーーん。ルーちゃん、おはよぉん。んまあ、今日もかわいいわねその、お・し・りぃん!」


『おはようございます!教官。本日からよろしくお願いします。』


「あらーーん!よろしくって、何をよろしくされちゃうのかしらーー!んまあ!」


『訓練ですよ。クリス少佐。』


クリスティーナ・カマホリ

王国軍国王直轄、勇者軍】勇者育成部訓練課所属

階級は少佐。筋肉ゴリラ。オカマである。

魔族よりも、彼に背中を見せる方が危険であると、

軍内に知らない者はいないという超有名人である。

戦闘力も勇者を抜かせば、人類トップクラスの超エリート軍人でもある。

昨年からハジメ村に赴任し、この訓練開始まで準備をしていた。

世界一強いオカマである。


『あ、教官。そういえば今日はおリボンいつもと違うんですね。とても似合ってますよ。』


「んんまあああ!そういう些細なところに気づいてくれるって素敵だわあん。乙女のハート狙い撃ちいいん。抱いて!いいえ、抱かせて。」


いつもであれば腰まで下りた三つ編みに小さな黄色いリボンをしているのだが、

今日は初訓練で気合が入っているのか、この分厚く広大な背中からはみ出す程、

ショッキングピンクのリボンが、悪魔の翅が如く揺らめいている。

些細とは何ぞ?

本当はこいつが魔族なんじゃないか?

魔族はすでに人族の中に紛れ込んでいていつでも俺たちを狙ってるんじゃないか?

そんな疑心暗鬼を生みかねない地獄のような光景が目の前に…

皆、俺と同じ気持ちだろう。

しかし思っていても誰もそんなことは言えないのである。

皆等しく、自分の命は大切なのだから。

そして身体はともかく、心は立派なレディな彼?彼女?をないがしろに扱うことなかれ。

俺は紳士であるからして、レディに優しく接することこそ揺るがない俺の哲学なのである。



「クリス教官。そろそろ今日の段取りを。。」


サポート課の職員に促され、我を取り戻してくれた教官。


「そおぉだったわぁん。今日から訓練が始まるのだけど、まずはルーちゃんと現場組のみんなの実力と相性をみたいからぁ、兎にも角にもいきなりダンジョン攻略よう。だからサポート課のみんなは、攻略後のフィードバックから参加してちょうだい。それまでは各自の業務に就いていてぇん。ルーちゃんは剣がよかったのよねえ?準備してあるから鑑定石と一緒に受け取ってちょうだぃん。」


オカマゴリラに指示受け、さっきのサポート課のお姉さんから王国既製品の剣と鑑定石を受け取った。


この鑑定石とは、

体内の魔力保有量を数値化して戦闘力をレベルで表示してくれるという、

便利なマジックアイテムである。

因みに一般の成人男性で平均5から10というところであり、

兵士でも15~30程度であり、100を超えるものはそうそういない。

勇者の初期値で1000~3000となる。

そりゃあいきなり王国兵100人相手に戦える訳だ。

しかしクリス教官のレベルは5000を超える。

努力でここまで上り詰めた正真正銘の化け物である。

初期値であれ、俺も瞬殺されてしまう。


鑑定結果

ルース(人族)

レベル 1080



本来はこの鑑定石、

めちゃくちゃ高価なものであるが、俺たちは国からの貸与にて1小隊につき1個所持することとなる。

因みに売ろうとしても、勇者軍の魔術刻印とナンバリングがされており、

ばっちり足がついてしまうので売る者はおろか、買い取ろうとする者もいない。



「今日からは毎日、ダンジョンに入る前と出た後にこの測定を行って、みんなの成長具合をみながら適切な難度に負荷をあげていくわよお。あなたのスキルお手並み拝見ね!」



スキル

勇者持ちの人間に出現する強い個性をそう呼んでいる。

勇者ごとに様々であり、鑑定石にも表記される。

つまり鑑定石にスキルが表示されることが勇者持ちの証でもある訳だが、

俺に顕れたスキルがちょっと今までに無かったものらしくて、

初めてことだったから、王国もクリス教官を派遣したそうだ。




【成長加速∞】




以前にこれを見た瞬間、

あ、チート主人公ルート確定だわ。と俺は思ってしまった。

これ、もう楽して世界最強かもしくは、強すぎてギャグラノベ展開しかないんだろうなと。

俺のこの余裕の態度にも表れているのである。


そんなことを、この序盤で語るってことは、そうは問屋が卸さないぜ展開が待っているのかと、

皆は思うだろう。

そうだ。順風満帆にて何の苦労もせずに楽してボスが倒せるゲームなど誰がプレイするのだろう。

そんな展開の小説を誰が読むのだろう。

そう、誰も読まないし、誰もプレイしないのである。


が、しかし。これが人生という舞台においてはどうか。

皆楽して大金持ちになりたいし、生まれつき美しい顔に生まれたいであろう。

皆、人生は選べるのであればイージーモードを例外なく選ぶ。

その強くてニューゲームボタンが、俺の中にあったのだ。

ありがとう月の女神様。俺、頑張らないよ。

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