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5.初めての
「起きろー!!!」
朝、起きた私にご飯を用意して、カリナさんは叫ぶ。
「ホントに起きろよ……マジで……。」
寝起きがとても悪いカナタさんを起こしているようだ。扉を何度も叩いたと思われる手は真っ赤だった。
「んー。あと、1時間……。」
「うっさいっ!!!!さっきもそう言っただろ!」
と言われしぶしぶ起きたカナタさんにカリナさんは食事を渡す。
(なんか……仲良いな……。)
「「「いただきます。」」」
そう言って食べたご飯は、野菜や果物ばっかりだった。勿論ガスも水も通ってないので調理が出来ないそうだ。だからこうなるのもしょうがないらしい。
ソファーに寝転んでる動物たちも果物を美味しそうに食べている。
食べ終わると、「これに着替えて」って服を渡された。黒のワンピースに赤の薔薇のブローチが付いている。サイズはぴったりだった。
「童話、届いたぞ。」
着替え終わるとカリナさんがそう言う。
なんと、この家には毎日童話の本が届くらしい。その本の内容をハッピーエンドに変えるのが私たちの仕事だ。
「題名は赤ずきん。」
これが私の初めての仕事だ。